じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月13日(日)の夕刻はよく晴れ、双眼鏡なしでも紫金山・アトラス彗星を眺めることができた。写真は妻がスマホで撮影したもので、私のデジカメではうまく写らなかった。
 肉眼での見え方はこの写真とほぼ同様。ヘール・ボップ彗星ほどの明るさはなかったが、今回の方が長い尾が見えており、双眼鏡ではこれぞまさしく彗星といった形で少々不気味にさえ感じた。
 彗星は14日にも観望のチャンスがあるが15日以降は雲の影響を受けそう。ま、この先曇ったとしても、私としては1回見られただけでも大満足。
 ちなみにこれまで私が見たことのある主な彗星は以下の通り。


2024年10月14日(月)




【連載】チコちゃんに叱られる! なぜ4文字の擬音語や擬態語が多い?

 昨日に続いて、10月11日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. なんで秋になると紅葉するの?
  2. なんで曲の一番盛り上がる所をサビっていうの?
  3. 【体にまつわる面白い現象】足を回すのと6を書くのは同時にできない。
  4. 胸がドキドキ 雷がゴロゴロ なんで繰り返すの?
という4つの話題のうち、最後の4.について考察する。

 4.の疑問は要するに、なぜ4文字の擬音語や擬態語が多いのかということのようだ。放送では「繰り返すことを言っているから、そして日本人は4つの音が好きだから」が正解であると説明された。

 言語学を研究している秋田喜美さん(名古屋大学)&ナレーションによる説明は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 雷の音はゴロっとなっているとは言わない。ゴロゴロと言うことで繰り返している様子が伝わる。
  2. 「ゴロゴロ」や「ドキドキ」はオノマトペという。オノマトペは聞こえる音を単語にした擬音語(ゴロゴロ・ドキドキ・ドカン)や、様子を表す擬態語(キラキラ・つるつる・プリッ)の事をいい、繰り返す表現が多く使われている。
  3. この繰り返す表現は日本最古の書物「古事記」にも登場している。木の枝がこすれる音として「佐夜佐夜(さやさや)」、中に空洞がある様子として「富良富良(ほらほら)」など。
  4. 今昔物語では「きらきら」「さらさら」「くるくる」「こそこそ」「ほろほろ」「はらはら」など多くのオノマトペが使われていた。【出典は、山口仲美(2002).『犬は「びよ」と鳴いていた: 日本語は擬音語・擬態語が面白い』 (光文社新書 56)
  5. なぜ2回繰り返すのか?には『言語の経済性』が関係している。言語の経済性は言葉が使われるうちに音が少なくなること。おかずは「数々取りそろえる」という言葉が短くなり「おかず」になったと言われている。「面倒くさい」を「めんどい」と言うのも同様。
  6. 繰り返すオノマトペは複数回起こる現象を表している。最短の2回だけ言うことで複数回起こることを表現している。
  7. 他にも2回の理由として考えられるのは『4モーラ構造』。モーラとは拍を意味している。
  8. 日本語は4モーラの言葉を作りがち。リモートコントローラーをリモコン。コンビニエンスストアをコンビニ。業界用語の「シースー」「オイニー」。さらに「キムにい」(木村祐一)や「キムタク」(木村拓哉)も同様。
  9. 日本語を話す人にとって4モーラのリズムは心地良いと言われている。
  10. 『日本語アクセント辞典』(昭和26年版)によれば、およそ4万7000語の日本語のモーラの分布は、
    • 1モーラ:0.3%
    • 2モーラ:4.8%
    • 3モーラ:22.7%
    • 4モーラ:38.8%
    • 5モーラ:17.7%
    • 6モーラ:11%
    • 7モーラ:3.3%
    • 8モーラ:1.2%
    • 9モーラ:0.2%
    というように4モーラが約4割を占めている。
  11. 「ドカン」や「ドキッ」もじっさいに使う時には「ドカンと」、「ドキッと」というように「と」がついて4モーラ構造になる。
  12. @伝わりやすい、Aむだがない、Bリズムとしても心地よい、などの理由から2回繰り返す4モーラ構造の表現が主流となったと考えられる。
 放送ではさらに、オノマトペクイズとして、
  • 彼はアキレスけんの治療も終わり○○○○走っている。【足取り軽く走る様子】
  • 彼は家に帰ると○○○○燃える火を見て癒やされる。【小さな火が揺れながら燃えている様子】
  • 彼女は仕事のギャラを聞いて○○○○していた。【物事がうまく運んで喜んでいる様子】
という3問が出題された。正解はそれぞれ、「スタスタ」と「メロメロ」と「うしうし」であった。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず上掲の説明の中では5.の「言語の経済性」と2回繰り返す理由との関係がよく分からなかった。「数々」自体も2回繰り返しておりそれ自体はこれ以上短くはならない。「おかず」の語源が「かずかず」であったとしても、単に派生しただけであって、経済性は関係なさそうに思われた。

 次に、説明9.の「日本語を話す人にとって4モーラのリズムは心地良い」と11.の「「ドカン」や「ドキッ」もじっさいに使う時には「ドカンと」、「ドキッと」というように「と」がついて4モーラ構造になる。」という点だが、私はむしろ、4モーラ構造の擬音語や擬態語に「と」をつけて5モーラ構造にしたほうが心地よいように思う。上掲のクイズの「スタスタ」と「メロメロ」と「うしうし」は、私にはすべて「スタスタと」、「メロメロと」、「うしうしと」というように「と」をつけたほうが心地よい(=おさまりがよい)ように感じる。日本語は五七五の俳句や五七五七七の和歌に見られるように5モーラで心地よく感じるようにできているのではないか、そのために「○○○○と」から「と」を除いた部分が4モーラになっているのではないか、という気がする。

 放送内容に関する感想はここまでであるが、オノマトペについてはいくつか考えていることがあるので、もう1回分、連載を続ける予定。