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【小さな話題】『三匹の子豚』の「by the hair on my chinny chin chin」 定年退職後、各種資料の整理を続けてきたが、8月末でほぼ一段落となった。今後読む予定の無い書籍はブックオフもしくは廃棄、アルバムのプリント写真はすべてスキャナ読み込みでデジタル化が完了した。 そこで、少し時間的余裕ができたところで、YouTube動画作成で身につけた動画作成技術を活かして、孫たちの英語教材(英語音声つき絵本)づくりに挑戦してみた。 最初に取り組んだのが、『三匹の子豚』である。基本的には、タブレットの画面をワイプすると次のページに進み、スピーカーマークをクリックするとそのページの音声が出るというもので、何のことはない、パワーポイント互換仕様となっている。また、パワーポイント作成教材はmp4でも保存できるので、聞き流しの閲覧もできるようになっている。 さて、この「三匹の子豚」には「by the hair on my chinny chin chin」[※]という有名なフレーズがあるが、恥ずかしながら、私は、最近まで、この部分の正確な訳がよく分からなかった。 [※]「by the hair of my chinny chin chin」と書かれている本や、byの前に「not」をつけている本もあり。 しかし、少し前に録画再生で観た「ギャラクシー・クエスト」の映画の中で、ドクター・ラザラスが「By Grabthar's Hammer(グラブザーのハンマーにかけて…)」という決め台詞を繰り返し使っていることに気づき、「by 〜」には、「○○にかけて」、「○○に誓って」という意味があることを初めて知った。 なので、この部分は、「あごひげにかけて」、「あごひげに誓って」と訳すのが妥当であろうと思う。じっさい、ウィキペディアでも、この部分は「ぼくのあご、あご、あごのひげにかけて」と訳されていた。 では、なぜ「あごひげ」なのか、豚にあごひげが生えているのかという疑問が生じるが、少なくともある種の豚は毛深いようである。ちなみに、「グラブザーのハンマーにかけて」については英語版のところに、 Dr. Lazarus' catchphrase, "By Grabthar's Hammer", was written as a temp line in Gordon's script; Gordon planned to replace "Grabthar" with something less comical, but the line stuck as the production crew started using it around their offices and had it printed on t-shirts.という説明があった。「あごひげ」も、おとぎ話ならではのコミカルな設定ではないかと思われる。この部分をもう少し修飾するなら、
なお、ネット上では、この部分を「あごのひげ一本だってダメ(入れてやらない)」と訳している記事もあったが、オオカミのあごひげではなく「the hair of my」と「my」がついているのでこれは誤訳と言えよう。「だめだめ、ぼくのあごチンタンのひげがいやだといってる」という訳例もあったが、少々意訳しすぎているようにも思える。 いっぽう、別の記事では、 なぜ、子豚で顎鬚もないのに、と思いますが、顎鬚は昔、とても大切で、神聖であり、不思議なパワーを持つ物として顎鬚にかけて誓うと言う事がよくありました。という適確な説明があった。 ところで、この『三匹の子豚』だが、3匹のうち1匹目と2匹目はオオカミに食べられてしまう。またオオカミは、3匹目の豚の家に煙突から侵入しようとして熱湯で殺されてしまう【元の話では、釜ゆでにされたオオカミは3匹目の豚に食べられてしまうという結末になっているらしい】。要するに、3匹目の豚以外はすべて殺されてしまうというからずいぶんと残酷なストーリーである。ウィキペディアには、 近年の版では、他のおとぎ話と同様に、この物語もオリジナル版より穏健な内容に差し替えられ、 狼と子豚はお互いに食べ合ったりはしない。 一番目と二番目の子豚は三番目の子豚の家に無事逃げ込み、狼も熱湯で大火傷を負い、悲鳴をあげながら山へ逃げ帰っていく。 懲りて乱暴を止めた狼と子豚の兄弟が和解し、仲良く助け合う。 というストーリーが主流である。と記されている。といっても現実世界では、我々は豚肉を食べるし、オオカミも殖え過ぎた地域では射殺されるので、人間のほうがもっと残酷かもしれない。 |