Copyright(C)長谷川芳典 |
|
昨日に続いて、明け方の空の写真。 3月11日の朝はよく晴れ、南東の空に、土星、木星、月齢27.1の月が見えていた。また、写真には撮れていないが、双眼鏡では、写真の円内のあたりに水星も見えていた。 |
【小さな話題】コズミックフロント☆NEXT「天狼星 シリウスのミステリー」 1月14日にNHK-BSPで再放送された表記の番組を録画・再生で視た。ウィキペディアの放送履歴によれば、この放送の通し番号は#83で初回放送は、2018年2月8日であったようだが、当時、私が視聴した記録は残っていない。 番組の前半では、19世紀のドイツの天文学者フリードリッヒ・ベッセルが、シリウスが50年ほどの周期で東西に揺れ動いていることを発見。ベッセルはすでに知られている他の星との関係でシリウスが揺れ動いていると考えて計算したがうまく説明できない。そこで、「重力は及ぼすが見えない星」を予言した。18年後の1862年1月31日、アメリカのディアボーン天文台で、望遠鏡制作者のクラークが性能確認のためのテスト観測中に、シリウスのすぐ近くに別の天体を発見。「シリウスB」と名づけられた。このシリウスBはその後、白色矮星であることが分かった。 番組の後半では、3000年前の古代メソポタミアや、2000万年前の古代ローマで、シリウスは赤く輝くという記述があるという謎が紹介された。こちらの話は、私にとっては初耳であった。シリウスの色については、ウィキペディアの該当項目でも詳しく解説されており、中には、シリウスが赤いというのは単なる比喩表現であるとか、大気の影響で赤く見えたといった、否定的な主張もあるという。 2000年前にシリウスが赤かったということを認めた上でそれを説明する説としては、
しかし、1.や2.については望遠鏡で精査してもその存在は確認されていない。いっぽう3.については、赤色巨星が白色矮星に変化するプロセスは、当時の理論では数万年を要すると考えられており、数千年前では短すぎるとして受け入れられなかった。 ところが、3.の説が提唱された後、日本のアマチュア天文家の櫻井幸夫さんが、1996年の2月21日、いて座に「ゆっくりと進行する新星の可能性がある天体」を発見、後に、桜井天体と名づけられた。観測結果から、白色矮星は一時的に核融合を再開する「ファイナル・ヘリウム・フラッシュ」を起こすことがあると確認された。シリウスBがこの段階であったとすれば、数千年前に赤く輝いていたとしても不思議ではないと考えられる。 番組では以上のほか、シリウスが連星であることを「知っていた」とされるドゴン族の神話が紹介された。もっともウィキペディアのリンク先によれば、シリウスの連星に触れる神話の存在が確認されたのは1946年以降の調査のみであることから、1920年代以降に西洋からもたらされたシリウスの連星の情報が神話に取り入れられた可能性が高いとも言われているようである。 ここからは私の感想になるが、小学校高学年から中学生の頃に天文学に興味を持っていて、「将来の夢は天文学者」と語ったこともあった私ではあるが、天文学の最近のめざましい発展については殆どフォローできておらず、桜井天体や赤いシリウスの話題については今回初めて知ったほどであった。 今回に限らないが、「コズミックフロント☆NEXT」は単に「こういうことが分かっています」という発見の結果を伝えるだけでなく、まず、何が疑問となっているのかを示した上で、それを説明する仮説、またその仮説がどういう形で実証もしくは棄却されたのかというプロセスを分かりやすく紹介している点が好感できる。今後の放送にも期待したい。 |