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12月日初回放送の『チコちゃんに叱られる!』で、「ベートーヴェンの肖像画が怒っているのはなぜ?」という話題が取り上げられた。 ここでいう肖像画とは、ヨーゼフ・カール・シュティーラーによって描かれたものであった【写真左】。しかし、放送の中では一部、これとは別の肖像画が使われており【写真右】、このことについては何も言及されていなかった。 2018年12月14日初回放送の「なぜ音楽室には肖像画がある?」で取り上げられていたように、音楽室に飾られているベートーヴェンの肖像画は、全音が楽器販売に参入するためのおまけとして作られたものであり、原画ではなく大貫松三さんが模写したものであったという【こちらに詳しい記録あり】。楽譜やペンが描かれておらず白髪が少ないことから原画とは異なる。ということで写真右はおそらく模写のほうではないかと思われるが、未確認。 いずれにせよ放送で取り上げる以上は、作者がはっきりしている原画だけで解説してもらいたいところだ。 |
【連載】チコちゃんに叱られる! 「ベートーヴェンの肖像画」 12月8日に続いて、12月6日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
学校の音楽室で目にする音楽家の肖像画については、2018年12月14日初回放送のチコちゃんの放送で、 ●なぜ音楽室には肖像画がある? という疑問が取り上げられたことがあったが【2018年12月15日の日記参照】、今回はその肖像画の中のベートーヴェンが怒っているように見えるのはなぜか?という疑問であった。もっとも私自身はベートーヴェンが真剣なまなざしで作曲に没頭しているように見えるだけで、別段怒っているようには見えない。ということもあり、そもそも疑問として成立しないようにも思えた。 ま、それはそれとして、放送では「朝食のマカロニ・チーズがマズかったから?というのはウソで、本当は怒ってもいない」というように説明された。 西洋音楽史を研究している越懸澤麻衣さん(宮城学院女子大学)&ナレーションによる解説は以下の通り。なお、前回の炊き込みご飯の歴史のところで「東四柳」さんという珍しいお名前の方が登場されていたが、今回の「越懸澤(こしかけざわ)」さんもかなり珍しいと思われたのでこちらで検索したところ、 【全国順位】 88,440位 【全国人数】 およそ10人 となっていて、「東四柳」さんの【全国順位】 82,293位よりさらに珍しいことが分かった。もっとも「およそ10人」という人数は調査次第で変動する可能性があり、東四柳さんと越懸澤さんのどちらが珍しい名字なのかは何とも言えないように思われる。 もとの話題に戻って、解説は以下の通り【要約・改変あり】。【 】内は長谷川のコメント。
放送ではさらに、「偉人の肖像画には意外な真実が隠されている」例として、
ここからは私の感想・考察になるが、まずは上掲の画像欄でも指摘したように、ベートーヴェンの肖像画については、ヨーゼフ・カール・シュティーラーによって描かれた原画と、全音がおまけとして学校に配った大貫松三さんの模写を区別する必要がある。絵の全体としては、大貫松三さんの模写ではペンや楽譜は描かれていないのですぐに区別できる。 原画が制作された経緯やその後の所有権の推移については、山田五郎さんの、 ●音楽室のベートーヴェン描いたのは誰!?【年代別肖像画で見るベートーヴェン】 というYouTube動画で詳しく解説されている。なお動画のタイトルでは「音楽室のベートーヴェン描いたのは誰!?」となっているが、全音がカレンダーを配った当初であれば描いたのは大貫松三さんということになる。もっともその後、原画の複製が配られているのかもしれない。 山田五郎さんの解説によれば、ベートーヴェンの肖像画は若い頃から描かれており、いろいろな表情を見せている。ベートーヴェンは人生で大きな危機を2回迎えており、当該の肖像画が描かれた時はその影響のせいか厳しい表情になっている。ブレンターノ夫妻の依頼により制作されたものであり、ベートーヴェンとしても特別な想いがあって引き受けたらしい。他の音楽家の肖像画とは異なり、この絵は作曲中の姿を描いている。その曲名が『ミサ・ソレムニス』であることも絵から読み取れる。その後数奇な運命をたどった肖像画は1981年にベートーヴェン・ハウスに寄贈されて現在に至っている。 以上で、ベートーヴェンの肖像画にまつわる、
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