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9月2日の日没時の風景。夕日が積乱雲などに遮られて、雲の影が東方向に伸びていた。 |
【連載】サイエンスzero『“宇宙の夜明け”ジェイムズ・ウェッブ最新報告』(1) 8月25日に初回放送された、NHK『サイエンスzero』、 ●ついに見えた!“宇宙の夜明け”ジェイムズ・ウェッブ最新報告 についてのメモと感想。 2021年に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の本格的な観測開始から2年が経過し、星や銀河やブラックホールの誕生・成長に関するこれまでの理論では説明できない観測事実が出てきたという話。惑星や衛星も興味深いが、今回のような宇宙の成り立ちに関する話題もまた興味深い。私の寿命が尽きるまでにどこまで新しい発見が続くのか、できるだけ長生きしたいものである。 放送ではまず、宇宙の誕生について、現在の段階で最も妥当とされている理論が紹介された。
ウィキペディアによれば、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の概要は以下の通り。 主な任務は、宇宙誕生ビッグバンの約2億年後以降に輝き始めたとされるファーストスター(種族III)を初観測することである。ファーストスターからの光は赤方偏移により波長が引き延ばされ赤外線に変化すると考えられており、赤外線域で捜索・観測することによって、ファーストスターを発見することが期待されている。そのほか、搭載する高解像度の赤外線画像センサーと分光器による系外惑星の観測についても、新たな知見が得られるのではないかと期待されている[6]。言うまでもないことだが、遠くにある天体を観測するということは、かつてそこにあった昔の天体を観測することに他ならない。なので、別段タイムマシンなどを発明しなくても、130億年離れた天体を観測できれば、宇宙の夜明けの状態をそっくり観測することができる。但し、こうした天体を地上から観測することは困難であった。あまりにも遠い天体からの光は波長の長い赤外線になってしまうため、地上の大気によって吸収されてしまい地上からの観測を難しくしていた。いっぽうジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は大気の影響を受けないので赤外線を捉えることができるという。 放送では、播金優一さん(東京大学)が分析している画像が紹介された。画像の領域内の約3万個の天体の中から発見された天体は、宇宙誕生からわずか3.8億年の銀河であると分かった。その近くには宇宙誕生から4億年の銀河、さらに海外で発見された天体を含めると、宇宙誕生から4億年以内に誕生していた銀河が10個も見つかった。さらに20個以上の候補も挙げられている。そしてこれだけ多くの銀河が発見されたこと自体が従来の想定を覆す大発見になっているという。これまでの理論予測ではビッグバンから4億年経過の時点で誕生している銀河は多くても3つとされていた。 吉田直紀さん(東京大学)によれば、今回の発見では銀河がたくさん見つかっただけでなく明るく輝いている点にも注目する必要がある。おそらく1つ1つの銀河に星がたくさんあり、またその瞬間に星がたくさん生まれている。星はガスから生まれるが星になれるのは全体の1%に過ぎない。もし星ができる効率が数倍から10倍高ければたくさん銀河があっても不思議ではない、と解説された。 次回に続く。 |