【思ったこと】
980316(月) [生活]NHK英会話最終回:家庭とは? 大杉正明先生担当の「NHKラジオ英会話」がいよいよ今週で最終回を迎えた。2/11の日記にちょっと書いたように、今年度のストーリーは「家庭とは何か」を考えさせる内容となっている。3月号のテキストが発売されたのは2月中旬であるから、その気になればその時点で結末を知ることもできたが、私の場合、テキストを買っても当日分より後のページは読まない(まず、生の声を聞いてから文字を見る)主義なので、本日、今週分全体のストーリーを聞いて初めて結末を知るに至った。 今年のストーリーは、ニューヨークで「サモワール」というロシア料理レストランを経営するアンドレイエフ一家が主人公であった。店の主人のベイジルは、大学で歴史学者を志していたが、ベイジルの父親の多額の借金を返すために志半ばにして大学を去り「サモワール」でのコックと経営に専念する。妻のナオコは、同じく大学で都市計画を学んだ。息子を育てたあと、再び大学院に入学し、ドラマ開始時点で修士号を取得。息子のマイクは、大学進学を装いながら実際には願書を出さず、プロのダンサー(この場合の「ダンサー」とはバレーの踊り手)をめざす。 ベイジルは、妻が卒業後は、夫婦と息子3人で力を合わせて「サモワール」を支えていくことを望むが、妻は自分の専門を活かした就職を、息子はプロになるためのオーディションに挑戦する。その結果、ベイジルとマイクは激しく対立し、マイクは家出同然でダンスに打ち込むが初公演の時に足を怪我するなど不運に見舞われる。ナオコもマイク同様にベイジルと対立して、ついには別居状態となる。 その後しばらく3人は別々の道を進むが、ベイジルはレストランの放漫経営から多額の税金を取り立てられて破産し、その後病気で倒れてしまう。その看病を通じて3人はふたたび同じ屋根の下で生活を始める。但し、レストランはもう戻らない。就職したナオコの援助を受けてベイジルは大学院に進学し歴史学の教師をめざす。マイクは、プロのダンサーをめざしてさらに精進するというところでこの物語は終わった。レストランは失ったものの、それと引き替えに各自の夢がすべて実現する方向に向かう、という形のハッピィエンドであった。 このストーリーは、「家族とは何か」、より具体的には、家族が一体となって同じ仕事をするのが理想なのか、それともバラバラでもよいから個性を尊重する形で家庭を維持していくのが理想なのか、という問題を考えさせる材料を提供してくれている。結果的にはこの家族は後者の道を選んだというか、結果的にそうならざるを得なかったという設定であったが、現実の社会ではなかなかそのとおりにはいかないものと思う。 この連ドラの始まり部分では、「同じ家に住み、一体となってレストランを支え、喜びも悲しみも分かち合う」ことを理想とするベイジルの家族観が対立を生むわけだが、離婚率が高く子供の独立を重視するアメリカで、こういう考え方がどの程度支持されているのか、私にはよく分からない。あるいは、進化論を教えることを否定する超保守派の思想の一端を形成しているのだろうか。 先日の後期大学入試でも、岡大法学部の小論文問題の中に「日本と違って、アメリカでは『個性重視の教育』などと叫ばれることはない。初めから個性が重視されていて今更叫ぶ必要がないからだ」などという村上春樹氏と河合隼雄氏の対談が掲載されていた。NHK英会話の今年度の教材は、ストーリーとしては面白かったが、現実のアメリカ社会の深刻な問題を反映したものなのか、それともひょっとして、日本の「家」重視の家族観から生じる問題をアメリカを舞台に翻案したものなのか、アメリカ在住の方の日記を拝見しながら見極めていきたいと思っている。 |
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