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5月17日の楽天版に半田山植物園のバラ12種の写真を掲載したところであるが、これとは別に『キャベッジ・ローズ』という品種がハーブ園で見頃になっていた。 この木は手前が濃いピンク、その裏には白い花が咲いており、根元で1つになっていた。源平咲きかと思ったが、学芸員さんに尋ねたところ、白い花はノイバラ系の台木であり、『キャベッジ・ローズ』は根元の近くで接ぎ木したものであることが分かった。 |
【小さな話題】ウグイスで『じぶん更新』 4月28日初回放送ののNHK『ダーウィンが来た!』で、 ●街にも進出!?ウグイス美声の真実 という話題を取り上げていた。 ウグイスの鳴き声は半田山植物園の裏山や近郊の低山でしばしば耳にするが、メジロなどに比べると殆ど姿を見たことがない。いつも高い木の枝で鳴いていることから、巣も高い木の枝に作り、つがいで子育てをしているのだろうと思っていた。今回の放送でそうした思い込みが間違っていたことが分かり、「ウグイスについて新たな知識を得た」という点での『じぶん更新』になった。 放送ではまず、街角でウグイス、センダイムシクイ、メジロという3種の鳥の写真を見せてどれがウグイスなのかを当ててもらう調査が紹介された。正解率は半分以下であったという。ウグイスの姿があまり知られていないのは1年じゅう藪の中でひっそりと子育てをしているためであった。 動物写真の専門家がやっとのことで見つけたウグイスの巣は、深い笹藪の中にひっそりと作られていた。卵はチョコレート色で一度に5個ほど生む。生後2週間ほどで巣立っていくという。 ウグイスは春に鳴き始める鳥であるが、近隣の低山では秋までさえずり続ける。放送でも説明されていたが、ウィキペディアのほうにより詳しい解説があった。放送内容と合わせて要約引用すると以下のようになる。
こうした繁殖戦略は、藪の中のヘビ、イタチ、タヌキなどに襲われて子孫が全滅するリスクを回避する上で有効であるようだ。仮に一夫一妻のつがいで子育てをしたとすると、給餌の頻度は2倍に増えるものの、いったん天敵に襲われれば全滅してしまう。いっぽう縄張り内で複数のメスに雛を育ててもらえば、外敵に襲われずに巣立ちできる可能性が高まる。ちなみに、実際に巣立ちできるのは2割程度であるという。 放送では続いて、ウグイスの市街地進出の話題が取り上げられた。『東京都鳥類繁殖分布調査』によれば、1973〜1978年にウグイスの繁殖の可能性がある地点は殆どが奥多摩などの山地に限られていた。ところが2016〜2021年になると市街地のある平地での確認が増えているという。 その原因として推測されているのが野生のシカの繁殖。シカは全国的に増えており、山の下草を食べ尽くしてしまう事態が起きている。そうなるとウグイスは山地では繁殖できなくなる。放送では、郊外の民家の敷地と車道のキワにある笹の茂みの中にウグイスの巣が作られている事例が紹介された。 ここからは私の感想になるが、野生の鳥が都会の街路樹などで繁殖するようになった例は他にも知られている。天敵が少ないことと、それなりに餌や水が調達できるためであろう。鳥の仲間はインプリンティングが起こりやすいので、孵化した直後から人間たちの姿を見て育ち、かつ人間たちに危害を加えられたことが無いままに育てば、そうした雛が大人になったあとも街中を好んで生息するようになるかもしれない。 余談だが、ウィキペディアによれば 「ホーホケキョ」とさえずるのを初めて聞いた日を『ウグイスの初鳴日』と呼び、気象庁が生物季節観測に用いていたが、2021年(令和3年)1月以降はアジサイなどの植物のみを対象とした6種目9現象を継続し、ウグイスはそれ以外の種目・現象と共に観測対象から廃止された。とのことであるが、仮に観測を継続していたとしても、ウグイスの初鳴きの日の変化が気象を反映しているとは言えない可能性があった。初鳴き日が早まったとしても、それが地球温暖化のせいなのか、それとも、市街地進出で個体数が増え、初鳴き日の変動幅が拡大したために早くなったのかは、個体数や生息地域の調査を平行しないと断定できないだろう。 |