じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 1月6日の日経モーニングプラスFTで、2024年G7イタリアサミットに参加した首脳がその後どうなったのかが図示されていた。比較的安泰なのはイタリアのメローニ首相だけであり、それ以外はすでに交代、あるいは解散総選挙、不信任案可決、みずから辞任表明に追い込まれている。
 こうした政権交代は個々の国の個別の事情によるものではなく、自由主義先進国に共通した問題を反映しているように見える。トランプの大統領就任によりさらに混乱が深まる恐れがあり、隠居人生活を続ける私としても無関心ではいられない。

2025年01月09日(木)




【連載】NHK『ダークサイドミステリー 神秘の古代ミステリー 徹底検証!日本・ユダヤ同祖論(1)日本とイスラエルの共通性は偶然の一致か?

 2024年11月29日に再放送された表記の放送についてのメモと感想【初回放送は2023年7月13日】。

 私自身は『日本・ユダヤ同祖論』はこれっぽっちも信じていないが、なぜ一部の人たちがこうしたトンデモ説を信じてしまうのか、また「真実だと思わせるトリック」としてどのようなものがあるのか、という点には大いに興味がある。こうしたダマシのトリックを知っておくことは、健康食品の誇大な宣伝、高額な民間療法、脳科学モドキや進化生物学モドキのトンデモ理論を打ち破る上でも大いに有用ではないかと思う。

 放送の冒頭ではまず、日本とユダヤの共通性を示唆するような事例がいくつか紹介された。
  1. 『ソーラン節』の「ヤーレン ソーラン」はユダヤの暗号!?
  2. 歴史ある神社にユダヤのシンボルであるダビデの星!?
  3. 古代日本にやってきた謎の渡来人、秦氏一族
  4. 三柱鳥居
  5. いさら井
さらに、
  • 『かごめかごめ』の歌詞の不思議
  • 神社の鳥居はなぜ赤いのか?
  • 狛犬の正体は犬じゃない
などが挙げられた。これらの不思議を一気に説明できるとSNSなどで話題にされるのが『日本・ユダヤ同祖論』であるという。

 ここで再び『ソーラン節』が取り上げられた。ヘブライ語では「ヤーレン」は「神に喜び」、「ソーラン」は「一人歌う者」という音声として聞き取れる。
 さらに『かごめかごめ』の日本語歌詞をヘブライ語のよく似た音声に対応させて翻訳すると、

誰が守っているのか どうか守り、安置せよ。そして! 火をつけろ! 燃やせ! 神の社を失くしてしまえ! お守りの岩からは、水が湧き 荒地は生き返り、支配された。

という意味になる【こちらに別訳あり】。歌詞はモーゼの十戒を納めた『失われたアーク』のありかを示した暗号になっているとも言われる。 『かごめ』の「籠目」の模様は六芒星(ダビデの星)を表しているとも言われた。

 六芒星と同じ模様は山梨県笛吹市の甲斐国一宮・浅間(あさま)神社の成就石の中央にも刻まれている。六芒星の模様は、それ以外の由緒ある神社でもいくつか刻まれているという。

 放送では続いて京都市太秦にゆかりのある秦氏(はたうじ)が紹介された。
  • 秦氏は5世紀頃に大陸から渡来。聖徳太子の側近を務め、養蚕などの重要な技術を伝えたと言われるがその実像は謎に包まれている。
  • 秦氏が建てたと伝えられる『木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)』の境内の奧には『三柱鳥居』がある。この三角形の配置はキリスト教の三位一体を意味しているという噂がある。
  • 秦氏は当時大陸で景教と呼ばれていたキリスト教の文化を日本に持ち込んだ可能性がある。
  • 木嶋神社の近くには同じく秦氏が建てた大酒神社(元名;大辟神社)がある。明治時代の研究者によれば元名の「大辟(おおさけ)」の「辟」は辟に門構えをつけた「びゃく」と中国語の発音が同じで、「だいびゃく」と読むこともできる。「だいびゃく」の発音はダビデ王に似ている。
  • その神社の近くにある「いさら井」は発音がイスラエルに似ている。
  • 兵庫県赤穂市の「大避神社」にも「いさら井」がある。井戸は12本の石柱からできていて、古代イスラエルを気づいた12種族が示唆される。


 放送では続いて「神社の鳥居はなぜ赤いのか?」について、旧約聖書の中に

古代イスラエルの民は神からの災いを防ぐため、玄関の周囲を羊の血で赤く染めた

という意味の記述があること、また神社の狛犬は犬ではなくライオンであり、古代イスラエルの玉座の脇にある2頭のライオンに由来すると紹介された。

 ここまでのところでいったん私の感想・考察を述べさせていただくが、以上に挙げられた日本とイスラエルの共通性は、それなりに説得力があり、地道に証拠を積み重ねていかないと反論はなかなか難しいように思われる。
 もっともあらゆる議論について言えることだが、自説に合致する事例をいくらたくさん集めてもそれだけでは証明されたことにはならない。自説に合致する事例と合致しない事例を公平に集めた上で、偶然の一致とは言えないことを示さなければちゃんと証明したことにはならない。
 とりわけ、シンプルな図形・デザインについては偶然の一致の可能性が高い。例えば日本の菊花紋に似たデザインは、東トルコイランパキスタンでも見かけたことがあるが、だからといってこれらの地域に住む人々が日本人と同祖というわけではあるまい。また、五芒星の模様が安倍晴明のマークとモロッコの国旗で共通しているからと言って同じルーツがあるとは到底言えない。
 発音の類似性については放送の後半でも指摘されているように、偶然に一致した可能性がある。YouTubeで「国歌空耳」を検索するといろいろな国歌の歌詞が日本語で歌われているように聞こえることがある。日本語の発音は「母音」または「子音+母音」という比較的シンプルな組み合わせてになっているため、その気になればたいがいの言語では日本語と共通した言葉を見つけることができる。

 次回に続く。