じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 『岡山タワー』(長谷川が勝手に命名。公式名称は『OHK電波塔』)跡地でマンションの建築工事が行われていたが、どうやら本体部分がほぼ完成したようだ。
 ネットで調べたところ、最終分譲分で
  • 住宅占有面積 56.65〜282.75平米
  • 販売価格3200万円〜2億7900万円(最多販売価格 5900万円台)
などとなっていた。最近のマンション相場は全く調べていないので何とも言えないが、岡山市内の新築マンションとしては高いような気もする。
 282.75平米、2億7900万円という最高額の物件はどんなところなのか冷やかしで見学してみたいところだが、私の身なりを見ただけで門前払いさせられそう。
 もっとも70+α歳になってみると、そんなに豪華なマンションは必要ない。私が必要としている条件は、以下の通りとなっている。
  • 私の専用の部屋は、デスクトップパソコンやテレビなどを置いた書斎のみでせいぜい8畳あれば十分。印刷本や書類は必要に応じてPDF化してきたので本棚や書庫は不要【←正確には「不要となる予定」】。あとは妻との共有スペースのみ。
  • ベランダ園芸のできるバルコニーは広いほうがいい。
  • 日の出や日の入りが見えること。窓を開けたときに隣の家の屋根や壁があるようなところには絶対住みたくない。
  • 買物や通院に便利なところ。

これらの条件は今住んでいる中古マンションで十分に満たされており、特に不満はない。

2025年06月3日(火)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「なぜ子どもは内緒話をする?」/行動の予測・影響と個体差の説明
 昨日に続いて、5月30日初回放送の『チコちゃんに叱られる!』のメモと感想。本日は、
  1. 金(きん)ってなに?
  2. なぜ子どもは内緒話をする?
  3. はんぺんってなに?
という3つの話題のうち、2.について考察する。

 放送では子どもが内緒話をするのは「大人の階段のぼるため」が正解であると説明された。子どもの発達と心理に詳しい山下直樹さん(名古屋短期大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 子どもが内緒話をするのは良くないことと思う人もいるかもしれないが、実は一生懸命大人への階段をのぼって成長している証し。
  2. 子どもの内緒話は親から自立するために必要不可欠。
  3. 子どもの内緒話は、幼児期(2〜7歳)、児童期(7〜14歳)、青年期(14〜21歳)という成長とともにその意味や役割が変わる。
  4. 幼児期(2〜7歳)は「なんちゃって内緒話」。
    • 小声で話したり口を囲ったりして、内緒話の形だけを楽しむ。
    • これらの行動は、親のマネや、声や手の感覚を楽しんでいるとされ、親に対する親密さを表すコミュニケーションの1つだと考えられている。
    • 幼児期の子どもは親と自分が一心同体であると考えていて、そもそも「内緒」という概念がない。
  5. 児童期(7〜14歳)の内緒話は「仲間とつるむ」。
    • 児童期に入ると、自分と一心同体であると思っていた親が自分とは別の考えを持っていることに気づくようになる。
    • すると孤独感が生まれ、親以外の繋がり、つまり仲間を求めるようになる。
    • 子どもたちはグループを作り内緒話をして秘密を共有することで仲間との結束を強めて、親からの自立に一歩近づく。
  6. 青年期(14〜21歳)の内緒話は「親友をつくる」。
    • 青年期は大人になる少し手前。将来のことが考えるようになると、より自立して生きることを意識するようになる。
    • そんな時に求めるのが不安を和らげる親友という唯一無二の存在。2人だけの世界をつくって共有することで、信頼できるよりどころをつくり、親からの自立が確かなものになっていく。
  7. このように内緒話は、
    ●「形だけを楽しむ」→「仲間との結束を強める」→「親友をつくる」
    という3段階で変化し、親からの自立へ向かって一段ずつ大人の階段をのぼるための成長の証しになっている。
  8. 大人になってからも内緒話をするのは、
    • 仲間との結束を強めるという役割がある。
    • 相手の感情や行動をコントロールするという側面もある。計算や悪意が入ってくる。
    • よく言えば、自立して生きていくための処世術。
  9. 内緒話は親から自立をして自分の力で生きていくための1つのツールとして役立っていた。


 ここからは私の感想・考察を述べる。
 まず、『チコちゃん』の番組ではこれまでにも類似の話題が取り上げられており、以下のように「解説」されてきた。  2022年5月10日の日記で指摘したように、上掲の「解説」は、脳科学や進化生物学の用語で権威づけしているものの、

いずれもエビデンスに乏しく、大昔の人間にとって適応的と考えられている行動が「遺伝情報」に「刷り込まれて」、現代人の行動の原因になっているという、コジツケに過ぎない。

というまことに「胡散臭い」ものであった。
 今回の解説はそれらとは異なり、発達心理学の観点から「内緒話」の発達段階上の役割を分かりやすく解説したものであり、概ね納得できるものであった。

 内緒話というのは、「特定の仲間内や個人間で、他者の知らない情報を共有すること」というように定義できるかと思うが、そのためには少なくとも、自分が知っていることと他者が知っていることに違いがあるという視点取得(Perspective taking)が必要。『サリーとアン課題』の実験でも示されるように、発達が進む中で、自分が知っていることと他者が知っている内容を区別できるようになる。そうして、特定の仲間内や個人間だけで内緒の情報を共有することで結束を強めていくことになるのだろう。

 もっとも、今回いただいたような解説は、

●親から自立する上で、内緒話をすることはどういう役割を果たしているか?

という疑問に答えるものではあったが、

●なぜ内緒話をするのか?

という疑問自体を説明するものではなかった。要するに特定の行動の原因を説明するためには、予測や影響(コントロール)に必要な情報、つまり、
  • どういう条件が揃えばその行動が起こると予測できるか?
  • どういう条件を用意すればその行動を起こりやすくしたり、逆に起こりにくくしたりできるか?
を明らかにしなければならない。今回のように行動の中長期的な役割を示しただけでは、日々の生活のなかで、どういう内容の内緒話が誰に対してどのくらいの頻度で起こるのかを予測することができない。また単に役割を述べるだけになってしまうと、
  • 子どもがご飯を食べるのは、大人の階段をのぼるため。
  • 子どもが遊ぶのは、大人の階段をのぼるため。
  • 子どもがモノを欲しがるのは、大人の階段をのぼるため。
というように、子どもの行動は何でもかんでも「大人の階段のぼるため」で「説明」できてしまうように思われる。

 では、「内緒話」という行動の直接の原因は何か? 結局のところ、これは、

●内緒話をするという行動が強化されているから

という強化理論に行き着くことになる。その強化要因として考えられるのは、「内緒話をした時の相手の注目反応」、中長期的には「相手や仲間内の交流頻度の増加」などではないかと思われる。なお中長期的には内緒話をするこは「親からの自立」を促進するという役割があるかもしれないが、この役割を果たすのはせいぜい児童期までであろう。また子どもたちは別段「私たちは親から自立するために内緒話をしています」という目的を掲げて内緒話をしているわけではない。

 以上のほか、内緒話をしたがる頻度や内緒話の中身についての個体差についても説明してほしかったと思う。内緒話もしくは身の上話をやたらとしたがる人は、おそらく話し相手とのより親密な関係を求めているものと思われるが、そうとは思えない場合もある。じっさい海外旅行のツアーに参加した時などには、こちらから尋ねてもいないのにやたらとご自身の生計や過去の体験を話したがる人に接することがある【←直近のカナリア諸島のツアーではなく、ダマバンド山に登った時などの話。念のため】。

 最後に、私の知っている内緒話の歌2つ。これらは上掲の発達段階のどのレベルの内緒話に相当するものだろうか?

 次回に続く。