Copyright(C)長谷川芳典 |
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11月8日の早朝5時47分頃、西の空に沈む木星の写真を撮ろうとしたところ、その左上に木星より明るい星が出現し、オリオン座を通過、さらにシリウスに接近した後、南の低い空のほうに遠ざかっていった。 こちらのサイトで確認したところ、ちょうどISSの予報時刻と一致していることが分かった。
ISSは何度も見たことがあるが、事前に予報を調べておいてその時間に待ち構えていることが多かった。今回のように事前の情報なしに目撃したということは過去数回程度しか記憶に無い。 |
【連載】笑わない数学(5)非ユークリッド幾何学(5)現実世界と非ユークリッド幾何学 昨日に続いて、10月4日にNHK総合で初回放送された、『笑わない数学 シーズン2』: ●非ユークリッド幾何学 についてのメモと感想。今回で最終回 放送の終わりのところでは、非ユークリッド幾何学は数学者の頭の中だけで構築される非現実的な世界ではなく、一般相対性理論にも関係しているという話題が取り上げられた。アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)が1916年に完成したこの理論では「時空が質量の影響で非ユークリッド幾何学的に湾曲する」ことを予言、1919年に行われた観測により太陽の後ろ側からやってくる星の光が太陽の重力で曲がることが確認された。つまり、太陽あるいは重い星を囲むような三角形を描いた場合、その三角形の内角の和は180°にならないことを意味する。私たちの住んでいる世界は実際には非ユークリッド幾何学でできていることが明らかになった。 非ユークリッド幾何学の意義として放送で挙げられていた例はこの相対性理論の一例のみであったが、素人の私にはイマイチ分からないところがあった。というのは、光が曲がるというだけの現象であれば、プリズムや望遠鏡でも起こりうることであり、どれだけ曲がるのか(屈折するのか)というのは、ユークリッド幾何学の枠組みでしっかりと記述と思われるからであった。 天文現象において非ユークリッド幾何学のほうが有用であること示すのであれば、「直線が歪む」という事例ではなく、1点を通る平行な線が別の場所で別の線として観測される」ことを示すべきではないだろうか。 ネットで検索すると、非ユークリッド幾何学の適用例としては、地球上で描く三角形が挙げられることもあるようだ。例えば北極点を中心として、90°の角をなすような直線を引いたとする。この場合、ユークリッド幾何学の直線であれば地上から離れて宇宙の遠くに伸びてしまうが、そうではなく経線が直線であると見なすと、いずれ赤道と交わる。その場合、赤道と経線の2つの交点は直角をなすので、北極点と2つの交点によって形成される三角形の内角の和はは 90°+90°+90°=270°になってしまうというものである。もっとも、球面の性質はユークリッド幾何学の枠組みで記述できるし、経線や赤道は円弧として表すことができる。なので、上記の内角の和が270°になるという「三角形」も、円弧を辺とする「球面三角形」として別に定義すればそれで済むように思われる。 放送では「私たちの住んでいる世界は実際には非ユークリッド幾何学でできている」と解説されていたが、そうではなくて、「私たちの住んでいる世界は、ユークリッド幾何学よりも非ユークリッド幾何学を採用したほうがより簡潔に記述できる」ということではないかという気もする。ま、それを言い出すと、地動説と天動説のどちらが正しいのかという議論にも関係してくる。私が知る限りでは、地動説が正しくて天動説が間違っているということは必ずしも言えない。おそらく、 ●地動説に矛盾が無いならば、天動説にも矛盾は存在しない。 と考えるべきであろう。但し、天文現象を予測したり惑星探査の軌道計算をする際には地動説のほうが簡潔に記述できる。そうした有用性から地動説が採用されているだけである。といっても、地上の観測者にとっては天動説的な記述のほうが有用な場合もある。例えば「立冬とは太陽の黄経が225°になる瞬間、もしくはそれを含む日」というように二十四節気の定義などは天動説的に記述される。 非ユークリッド幾何学のうち、リーマン幾何学(球面幾何学)に有用性があることは分かった。これに対して、ボヤイが発見したとされるもう1つのほうはどうなっているのだろうか? ウィキペディアを閲覧したところ、 双曲幾何学またはボヤイ・ロバチェフスキー幾何学 とは、まっすぐな空間(ユークリッド空間、放物幾何的空間)ではなく、負の曲率を持つ曲がった空間における幾何学である。ユークリッド幾何学の検証ということでサッケリーなども幾つかの定理を導いているが、完全で矛盾のない公理系を持ちながらユークリッド幾何学ではないような新しい幾何学と認識してまとめたのは同時期にそれぞれ独立に発表したロバチェフスキー(1829年発表)、ボヤイ(1832年発表)、およびガウス(発表せず)らの功績である。【中略】双曲幾何学の場合には、「ある直線 L とその直線の外にある点 p が与えられたとき、p を通り L に平行な直線は無限に存在する」という公理に支えられて構成される。というように紹介されていた。さらに、 双曲幾何学では、ユークリッド原論の平行線公準以外の公理公準はすべて成立する。これは平行線公準が独立した公準であり、ほかの公準からは証明できないということである。なぜならば他の公準から証明できるとすればその他の全ての公準が成り立つ双曲幾何学でも平行線公準が成り立つはずだからである。この幾何学は、もともと平行線公準をユークリッド原論のほかの公準から証明しようとして作られた幾何学だが、皮肉なことにこの幾何学により平行線公準は独立でほかの公準からは証明できないことが証明された。と述べられており、これだけでも数学的には価値のある幾何学であるようにも思える。 なお、 ●岡山大学理学部 高校生向け講義 「曲がった世界の幾何学入門〜非ユークリッド幾何学〜」 を視聴したところ、リーマン幾何学は「瀬戸大橋など地球規模の建物の建築」、双曲線幾何学のほうが「相対性理論などの新しい理論に使われている」と説明されていた。あれぅ?一般相対性理論で使われているのはリーマン幾何学ではなかったかなと思ってBingに、 ●一般相対性理論の中で使われている非ユークリッド幾何学は、リーマン幾何学(球面幾何学)と、ボヤイ・ロバチェフスキー幾何学(双曲線幾何学)のうちのどちらでしょうか、それとも両方でしょうか? と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。 一般相対性理論の中で使われている非ユークリッド幾何学は、**リーマン幾何学(球面幾何学)**と**ボヤイ・ロバチェフスキー幾何学(双曲線幾何学)の両方**が使われています1。リーマン幾何学は、曲率が正の空間を扱う幾何学であり、ボヤイ・ロバチェフスキー幾何学は、曲率が負の空間を扱う幾何学です2。この2つの幾何学は、一般相対性理論において、重力場の曲率を表現するために使用されます1。うーむ。どちらも使われているとすると、宇宙は1つの幾何学で一様に表現できるのではなく、局所的にどちらかの非ユークリッド幾何学が成り立つような世界でできているということなのか? それとも、ユークリッド幾何学を含めて3つの幾何学は1つの理論に統合できるということか? よく分からなくなってきた。そういえば少し前、NHKで真夜中に 相対性理論の講義が行われていたことがあった。いちおう録画はしてあるのだが、まだ最初の10分程度しか視聴できていない。この際、年内にはちゃんと視聴したいと思う。 |