じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 8月2日(土)に放送された、NHK『ブラタモリで、富士山の東麓が取り上げられた。
 私自身は、東麓・須走方面では、 などを体験したことがあった。
  • 写真上は『須走温泉 天恵』の客室から眺める、朝日を浴びる富士山。なお、こちらの情報によれば、「2021年2月1日より当面の間休業」となり、その後閉館となった模様。
  • 写真下は、富士霊園から眺める富士山
いずれの写真についても言えるが、東麓からの富士山は、宝永山が左手に広がっているため、横長に広がった御代田方面からの浅間山に似たような形に見えてしまってあまり富士山らしくない。

2025年08月6日(水)



【連載】ブラタモリ『最新!富士山SP▼78分拡大版!人はなぜ富士山が好きなのか?』/宝永山の成り立ち/富士登山のルール

 8月2日(土)に放送された、NHK『ブラタモリで、

最新!富士山SP▼78分拡大版!人はなぜ富士山が好きなのか?

という話題を取り上げていた。ブラタモリの富士山ネタは過去にも何度か拝見したことがあり、どうせそれらをつなぎ合わせた回想版だろうと思っていたが、実際は、この10年ほどの研究で、これまでの説明に誤りがあったことなども明らかにされたことで、結果的に最新の富士山情報を仕入れることができた。

 その中で一番驚いたのは、宝永山の成り立ちであった。ブラタモリの10年前の放送では、宝永山は10年前、富士山の中に埋もれていた古富士の一部が顔を出したものだと説明されていたが、最新の研究では宝永山は古富士ではなく、江戸時代の噴火で降り積もったものでできていることが確認された。これは2018年の台風で宝永山頂上部の軽石や砂が洗い流され、岩石部分の年代測定ができるようになったためらしい。なお2018年の台風のうちどの台風によって洗い流されたのかは放送では伝えられていなかったが、ChatGPTに尋ねたところ以下のような経緯になっていた【要約・改変あり】。。

  1. 宝永山の表面に積もっていた転石や砂が洗い流され、それまで隠れていた噴火由来のスコリア層(火山礫および火山弾)が露出したのは、**2018年9月の台風**による大雨と土石流の影響です。
  2. この台風は、国際名では **Typhoon Jebi**、日本では **平成30年台風第21号** として知られています。日本列島を西日本から東日本にかけて縦断し、強風と大雨を伴い、富士山の南東斜面にたまっていた堆積物を一部洗い流しました。
  3. この台風によって、宝永山の表面が浸食され、従来は地下に埋もれていた噴火直後のスコリア層が露出し、宝永山が「古富士ではなく、宝永噴火の堆積成因である山体」であることが科学的に裏付けられる発見につながりました。

 なお、宝永山は2005年7月に、ダマバンド山登山の訓練の一環として登ったことがあった。




 今回のスペシャル放送によれば、これまでブラタモリでは6回にわたって富士山が取り上げられてきた。しかし、上掲の宝永山の成り立ちの他にも、この10年の間に、富士山についての新しい発見があったという。

 放送では東富士演習場の中にある『富士山グランドキャニオン』と呼ばれている谷が紹介された。そこではかつての噴火による堆積物や、古富士の謎の山体崩壊の「崩れ残し」などを眺めることができた。演習場内ということで一般人が立ち入れないのが残念。

 放送の終わりのほうでは「富士山はなぜ誕生したのか?」という根本問題が取り上げられた。一般的な説として富士山は、
  • 200万年前、本州と伊豆半島は80kmほど離れていた。
  • 60〜20万年前に伊豆半島と本州が衝突。衝突したときにフィリピン海プレートは伊豆半島が障害物となりプレートが左右に裂けてしまった。富士山の下にはフィリピン海プレートの存在が確認できていないことから、フィリピン海プレートは左右に裂けたのではないかと考えられている。
 この「裂けた」説は、富士山の以下のような特殊性を説明できるという。
  1. 10万年という【地質学的には】短期間に大量のマグマが出て巨大な火山が作られたこと。
  2. マグマの成分が玄武岩。
 この2つの特殊性を説明するためには地下20kmより深い場所に巨大なマグマ溜まりを考えるしかない。もしプレートが(裂けずに)繋がっていたとすると、そのような巨大なマグマ溜りを形成するスペースが無くなってしまう。

 放送内容からは一部外れるが、ChatGPTに、過去10年ほどの研究で「富士山の成り立ち」に関して明らかになった新事実や、従来の理解が見直されたポイントを解説してもらった【要約・改変あり】。


## ?? 新たに判明した発見・見直された内容(過去10年)
  1. 山中湖・本栖湖の堆積調査で未知の噴火を多数確認(約5000〜4000年前)
    • 山中湖底の堆積層から、従来は知られていなかった **6回の噴火痕跡**が発見されました。これは約5050年前から3900年前にかけて頻発した噴火であり、富士山の噴火史の再構築に大きく寄与する成果です。
    • また本栖湖底の連続堆積コアから、過去約8000年間で少なくとも2回、陸上調査では検出困難だった噴火痕跡(年代差約20年)を識別できたことにより、噴火頻度の評価が見直されました。
  2. 紀元後1000年ごろの南北山腹割れ目同時噴火の可能性
    • 約1000年前、平安時代に山腹の南北で **ほぼ同時に割れ目噴火**が発生した可能性について報告されました。これにより、従来の「単一の火口からの噴火」モデルだけではなく、全方位への割れ目噴火を想定する必要性が示されました。
  3. 富士山の構造:4段階説の補完
    • 従来は「小御岳―古富士―新富士」の3段階構成が一般的でしたが、2000年代初頭からの掘削調査で、さらに古い世代とされる **「先小御岳」** の存在が確認され、富士山形成史は **4層構造** の可能性が高まりました。
  4. 側火口の分布と地下火道構造の理解が深化
    • 富士山の **北西〜南東方向に偏った側火口の配列**が、地下の板状火道(マグマ通路)の構造を反映しており、今後の噴火場所予測にもつながるとされています。
  5. ## ?? 見直し・従来説の更新点
    | 従来の理解 | 最新の見解(近年の研究による更新) |
    | ----------------------- | --------------------------------------------- | | 陸上調査中心で、噴火頻度や範囲が限定されていた | 湖底堆積物の高精度年代解析により、頻発する未知の噴火が明らかに。噴火間隔の見直しも必要に |
    | 単一火口からの噴火だけを想定 | 同時多発の割れ目噴火(南北山腹)など、広範囲・多地点での噴火様式の考慮が必須に |
    | 3世代形成モデル(小御岳→古富士→新富士) | さらに古い火山体「先小御岳」が存在し、少なくとも **4段階形式** の形成モデルへの進化 |
  6. ## ? 総括
    近年の研究から、富士山の噴火史や成り立ちに関して以下のような新知見が得られています:
    • **湖底堆積物を活用することで、陸上調査では見失われる噴火痕跡の発見が可能に**(未知噴火/頻度増)
    • **噴火様式に対する理解が深化し、単一火口以外への噴火の可能性を積極的に想定する必要があることが明確に**
    • **火山形成期の再構築で、より古い世代の火山体が確認され、成り立ちモデルが刷新された**

これらの成果は、防災の観点からも、ボランティアや登山者の安全意識を高めるうえで重要な情報となります。特に、山腹割れ目噴火や頻度の高い噴火サイクルの想定はハザードマップや避難計画の更新に大きく影響する可能性があります。

 もう1つ、

富士山の成り立ちについて未だに分かっていないこととしてはどのような謎がありますか?

と尋ねたところ以下のような回答をいただいた。


富士山の成り立ちに関しては、近年の研究で多くのことが明らかになってきた一方で、**いまだに解明されていない謎や不確定な点も多く残っています**。以下に主な未解明のポイントを紹介します。

## ?? 富士山の成り立ちに関する主な「謎」
  1. **最初の火山活動(先小御岳)の正確な年代と規模**
    * 「先小御岳」と呼ばれる、最も古い富士山の火山活動については、
    • いつ始まり、
    • どの程度の規模だったのか、
    • どのように後の小御岳火山につながっていくのか

    という点がまだ不明確です。
    * 地下深くに埋もれており、掘削調査も限られているため、詳細な形成過程は**ほぼ推定レベル**に留まっています。

  2. **火山体の内部構造の詳細(特にマグマ通路)**
    * 富士山の中には複数の「マグマの通り道(火道)」が存在すると考えられていますが、
    • その**空間配置**
    • **活動時期**
    • **現在のマグマの貯まり具合**

    などの詳細はわかっていません。
    特に深部マグマだまりの位置や形状は、地震波や重力分布、電気伝導度といった間接データで推定されている段階で、**直接観測は困難**です。

  3. **割れ目噴火のメカニズムと予測困難性**
    • 富士山は山腹からの「割れ目噴火」を繰り返していますが、どこに・いつ・どのように割れ目ができて噴火するかは事前に予測することがほぼできません。
    • 過去の記録や地形解析から割れ目の傾向はわかってきたものの、**トリガーとなる要因や圧力条件は未解明**です。

  4. **約2200年前の大規模山体崩壊の原因と経緯**
    • 現在の富士山の西側(剣ヶ峰のあたり)には、かつての山頂部が大規模に崩落した痕跡があります。
    • その規模・原因(地震?水蒸気爆発?)・影響(流域への堆積など)について、正確なプロセスはまだ分かっていません。

  5. **富士山の将来の噴火パターン**
    • 過去の傾向から噴火様式をある程度推定できますが、
      • **次にいつ噴火するのか**
      • **どの場所から始まるのか**
      • **どの程度の規模か**

      については依然として確実な予測ができません。
    • 特に「宝永噴火(1707年)」以降300年以上噴火がなく、今後のマグマ供給の様式に変化が起きている可能性もあるため、**過去のモデルが必ずしも当てはまらないかもしれない**という不確実性があります。

  6. **他火山(箱根・浅間山など)との地下的連関の可能性**
    • 一部の研究では、富士山と近隣の火山(箱根・伊豆・浅間)との間に地下深部での**マグマ供給系の連携・相互影響**がある可能性が示唆されています。
    • ただし現時点では、明確な証拠やメカニズムはなく、仮説レベルにとどまっています。

  7. ## ?? 総合的に見ると、富士山に関しては、
    • **表層的・過去の噴火記録や堆積物**はかなり明らかになってきましたが、
    • **地下構造・深部マグマ・噴火トリガー・将来予測**という「現在・未来」に関する部分には、まだ多くの謎が残っています。

    今後は、掘削技術・地震探査・人工知能を使ったデータ解析などを組み合わせることで、さらに解明が進むことが期待されています。


 ということで富士山についてはまだまだ分からないことが多く、「いつ噴火するのか?」は不明でも、「もし噴火したとしたらどういう被害が起こりうるか」というように常日頃から防災対策を整えておく必要がある。首都機能の分散・移転も一案。

 あと、私自身はこれまで5〜6回は富士山に登っているが(通行が禁止される前のお中道めぐり1回を含む)、70+α歳となったいま、さすがにもう一度登りたいという気にはならない。登ったところで新たな絶景に遭遇することはないし、骨や筋肉に良い影響が出るとは全く思えない。孫たちと一緒に登ってみたいという気もするが、何も富士山でなければならない理由はない。
 そう言えば、最近、富士登山のルールが大きく変わったようである。オフィシャルサイトをザッと閲覧したところ、以下のようなルールが決められていることが分かった。
  • 午後2時〜翌午前3時の時間帯は、山小屋宿泊者を除き、五合目から入山することはできない。
  • 通行料・入山料 4000円
  • 山梨側では、一日当たりの登山者が 4,000人に達した場合もゲートを閉鎖します。
  • 富士山の保全、安全登山に係るルール・マナーの事前学習(eラーニング)の修了
  • 入山手続の際は、事前の登録をお願いします。
 なお、落石・防災用ヘルメットと、防塵対策用のマスク・ゴーグルは必携ではないが推奨となっており、ヘルメットについては吉田ルートではデポジット制(預り金2000円)、富士宮ルートは無料貸出となっているようだ。

 富士登山の有料制、時間規制、(山梨側での)人数制限などは基本的には良いことだと思う。もっとも私の経験から言えば、富士登山は登山時・下山時の天候や登山者の体調に左右されるため、登山計画を柔軟に変更できるよう配慮する必要があるとは思う。例えば6合目まで登った時点で健康上の理由で引き返した時には、次回に再チャレンジする時に無料で入山できるようなクーポン券を配布すれば、強行登山は避けられるかもしれない。このほか低所得者や障がい者への割引・無料化などを実施するのであれば、1人あたり1万円の入山料であっても構わないように思う。