じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 8月1日(金)放送のNHK朝ドラ『あんぱん』第90話で、高知からやってきた朝田家一家と嵩の実母や叔母がのぶと嵩の新居に集まって結婚祝いをするシーン【写真上】。 男:女=1:6というように男女比が極端に偏っていた点と、遺影が2枚から4枚に置き換えられている点【写真中、写真下】が気になった。↓の記事参照。

2025年08月2日(土)




【小さな話題】NHK朝ドラ『あんぱん』の結婚祝い参加者が男1女6になった理由/遺影が4枚に増えた謎/キスシーンの違和感

 8月1日(金)放送のNHK朝ドラ『あんぱん』第90話では、高知からやってきた朝田家一家と、嵩の実母や叔母がのぶと嵩の新居に集まって結婚祝いをしていた。
 このシーンで少々違和感を覚えたのは、当事者+参加者7名の中で男性は嵩1名だけ、残りの6名はすべて女性であり、男女比が極端に偏っていた点である。これは仕事などで男性が参加できなかったためではない。念のためのぶと嵩の家族を調べてみると、
  • のぶの家族
    • ×祖父 釜次
    • ◎祖母 くら 第90話の最後のところで「ナレ死
    • ×父 結太郎 朝鮮に出張の帰りに心臓発作で急死
    • ◎母 羽多子
    • ◎次女 蘭子
    • ◎三女 メイコ
  • 嵩の家族
    • ×父 清 アモイで病死
    • ◎母 登美子
    • ×弟 千尋 戦死
    • ×伯父 寛 往診の帰りに急死
    • ◎叔母 千代子
という構成になっており、関係者合わせて11人のうち存命は6人で全員が女性であることが確認できる。

 ではなぜこのように男女比が偏っているのだろうか。私が考えた理由は以下の3つ。
  1. 男性は戦死
     戦後すぐのシーンなので、成人男子が戦死する確率が高かった。但しこのドラマに限って言えば戦死者は嵩の弟の千尋のみとなっている。
  2. 男性のほうが平均寿命が短い
     厚労省統計によれば1955年時点の日本人の平均寿命は男性63.60歳、女性67.75歳で、女性の方が4.15歳長生きする予想となっている。
  3. 結婚時の年齢差
     こちらの統計によれば、夫婦の年齢差(夫−妻)は、1925年〜1943年頃が概ね4.7歳〜5.2歳、2020年以降は2.0〜2.1歳となっている。ドラマでは戦前生まれの主人公あるいはその両親が登場することが多いので、妻より夫、両親で言えば母より父のほうが5歳ほど年上として描かれるほうが実状を反映していることになる。
 上記2.により妻は夫より4.15歳ほど長く生きることに加えて、夫より5歳ほど若いということによって、合算すると、夫と死別してから9〜10年ほど妻のほうが長く生きる可能性が高いと推測できる。
 但しこれは現在の高齢者について言えることであり、最近結婚した若者の場合は夫婦の年齢差が2歳前後に縮まったことで死別後に妻が生きる年数は6年程度になっている可能性がある。といっても生物学的な平均寿命は女性のほうが明らかに長いので、同年齢で結婚したとしても妻のほうが長生きする確率が高いという傾向は今後も続くだろう。




 ところで第90話では、のぶの祖母が祖父の釜次の遺影を持参しており、メイコがそれをタンスの上の1枚の遺影の左側に置くというシーンがあった。最初に置かれていた遺影は89話までの中でも登場していたのぶの前夫の遺影であり、オープニングのクレジットに「若松次郎(写真)」となっていたことからも確認できた。
 ところが、その直後、嵩の母の登美子がやってきた後のシーンでは遺影は4枚に増えており、釜次の左には嵩の弟の千尋と、嵩の伯父の寛の写真が並んでいた。メイコが釜次の写真を置いてから登美子がやってくるまでの時間は、会話の流れからみてほんの1分以内であり、なぜ遺影が4枚に増えたのかは大きな謎である。

 あと、90話の終わりのところにキスシーンがあった。『冬ソナ』のラストにもあるようにキスシーンは恋愛モノのドラマで最も盛り上がる場面として使われるはずだが、今回の場合、のぶと嵩は1948年1月に中目黒の新居に引っ越しており、すでに同居していたはず。もちろん1月25日から朝田一家が上京したり(羽多子さんからの葉書による)、仕事の都合で家に帰れなかったり、といった事情はあったが、それなりの結婚生活はすでに始まっていたはずで、改めてキスシーンで盛り上げるというのは少々不自然であるように感じた。どうせなら、7月25日放送の第85話の、嵩がのぶへの愛を告白して2人が抱き合うところにキスシーンを入れたほうが良かったように思われた。