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↓の記事で、1966年に竣工した出光丸の話題を取り上げたところであるが、タンカーと言えば、私自身、1966年頃、姫路の飾磨から四国沖を通って徳山まで乗せてもらったことがあった。一般人としてはまことに貴重な、人生で一度限りの体験であった。 ※モノクロ写真を着彩アプリで着色している。 |
【連載】プロジェクトX4Kリストア版【クォーツ式腕時計』『出光丸』 昨日に続いて、NHK-BSPで、4Kリストア版として再放送されているプロジェクトXの話題。本日は、5月以降に放送された、
まず#64のクォーツ式腕時計は1969年に発売された。ウィキペディアによれば、 初代は服部時計店(現セイコーホールディングス)の開発部門である諏訪精工舎(現セイコーエプソン)による10年間の開発を経て、1969年12月25日に東京で発売された。45万円(当時、中型車1台に相当)という価格にもかかわらず、発売から1週間以内に100台が売れた。と記されている。初回放送時の2001年の時点で、世界で使われている98%がクォーツ腕時計となっているという。 放送内容から逸れるが、この放送を視た時点でよく分からなかったのは、服部時計店と精工舎の関係、セイコーエプソンとセイコーホールディングスとの関係であった。ウィキペディアなどで検索してみると、
放送では、タンスの大きさほどもあるクォーツ時計をいかに腕時計として小型化するのかについての努力が語られた。その一例として、音叉の形にヒントを得たU字形への改良により消費電力を抑える工夫、社員たちが開発した腕時計をはめてバレーボールを打つという耐久試験などのエピソードが印象的であった。 ここからは私の感想になるが、私が腕時計を使い始めたのは中学生の頃(1965年入学)からであったが、当時はまだクォーツ時計は登場していなかった。1日に数分程度の誤差が生じるのは当然であり、毎日、時計合わせとネジ巻きを欠かすことは無かった。当時は、石数の多い時計のほうが高級とされていたが、「クオーツ式」というのが登場しても、その石の一種だろうという程度にしか気にとめていなかった(というか、値段が高すぎて購入対象にはなっていなかった)。その後、大学院生の頃(1970年代後半)からはカシオのデジタル腕時計を使い始めており、現在に至るまで一貫してデジタル腕時計の愛用者となっているが、クォーツが使われているのかどうかは分からない。いずれにせよ、最近はずっと電波式時計を使っているので、時間を合わせることは一度も無いし、また太陽電池式なので電池交換の必要もない。機械式腕時計の時には必須であった分解掃除も全く不要。いまメインで使っている腕時計は2011年9月に購入したものであり、11年使い続けているが特に問題ない【別に、山登り用に高度計・温度計つきの腕時計があるが、新型コロナ以降はもっぱら室内の明るい場所に保管しているだけで(←太陽電池の充電のため)、全く使う機会がない】。 ということで、放送内容とは関係の無い話ばかりになってしまったが、クォーツ式腕時計とはあまり縁の無い私であった。 次の#104のタンカー建造の話だが、全長342メートル、20万t級の世界一の出光丸が建造されたという話は1966年当時にも聞いたことがあった。当時の日本で消費される1日分の原油を一度に運べるというのもスゴイ。 このタンカー建造の背景には、
放送では、現場監督の熱意と活躍、「ハイテンション鋼」の採用、それに伴う溶接技術の改良などが取り上げられていたが、私の好みであるような、画期的な着想を取り上げたエピソードは無かった。なので、内容的には、これまでにリストア版で放送された富士山レーダー、東京タワー、青函トンネル、新幹線、YS-11などと比べて、特に際立った感動場面は無かった。ま、大型のプロジェクトというのは、個人の活躍範囲が限られており、困難克服場面ばかりを誇張するとわざとらしく感じてしまうところがある。何事も無く計画通りに遂行されたプロジェクトにも、ハプニング連続のプロジェクトと同等以上の価値があるように思う。 ところで大型タンカーであるが、ウィキペディアによれば、世界最大のタンカーは1979年に建造されたノック・ネヴィスであり56万重量トンであっ(総トン数では5位)た。もっともこのタンカーは純日本製ではなく、製造過程でいろいろな変遷があったようだ。また、1988年にはイラン・イラク戦争で撃沈された後浮揚・修理されたという経歴を持っていたが、最終的には2010年に解体。また、この船以降は、大型化は沈静化しているという。 いちばん気になるのは日本の造船業の衰退である。私が中高生の頃は、造船は日本がトップシェアを誇っており造船王国と言われていたものだが、2000年代に入って、中国と韓国が台頭し、日本は3位に転落。復活の兆しも見られないという。もともと海岸線の長い国であるゆえ、海運、漁業、防衛のほか、洋上風力発電や波力・潮汐力を利用した発電、海底資源開発、大型病院船の建造など、造船関連の需要は相当にあるはず。国力の基盤をささえる産業としてもっと育成する必要があるように思う。 |