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【小さな話題】天気予報の予想が“外れる”ワケ 12月15日に初回放送された、NHK総合「ガッテン」、 予想が“外れる”ワケ判明!?天気予報とことん活用SP を録画再生で視た。 番組ではまず、スタジオで3段階の雨を人工的に降らせて何ミリの雨かを当てさせるというクイズが行われたが出演者の正解者はゼロであった。100ミリの雨は年間に1〜2度どこかで観測されることがあるが、土砂災害や河川氾濫の危険があるほどの量であるという。 続いて取り上げられたのは「降水確率」であった。浅草で通りがかりの人たちに「降水確率30%の予報で、傘を持っていくか?」と聞いてみたところ、10組中10組全ての方が「傘を持っていかない」と答えた。同じ質問を気象予報士にぶつけると、全員が「傘を持っていく(折りたたみ傘を含む)」と答えた。ウィキペディアによれば、降水確率は、 予報区内で一定の時間内に1mm以上の雨または雪(融けたときの降水量に換算する)が降る確率であり、0%から100%まで10%刻みの値で発表される。予報区内であれば場所については特定せず、どこでも同じ確率である。なお、1980年代前半頃までは0%と10%の間に「5%未満」という値が発表されていたことがある。というように定義されており、特に留意すべき点は、降水確率の大きさと、降水量の多さは関係が無いということ。また降水確率100%だからといって、当該時間帯にずっと雨が降り続くとは限らないということだ。 番組に登場した南利幸予報士は、降水確率30%だからといっては、野球の3割バッターがヒットを打つのと同じくらいと考えるとよいと喩えておられた。なお、南さんは、「太平洋側では年間365日のうち大体100日くらい(27%)雨が降る。30%はそれより高い。梅雨の最盛期の降水確率でも40%なので、30%は結構高い。」というように言っておられたが、年間の降水確率が27%であるとすると、毎日天気予報で「きょうの降水確率は27%です」と365日繰り返したとすると、その確率予報は正確であったということを意味するように思う。あるいは、天気予報を全くチェックせずに外出した人が雨に降られる確率は27%であるということもできそうだ。 いずれにせよ、予報精度が高まれば、降水確率は0%もしくは100%として発出されることが望ましいように思う。もちろん、精度を高めるためには、予報対象地域を細分化する必要もある。 次に取り上げられたのが、お天気マークの功罪である。お天気マークは、広域の予報をシンボル化したものであるゆえ、マークが曇りになっていても局地的に大雨が降る場合がある。番組では、2014年8月19日の広島市安佐地区では、お天気マークは曇りになっており、降水確率も40/40/40(6時間ごと)と表示されていたが、3時間で200ミリを超える大雨が降り土砂災害が発生した。この時は、広島の一部の地域に線状降水帯がかかっており、「ところにより雨が降るでしょう」という音声には反映するが、お天気マークには現れないという。ここから「天気予報は見るな、聞け」というガッテン風の教訓が提案された。このことに限らず、気象予報士による音声の説明では、さまざまな心遣いが伝えられており、予報士の声に耳を傾けることが必要と言える。 もっとも、実際にテレビで天気予報を見ている人は、音声には殆ど注意を向けていない。番組で行われた実験によれば、お天気マークとは真逆の音声を流したり、「雨が降るので傘のご用意を」という代わりに「槍が降るので盾のご用意を」と放送しても10人中9人が気づかなかった。 ここからは私の感想・考察になるが、隠居人生活を堪能している私の場合、主要な関心事は、日々のウォーキングの際に雨に降られるかどうかという点である。もっとも、そのためにテレビの気象情報の時間まで待つのは面倒なので、完璧に晴れている時は別として、雨の降りそうな心配がある時は、気象協会やウェザーニュースの予報や、リアルタイムレーダーを参考にしている。短時間先までの予報なので滅多に外れることはない(昨年夏にいちど雨宿りしたことがあった)。 いっぽう、帰省などの計画を立てる時には、日々の予報よりも、気圧配置や(冬で言えば)上空の寒気の強さなどの情報を重視している。 最近ではスマホなどのお天気マークだけを頼りに行動している人もいるようだが、仮に降水確率50%というような予報であっても雨の原因が前線の通過によるものか、積乱雲の発生によるものか、冬型に伴う時雨なのか、などによって対応は全く変わってくる。「きょうは降水確率が○○%だ」という情報よりは「きょうは、××の理由により雨が降る可能性がある」という、理由を示した情報のほうが遙かに有用であるように思う。 |