じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園に突如出現したオニフスベ。今年はこれが2球目。6月26日掲載のキクメタケ(ムラサキホコリタケやノウタケの可能性もあり)に比べると遙かに大きい。但し展示植物ではないため、出現後まもなく取り除かれてしまう。


2020年7月2日(木)



【小さな話題】ピザは褒め言葉より強い?

 7月3日朝のモーサテ「パックンの眼」で、「アメリカの文化 ピザを救え」という話題を取り上げていた。新型コロナウイルスの影響で店内飲食が制限されたため、アメリカの一部のピザ屋さんが危機に瀕しているという[]。
]ネット上の各種情報によれば、ピザ業界への新型コロナウイルスの影響は宅配ピザには「プラス」、宅配をしていない個人営業には「マイナス」など両面があるらしい。

 番組によれば、米国では
  • 1人あたりの年間消費量は約13kg。
  • 全米の年間消費量は110億枚
  • ピザマーケットは3兆円以上
  • ピザレストランは全米レストランの約20%
  • ニューヨークのピザレストランは約9000店【東京のコンビニは8000店】
などとなっているという。そう言えば少し前には、「米ピザ宅配員が“お得意さん”を救出!10日間注文がなく“異変”を察知、通報し病院搬送」などという記事も見かけた。

 番組ではまた、ピザATMのある大学、アメリカ軍では携帯食にピザ導入など、アメリカ特有のピザ人気も紹介された。

 番組の冒頭では、ニューヨーク州デューク大学のダン・アリエリー(Dan Ariely)の興味深い実験研究が紹介されていた。これは、イスラエルにあるインテルの半導体工場の従業員を対象に行われた実験であり、従業員は4群に分けられ、週明けに、メールで、
  1. ボスからの褒め言葉
  2. 現金(約3000円相当)
  3. ピザの割引クーポン
のいずれかを受け取る(他に、何も受け取らない対照群あり)。その結果、褒め言葉では+6.6%、現金ボーナスでは+4.9%のモチベーション上昇が見られたのに対し、ピザクーポンはそれらを上回る+6.7%となり、少なくとも短期的には最大の強化効果があった。

 なおこの実験の詳細は、

Payoff: The Hidden Logic That Shapes Our Motivations (TED Books)

あるいは、TEDのトークで知ることができるはずだが、この日記執筆時点ではまだ確認できていない。

 もっとも、褒め言葉と現金とピザというのは質的に異なる強化子(好子)であるゆえ、どれが強力であるかというような比較は原理的に不可能であるはずだ。そういう強さ比べではなくて、例えば、ボスからの褒め言葉(←これもまた、ちょっとした表現の違いで強化効果が大きく変わると思われるが)を固定して、強化子(好子)として等価であるような現金報酬はいくらか、ピザならいくら相当か、というような比較を、調べるべきであろう。また、何を指標としてモチベーションの上昇を測るのかということも重要であろう(「やる気」についての参加者の主観的評価なのか、実際の成果なのか、参加者の健康状態を含めた総合的な指標なのか...)。

 このほか、上記の強化効果の中長期的効果も検討する必要がある。確か別の研究にあったと思うが、より持続的な効果をもたらすのは、仕事の完成といった達成、あるいは作業グループへの貢献への評価といった結果である。いっぽう、現金やピザといった、仕事とは直接関係の無い付加的強化子(好子)は短期的には顕著な効果をもたらすが、数年以上のスパンではあまり役に立たない可能性がある(もちろん、基本的な強化子(好子)として給与や食料が保障されることは大前提だが)。

 今回の番組の趣旨から言えば「ピザには現金や褒め言葉以上の強化効果がある」という事例としては上掲の研究紹介は説得力があるが、研究そのものについてはもっと精査する必要がありそうだ。

 番組の終わりのところでは「きょうのパックン視点」として、

●Businesses get a pizza the pie. Consumers get pizza mind.

が披露された。DeepLでは「企業はピザ・ザ・パイを手に入れる。消費者はピザの心を得る。」としか翻訳されないが、慣用表現のダジャレ?になっており、正しい日本語訳は、

●企業はシェアを獲得。消費者は安心感を得る。

になるらしい。と言われても、高級すぎて私にはさっぱり分からないが。発音上の類似性だけでなく、ピザのピースをたくさん獲得することとシェアを確保することの意味的な類似性によるものだろうか。であるならば、以下のように意訳できるかもしれない。

●企業は、ピザのピースをたくさん手に入れるようにシェアを獲得する。消費者はピースな心を得る。