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3月18日のヒメウズに続いて、「接写で楽しむ雑草の花」。 フウロソウのなかでも最近進出著しいマルバフウロ(たぶん)。 |
【連載】あてにならない未来予測(2) 昨日に続いて、 ●週刊現代BACKS 日本の十年後一イラストで見るあなたの豊かな「あした」(講談社) という本をネタにした未来予測の検証。前回は、
●技術的には実現可能となったが、必ずしもその必要がなくなったもの という観点から考察したいと思う。 本の内容からは少し外れるが、これに相当するものとしては、月や惑星の有人探査を挙げることができる。例えば、1969年のアポロ11号の偉業は、当時の米ソの宇宙開発競争の結果としては歴史に残るものであったが、科学研究、もしくは資源探査を目的にするだけであるなら、リスクをおかしてまで月面まで人を運び再び地球に生還させるというプロジェクトは、最善の方法とは言いがたい。最近になって、火星の有人探査が再び話題にのぼりつつあるが、これまた、科学的な調査を目的とする限りにおいては、わざわざ人間が火星に行く必要はない。火星に降り立った飛行士が自らの手で写真や動画を撮影したところで、すでに成功を収めている無人探査機以上に鮮明な映像を送ることはできないし、飛行士がハンマーを使って手掘りで地質調査を行わなくても精密な分析を行うことが可能になっているし、まもなくサンプルリターンが成功するはずだ。 「技術的には実現可能となったが、必ずしもその必要がなくなったもの」というのは有人探査ばかりではない。一般人が、日常社会において、高速で移動するということは必ずしも必要ではなくなってきた。新型コロナの影響で急速に定着してきたオンライン会議により、生身の人間が会議場まで足を運ぶ機会は激減した。となると、飛行機やリニア新幹線の需要はこれまでの予測ほどには見込まれない可能性がある。 私自身はビジネス界に身を置いたことが無いので、企業のオンライン会議のメリット・デメリットについては何も言えないが、この1年余りにオンラインで開催された学会年次大会を見ていると、少なくとも学術系の会議、学会、研究会などは、オンラインで十分、というかむしろオンラインのほうがより徹底した討論が可能であり、かつ、出張費の削減、移動時間分の節約に繋がるように思えてならない。 もっとも、生身の人間が集まる学会というのは、研究発表の場だけが目的でない場合もあるようだ。私自身はそういう経験は全く無いが、懇親会での交流から共同研究のプロジェクトが生まれる場合もあるし、また、巨額の研究資金や採用人事などをめぐってロビー活動が行われることもあると聞く。そういうニーズがある限りは、ポストコロナに再び、人を集めた学会年次大会が開催されるようになるかもしれない。 本の内容に戻るが、この本では「高速の大量輸送システム」とか、「時速5000km、東京―大阪10分、往復1万円のトンネル式超新幹線」といった夢が語られているが、在宅勤務やオンライン会議が定着すれば、高速で移動しなければならないというようなニーズは大幅に縮小するのではないかという気がする。 不定期ながら、次回に続く。 |