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2月6日(金)

【思ったこと】

980206(金)
[一般]国はどこまで個人を守る責任を負うのか(その3)マインドコントロール
 4日間ほど、月替わり恒例の「日記猿人」ネタで休止していたが、2月1日の日記の続きを書きたいと思う。
 このタイトルのシリーズでは、第1回目に豊田商事被害の国家賠償について、そして第2回には、「電脳犯罪の被害者は甘えるな」という話題をとりあげた。いずれも、「個人はもっと自分で自分の身を守れ。何でもかんでも国家賠償や法的規制に甘えようとするな」という内容であった。これに対して、本日は、その逆の側面として、自己責任では防ぎきれない可能性のある問題を考えてみたいと思う。
 すでに論じたように、一般に、個人が自発的に行動した結果として被った被害は個人の責任とされる。ところが、世の中には、善良な市民、特に青年が、ほんのちょっと油断をして選択を積み重ねていった結果としてとんでもないワナにはまることがある。その典型的なものが、今回とりあげるマインドコントロールだ。
 「マインドコントロール」という言葉は、しばしば「洗脳」と対比して用いられる。いっぱんに「洗脳」は、個人を「...長時間、拘禁状態において拷問したり、薬物を投与したりして、個人の精神構造を、強制的に生理的に変化させるもの」(西田公昭 1995 『マインドコントロールとは何か』紀伊国屋書店)と定義されており、これに対して「マインドコントロール」は、こうした強制措置を必要とせず、社会心理学的な知見をフルに活かした巧妙な他者操作の技術の1つであると見なされているようだ。但し、両者の間に厳密な境界はない。また、「マインドコントロール」と「巧妙な説得術」の間にも明確な境界線は引きにくいと思う。さらに言えばマインドコントロールと殆ど同じ手法は、ある種の心理療法や僧侶の修行、企業向けの自己啓発研修(←かなり問題多いが)などでも使われており、いちがいに人権を脅かす悪魔の仕業であると断言できるわけでもない。
 ここで、マインドコントロール全般について議論をする余裕はない。ただ、とにかく、現実に、この手法を悪用した反社会的行為が勃発していることは事実である。外国での有名な事件としてはガイアナでの人民寺院事件、「新聞王」の娘のパトリシア・キャンベル・ハースト(通称パティ・ハースト)の事件など。日本では言うまでもなくオウム真理教がらみの事件、また、さいきん各地の裁判所で教団の組織的関与が認められるようになった霊感商法がらみの事件などがある。

 こうした反社会的な行為を事前に防ぐためには、国や公共機関は何らかの対策をとる必要がある。犠牲者に学生が多いことも考えれば、大学などももっと啓蒙や警告を行ってよいと思う。しかし一方で信仰の自由に関わる問題が生じてくるので、法的な規制によって個人を守ることには限界がある。このあたり、私自身、まだ判断がつきかねる点が多く、あまり断定的なことは言えない。とにかく、中学や高校の教育のなかでも、マインドコントロールの危険性をもっと教え、自分たちで議論し、免疫力を蓄えておくことが必要であろう。
 余談だが、マインドコントロール批判の書物のなかには、条件反射や行動分析学の理論を著しく曲解したものがある。この点については後日とりあげる予定であるが、とりあえずこちらに、『洗脳の科学』(リチャード・キャメリアン著、 兼近修身訳、 第三書館) という本の問題点が指摘されているので紹介させていただく。
【ちょっと思ったこと(1)】
  • この日記をジャストネットに移行してから1カ月余りになるが、一昨日(2/4)の日記は、これまでで最高の37票、235アクセスとなった。一昨日の日記と言えば、メインの記事は、ランキング不参加者3名から寄せられた御意見を転載したにすぎない。はて? ということは、私自身が何かを書くよりも、他の方の意見を御紹介したほうが読者が増えるという意味なのだろうか。投票やアクセスしていただいた方には深く感謝しつつも、うーむ、いまひとつ過去最高の原因がつかみかねる。
【ちょっと思ったこと(2)】
  • 昨日公開したシロクマクイズは、言うまでもなく新・六道輪廻さんのパロディであった。これは、白色のモルモットの写真画像を輪郭に合わせて範囲指定してコピーし、takaさんのシロクマ写真に埋め込んで作成したもの。使用したソフトはファンファーレ開発、アスキーサムシンググッド販売の「Ultra Kid」であった。
  • このソフト、倒産したZeit社製の「Super Kid」の上位バージョンであるとパッケージ上部には書かれてある。確かに、任意の形の領域の画像を切り取って他の画像に埋め込めるという機能は従来のSuper Kidにはなかった機能であり、この点では上位バージョンと言えるが、ひとつ、重大な問題があることがわかった。それは、GIFファイルが読み込みだけのサポートとなっており、新たに作成した画像をGIF形式では保存ができないという欠陥である。
  • GIFファイルはJPEGのように圧縮ができないので写真画像には不向きであるが、グラフ、アイコンなど、インターネット上で表示する画像としては不可欠の保存形式である。また、JPEGと異なり、アニメ画像を作ることもできる。上位バージョンをうたいながら、なぜこの保存形式をサポートしなかったのか、甚だ疑問である。特許や著作権、使用権のことは全くわからないが、GIF形式の開発元に莫大なライセンス料を支払う必要があるためなのだろうか。
【新しく知ったこと】
【リンク情報】
【生活記録】
【家族の出来事】
(本日も更新なし)
【スクラップブック(翌日朝まで)】
※“..”は原文そのまま。他は長谷川による要約メモ。【 】は長谷川によるコメント。誤記もありうるので、言及される場合は必ず元記事を確認してください。
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