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「tan1°は有理数か?」を解説した動画の1画面。しかしこの画面には1つ重大な誤りがある。答えはこちら。 |
【小さな話題】「tan1°は有理数か?」の拡張 ●tan1°は有理数か? (2006年京都大学入試問題) の拡張について考えてみた。 この問題は、入試が行われた当時から話題になっており、YouTubeにも解説動画が多数投稿されている。とりあえずそのうちの3本をリンクさせていただく。
さて、ここからはこの問題の拡張について考えてみる。入試問題に対して正解を得るだけなら上掲の背理法で十分であるが、そもそも、θを自然数とする時、tan θ°はθがどんな値の時に有理数となり、どんな値の時に無理数になるのだろうか? ちなみに、簡単に計算できる例としては、
●tan1°の厳密値を求めれば京大の伝説の問題は解けるのか という記事があった。もっとも直接計算でtan 1°を求めるというのは大変な作業になることが分かった。 ま、それはそれとして、「tan 1°」というのが数学的にどれほどの意味を持つのか分からないところもある。そもそも1°という角の大きさは、人間が勝手に一回りの角を360°と定めたことから決まっただけのことであって、何かの単位元になるわけでも何でも無い。なので、数学として意味のある一般化を目ざすのであれば、ラジアンで表記したほうがよい。というか、ラジアンやパイを使わなくても、 ●円周をn個に等分割した時の中心角(弧を切り取った時の2本の半径がなす角)をθとする。tan θが有理数になるのはnがどのような値になる時か? というように問題を立てれば一般化できているように思われる。ちなみに上記でn=8の時はちょうどθが45°となるのでtan θ=1となる。これ以外のnでtan θが有理数になるのかどうかは直ちには分からない。 もっとも、『Niven’s theorem(ニーベンの定理/ニーヴェンの定理)』というものが知られており、それによれば、 θとsinθがともに有理数となるのは0°,30°,90°のみである。イヴァン・ニーベンに因んで名付けられた。式で表せば、θとその正弦が有理数となるのは以下の場合のみである。sin 0°=0、sin 30°=1/2、sin 90°=1。これをtanに置き換えるとtan θの取り得る有理数は0と±1でありそれ以外はすべて無理数となることが言える。よって、当初の入試問題に対する回答は、 ●ニーベンの定理により、tanθが有理数になるのはθ=0°または45°の時に限られる。よってθ=1°の時は有理数ではない【終わり】。 と解答すれば多少は点が貰えるはずだ。元のsinθの時の定理からの変形を書いておけばなおよろしいかも。 |
クイズの答え
京大の時計台ではなく、東大・安田講堂のイラストが描かれている。京大の時計台はこんな感じ。安田講堂はこんな感じ。 |