【小さな話題】年末に観た映画『ニューヨークの恋人』『戦国自衛隊』『ポーラー・エクスプレス』
12月下旬に録画・再生で観た映画の感想。
- 【12月19日 NHK-BSP】ニューヨークの恋人
2001年のアメリカ映画。「仕事と出世しか頭にないキャリアウーマンと125年前からタイムスリップしてきた英国貴族の恋」という典型的なタイムスリップもの。それなりに感動的ではあったが、「退屈で予測可能であり、タイムトラベルのシナリオは内部ロジックに欠けている」と批評されている通りで、あまり意外性は無かった。
似たようなタイムスリップものとしては、韓流ドラマ『屋根部屋のプリンス』のほうが遙かに面白い。ま、映画という短時間の中で提供できるエピソードは限られているのでやむを得ないところはあるが。
タイムスリップものではないが、『今夜、ロマンス劇場で』とも似通った結末になっている。もっとも『ロマンス劇場』の本当の意味でのハッピーエンドというのは、ラストシーンではなくて、「牧野と美雪が現実世界で長年にわたって連れ添って生活できた」という点にあると私は思っている【2020年5月22日の日記参照】。
- 【12月22日 BS日テレ】戦国自衛隊
1979年の日本映画。当時私は大学院生であり、この映画が宣伝されていたことは知っていたが、アクションものには興味が無く、これまで観たことが無かった。
アクションものとしてはそれなりに見せ場があって面白いとは思うが、ストーリーの展開には納得がいかないところがあった。もし実際に、自衛隊の小部隊が戦国時代にタイムスリップしたとしたら、私が指揮官であれば、
- 戦国大名が攻撃してきた時は警告のために最低限の反撃をする。
- その後、お互いに一切干渉しないという条件で領地の一部を使わせてもらうという協定を結ぶ。
- 確保した領地内では、近隣の村との最小限の交流で農機具や釣り具などを調達して自給自足生活を始め、再び現代社会に戻るチャンスを待つ。
という態勢を整えるだろう。
しかし、映画では、部隊の一部は離隊して、恐れ多くもご先祖さまにあたる村の女を強姦したり略奪したりという悪事を重ねる。この映画が公開された当時は自衛隊の宣伝映画の意図があるかと思っていたが、これでは逆に自衛隊の品位を汚す展開。じっさい、ホンモノの自衛隊は、「戦国時代とはいえ、自衛隊員が無許可で離隊すること、民衆を襲う、隊員同士が戦闘する内容に否定的な自衛隊は、前年の角川映画『野性の証明』に防衛庁が協力しなかったのと同様に、本作への支援を一部に止めた。」という対応をとったという。
伊庭が率いる本隊のほうも、戦国武将と戦った上、最後は全滅してしまった。けっきょく、この部隊が戦国時代に残したのは、敵の武将や家来を大量に殺戮したこと、村の女たちを強姦したこと、など破壊的・犯罪的な行為ばかりであって、何もプラスになるような結果はもたらさなかった。いくら戦国時代にタイムスリップしたとは言っても、自衛隊としてもう少しマシなことはできなかったのか、もしくは(これでは映画にならないが)一切干渉しないということに徹するか、といった対応ができなかったものかと思う。
- 【12月24日 NHK-BSP】ポーラー・エクスプレス
クリスマスらしい内容であったが、ポーラー・エクスプレスというのが実は子どもたちを誘拐して(ピノキオの話にあるような)ロバに変えて働かせる列車ではないか、という疑いを持ってしまったため、結末に至るまで何かとんでもないことが起こるのではないかという目で見ていた。実際は、最後までごく穏便な展開であった。
列車の屋根の上を移動したりスキーで滑ったりするシーンがあるが、列車のスピートや風圧などを考えるとああいった動きは物理学の法則に反しているように見えて不自然に感じた。
この映画に限らないが、CGアニメーションに登場する人物はどこか薄気味悪さを感じる。視線の向け方、もしくは、まばたきをしないことなどが影響しているのではないかと思われるが未確認。
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