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昨日の日記

3月17日(火)

【思ったこと】

980317(火)
[生活]言葉と文化、どっちが先か(その10)なぜしりとりは名詞に限られるのか
 このシリーズの8回目3/10で、BASIC ENGLISHでは基本動詞と前置詞の組み合わせが重要であることを紹介したが、アメリカ在住の超有名日記作家の方が某掲示板で、get off、put out、go down、put inの特別な意味をわざわざ連想してくださった。日本語でも、基本動詞を用いた隠語表現、婉曲表現は色々とあるようだ。
 例えば、長崎在住時のことだが、妻の知り合いの女性が不妊の治療を受けていたところ医者から「きょう、もってください」と言われた。その女性は、その意味が分からず「何を持てばいいのでしょうか」と聞き返したという。これも「もつ」という動詞の基本性を示しているものと思う。

 前回3/11も指摘したように、この「もつ」のほか、2文字の動詞の中にはきわめて広い意味を含む動詞がいくつかあるようだ。意味が広ければ、それだけ色々な漢字が当てられる。前回指摘した「とる」のほか、「みる」(見る、観る、視る、診る、看る)とか「たつ」(立つ、裁つ、建つ、発つ、経つ、断つ、絶つ、起つ...)など。こちらの表に、主な2文字動詞をまとめてみた。

 さて、この表を作ってみて面白いと思ったのは、「うくすつぬふむゆるぐずづぶ」で終わる動詞終止形の中でも語尾が「く」と「る」で終わるものが非常に多いということ。国語とくに古文を真面目に勉強していなかったために、その原因は今ひとつ分からないが、「る」で終わる動詞が多いのは、上一段、下一段、カ変、サ変といった活用をする動詞がみな「る」で終わることに起因していると思われる。但し、根源的になぜ「る」が終止形になったのかは、よく分からない。幼稚園の子供や日本語を勉強中の留学生が居たら「*る」の「*」の所に「あ」から順に1文字ずつ文字を入れて、それぞれの意味を説明させるとよいだろう。「*」に入らない文字(濁音を除く)と言えば「まる」、「むる」、「める」、「らる」、「りる」、「るる」、「れる」、「ろる」ぐらいのものであろう。
 この表は、現代国語の動詞のみを掲げたが、古文では、「云ふ」「思ふ」というように「ふ」で表記する動詞もあった。おそらく文字と発音が一致しない表記、あるいは「ぬ」や「ず」など否定形と紛らわしい終止形は廃れていったものと推測されるが、古文をちゃんと勉強していなかったのが辛いところだ。
 「る」で終わる動詞が多いことの反動なのか、上にも挙げたように「らる」、「りる」、「るる」、「れる」、「ろる」という動詞は日本語にはない。これに限らず、日本語は、「らりるれろ」で始まる単語が少ない。辞書を縦にしてページ数を比較しても、「らりるれろ」の部分は極端に薄くなっていることが分かる(他に「なにぬねの」も少ないようだ)。そこで、今日の日記のタイトルの「なぜしりとりは名詞に限られるのか」の答えが出てくることになるが、もし動詞の終止形も使えるようにしてしまうとどうなるか。「ウ」段に限られてしまうだけでも大変な上に、「る」で終わる言葉が極端に多くなってしまう。半面「る」で始まる言葉が極端に少ないために、ゲームが続けられなくなる。これが私が勝手に考えた解答である。

 余談だがアメリカには「スクラブルゲーム」というものがある(日本ではハナヤマが「ワードメーカーゲーム」という名前で売り出していたはずだ)。アルファベットの文字コマを使って盤面に単語を作るゲームであるが、これの日本語版は果たして売られているのだろうか。少なくとも、動詞まで認めてしまうと、上に述べたように「る」で終わる言葉が極端に多くなるという問題が生じる。名詞だけで仮名文字のスクラブルを作った場合は、果たしてゲームとして成立するだろうか。いっぽう、ローマ字のゲームにした場合には母音がやたら多くなってしまうだろう。それと、仮名文字であれローマ字であれ、頻度の少ない文字(使うと高得点が得られる)としては何が選ばれているのだろうか。日本語のスクラブルゲームをお持ちの方がおられたら、ぜひ教えていただきたいと思う。
【ちょっと思ったこと】
  • 沖縄県名護市で下校途中の女子中学生が拉致、殺害された事件で17日、2被告に対しての無期懲役の判決が出たそうだ。死刑全面廃止論とか「死刑よりも無期懲役で償いを」という意見が一部にあることは承知しているけれど、この判決の報道を見る限りでは、なぜ死刑でなく無期懲役なのかという理由が今ひとつ説得力に欠けるように思えてならない。報道では「死刑をもって処断するにはなお躊躇を感じざるを得ない」といった量刑の理由が紹介されているが[朝日3/18]、これでは単なる裁判官の感想にすぎないように思われる。「犯行が場当たり的で事前に入念に計画、実行された事件に比較すれば、多少、被告に有利に斟酌されてよい」とある[朝日3/18]が、その場の状況で衝動的に発生した事件ならともかく、2被告が共謀して行った事件についてまで、計画性のなさを理由に斟酌されるのはいかがかと思う。判決原文を見ていないので断定的な発言はできないが、もし担当する裁判官の個人的な思想の違いによって、同じ犯罪が死刑になったり無期懲役になったりするようでは困る。検察側は上告すると思うので、上級審の判断に注目したい。
【新しく知ったこと】
  • 2028年の小惑星大接近についての詳細情報が朝日新聞科学欄3/18にあった。国際天文学連合(IAU)の「衝突可能性わずかにあり」という発表がその翌日にNASAによって否定された経緯が詳しく説明されている。なおこの小惑星(XF11)について現在分かっていることは、2028年までに地球の最も近くを通る小惑星であることと、最短距離は96万キロで、38万キロ離れた月よりも近くを通る可能性はほとんどないことなどである。
【リンク情報】
【生活記録】
【家族の出来事】
【スクラップブック(翌日朝まで)】
  • 第三セクターの倉敷チボリ公園は、試算を上回る収入。3月末の見込みは290万人で134億8800万円(試算では200万人で79億200万円)。但し、支出のほうも138億3000万円(試算では98億3300万円)であるから黒字というわけではない。なお累積赤字額はこれにより12億5400万円となる。収入の内訳は、入園料38億8900万円、アトラクション24億4100万円、物販42億6700万円など。支出は、物販原価31億600万円、宣伝広告10億1600万円、減価償却26億500万円など。[各種報道による長谷川の要約]