じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 某・直販所で巨大なサツマイモが280円(紅はるか、税込み)で売られていた。このタイプの太めのサツマイモはたいがい内部がスカスカになっていて美味しくないことが多いと思われたが、人生最大級の大きさのサツマイモを食べないとあとで後悔するかもしれないので、無駄買いを承知で購入した。
 帰宅後に測定したところ、重さは1.8kg、太い部分の周囲の長さは40cm、縦の長さは30cmであった。写真下のように、内部はそれほどスカスカにはなっていなかった。味は普通サイズのサツマイモと大差なし。

 ちなみにCopilotによれば、「世界最大のサツマイモの記録は、37kgです!この記録は、2004年3月8日にイギリスのサンデー・タイムズ紙によって確認されました。この巨大なサツマイモは、スリランカの農家で育てられました。」とのこと。出典はこちら


2024年12月24日(火)




【連載】チコちゃんに叱られる! 時間【時刻】はどうやって決めている?

 12月21日に続いて、12月20日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 「ジングルベル」のベルってなんのベル?
  2. 時間はどうやって決めている?
  3. 「付せん」を何度も貼ったりはがしたりできるのはなぜ?
という4つの話題のうち2.について考察する。

 放送によれば『時間』は、「世界中にあるおよそ400台のストップウォッチの平均値から決めている」というのが正解であると説明された【要約・改変あり】。

 井戸哲也さん(情報通信研究機構・時空標準研究室)&ナレーションによる説明は以下の通り。
  1. 日本の標準時は東京都小金井市にある情報通信研究機構(通称NICT)が決めており全国に送信している。
  2. 時間と時刻は違う。時間は時の長さを表すもの。時刻は時の流れの1点を示すもの。なので、今回の「時間はどうやって決めている?」は正確には「(時計の)『時刻』はどうやって決めているの?」になる。
  3. 時刻は昔は太陽の動きによって導き出されていた。しかし世界では場所により表示方法はバラバラだった。そこで1884年、世界共通の時刻を決めようということになった。
  4. ロンドンにあるグリニッジ天文台を通るのが本初子午線で経度0度。そこから東に15度ずつ離れるごとにプラス1時間、西に15度ずつ離れるごとにマイナス1時間の時差が設定された。これが地球の自転をもとに考えられた『天文時』。
  5. しかし『天文時』だけに頼ると時刻がずれてしまう。私たちが1日を24時間と考えるのは、例えば太陽が南中した瞬間から次の日に再び南中する瞬間までの時間である。しかし技術の進歩により正確に測定できるようになると、12時ジャストであるはずの南中時刻は早くなったり遅くなったりすることが分かった。
  6. 地球の時点は月の引力による潮の満ち干などで速度が変わる。そうすると南中時刻は時計の示す12時とはズレる。
  7. つまり(南中の瞬間から翌日の南中の瞬間までを24時間と定める)太陽を基準とした時間の長さでは、1秒が長くなったり短くなったりしてしまう。
  8. そこで天文学ではなく量子力学を使って新たに1秒の長さを決めることにした。1967年に『1秒』は

    ●1秒は、セシウム133原始の基底状態の2つの超微細構造準位の遷移に対応する放射の周期の、91億9263万1770回倍の継続時間

    として定義した。
  9. セシウム原子時計を使えば1秒は正確に測れる。しかし原子時計は時刻を刻むものではなく、ストップウォッチのように正確に時間を測るもの。
  10. 情報通信研究機構の施設内では18台の原子時計が稼動し1秒を測っている。しかしごくわずかながら差が出る。原子時計は世界中に約400台あるので、どこかの国で不具合が起きても支障が出ない。400台の平均をとることでより正確な1秒を計測できる。
  11. こうして割り出された1秒を過去の時刻に足して積み上げていくことで時刻が決められる。1958年1月1日の0時00分00秒がその起点となっている。これを『国際原子時』という。
  12. 国際原子時(TAI)に対して調整を入れた時刻が『協定世界時(UTC)』となる。国際原子時でも日常生活には問題はないが、船の運行や太陽の位置を気にする人たちにとっては時刻と太陽の動きがズレていると困ることがある。そこで地球回転に大体合った時刻を使っている。正午に太陽が南中するように合わせたものが『協定世界時』。
  13. 現在、『国際原子時』に比べて『協定世界時』は37秒遅れている。国際地球回転・基準系事業が「太陽の動きと原子時がずれそうだから1秒足しましょう」と半年前に決定して世界中に通知、それに応じてその年の正月もしくは7月1日に世界中が一斉に1秒を入れる。これを『うるう秒』と呼ぶ。
  14. 協定世界時に9時間足したものが『日本標準時(JST)』となる。こうして決められた日本標準時は、福島県と佐賀県にある標準電波送信所から全国に送られている。
  15. 【補足説明】2035年以降は、うるう秒の「実質的な廃止」が決定された。うるう秒を入れるとインターネットの世界でメール・取引が実際の時刻よりも早く送信されるなどの不具合が生じてしまうという要望がIT業界から出たため。うるう秒をやめたあとどうするのかは2035までに決めることになっている。

 ここからは私の感想・考察になるが、「1秒」、「1メートル」、「1キログラム」などの定義については時たま雑学系番組などで取り上げられており、私もある程度は知っていた。また「1秒」や時間の長さに関しては、
  • 2024年12月1日チコちゃんに叱られる! 「なぜ1日は24時間?」
  • 2022年2月13日コズミックフロント「宇宙をひらく 究極の“時間”に迫れ!」(1)光格子時計と卵パック【翌日以降に続編あり】
  • 2019年8月10日又吉直樹のヘウレーカ!「ボクの時間を増やせませんか」(1)【翌日以降に続編あり】
  • 2019年1月12日チコちゃんに叱られる!「なぜ地球は回っている?」
  • 2015年7月1日うるう秒の挿入
  • 2015年5月19日「うるう秒」18年ぶりの平日実施
などで取り上げたことがあった。

 今回の放送で少々疑問に思ったのは、

6. 地球の時点は月の引力による潮の満ち干などで速度が変わる。そうすると南中時刻は時計の示す12時とはズレる。

という説明であった。私が知っている限りでは、南中時刻のズレは地球の公転軌道が楕円であることによって生じており、潮の満ち干は短期的には影響を与えていないはずだと思っていたが、どうなっているのだろうか。
 また2015年5月19日に記したように、「うるう秒挿入」に関してはいくつか誤解がある。よく言われているのは「地球の自転速度が徐々に遅くなっているために挿入される」という誤解である。ウィキペディアには以下のように解説されている。
  • 地球の自転は長期的には徐々に遅くなっているが、それは1ユリウス世紀につき1.7ms/日 程度の変化(USNOの解説では、1ユリウス世紀につき1.4ms/日 程度の変化)という極めて小さなものである。
  • 1972年以降の地球自転速度の変化は、上記の遅れによるものではなく、数年ないし数十年周期の、もっと大きく、不規則な変動によるものである」 そうだ。もともと、地球の自転速度は 「1750年-1892年の間(平均的には、1820年頃)に行われた天文観測からサイモン・ニューカムが計算した秒の長さに基づいて決められたために、1958年当時の地球自転の歩度とは、合わなくなっていた」 ことがうるう秒挿入の一番の原因であり、国際原子時の歩度をもう少し長めに設定しておけば調整回数は少なくて済んでいた。
  • LODが長期的には100年間につき約1.4ミリ秒/日だけ長くなることは前述のとおりであるが、上記の1972年(3ミリ秒/日)、1990年(2ミリ秒/日)、2003年以降(1ミリ秒/日)の値からわかるように、ここ40年間では、一日の長さ (LOD) はむしろ短くなっている(地球自転速度が速くなっている)。


 あと、「およそ400台の原子時計の平均値」というのはあまりにも不確かという印象があるが、ウィキペディアによれば、2030年(第29回国際度量衡総会が開催)を目途に、光格子時計に基づく新しい秒の定義が採択される見込みであるという。

 次回に続く。