【思ったこと】
980717(金)[一般]1999年7月に何が起こるか 今朝の朝日新聞に、五島勉氏の『ノストラダムスの大予言:最終解答編』(祥伝社)の広告が掲載されていた。「ノストラダムス」と言えば、最近では近くの古本屋では五島氏のシリーズを含めて100円均一で売られており、完全にブームは去ったという感じがする。心理学の授業で聞いてみても、ノストラダムスの予言が人間の行動の予測や理解に役立つと答える学生は、多くても10%未満であり、役立たないと答えた学生(全体の55〜70%)に圧倒されている(最近の調査結果は4/16の日記にある)。 同じ新聞には、山本弘氏の『トンデモ ノストラダムス本の世界』(洋泉社)という広告もあった。と学会の本は私も全部持っているけれど、果たして今回は売れるだろうか。ブームが去ったとするならば、批判本もあんまり売れない可能性が高いように思う。 五島氏の本とは別にも、99年に何かが起こるということを勧誘に使っていた新興宗教団体が複数あった。きょうたまたま生協食堂前の自転車置き場でインチキ・アンケートをやっている男女を見かけたが、あの関連団体なども数年前には「1999年」を強調したポスターなどを出していた。 もっと具体的なのは、数年前にニュースグループ「fj」(from Japan)で流されていた宣伝。あえてリンクしないけれど、その団体は、1999年7月7日の午前7時(グリニッジ時)に地軸が90度ずれ、これによって大洪水が起こるので、避難準備計画を綿密に立て、避難準備を確実に行ってください、などと呼びかけていた。Yahooで検索して当該のホームページにアクセスしたところでは、最近数ヶ月の更新の痕跡はなかったが、この避難の呼びかけは相変わらず掲載されていた。 このての「予言」が見事に外れた例としては、相楽正俊氏の『富士山大爆発 運命の1983年9月X日』(徳間ブックス)というのがある(これも古本屋で100円均一で購入した)。雲仙普賢岳の例を見るまでもなく、富士山が活火山であり常に噴火の危険を抱えていることは確かであるが、六惑星の直列がどうだとか、関東直下型大地震と同時発生かとか、台風の接近で噴火が誘発されるとか、全くデタラメでは無いにせよ極めて微小な影響にとどまると思われるものを誇大にまくし立てて「恐るべき90パーセントの確率!」として本を売りまくるのは、長年気象庁に勤務した研究者とは思えない浮かれぶりのように見える。ちなみにこの相楽氏だが、gooで検索した限りでは、富士山が噴火しなかった後も地道に大地震などの防災関連の著作を発表しておられた形跡があるが、今はどうされているのか、調べるところまで至らなかった。 さて、もとに戻って99年の7月に何が起こるのだろうか? 地球温暖化の影響、環境汚染、それにアジアを含めた不安定な経済活動が続く中では、何も起きないというほうが不思議であろうとは思う。とは言っても、それが他の月に比べて質的に異なるほど多発するものでなければ、事後的なご都合解釈に終わってしまうだろう。本日の広告でも「核戦争」「ダイオキシン」「環境ホルモン」「オゾンホール」といった言葉が宣伝広告の中に記されていたが、こういうものの危険は過去も現在もずっと続いており、来年の7月も同じ程度には続くものであるが、7月だけを取り上げて「恐怖の大王」などと騒ぎ立てるものでもなかろう。 最後に、『トンデモ超常現象99の謎』(と学会、洋泉社)から、ノストラダムスの予言が外れないようにするためのテクニックをちょっと引用させていただくと、
「血液型性格判断」ではラベリング効果(あなたは〜という性格だと決めつけられると本当にそう思い込んでしまう効果)があると指摘されているが、1999年7月に皆が疑心暗鬼の状態になれば、銀行のとりつけ騒ぎを発端とする大恐慌などは起こってもおかしくない。もっとも、それを信じる者が1割にも満たない現状では、慌てふためく者につけこんで、逆にこういう機会だから投資しておこうという者も出てくると思われるので、あまり大きな事件にはならないだろう。 「予言」が外れた時、いままで大儲けしていた「予言啓蒙者」たちはどういう言い訳をするのだろうか。せめて今までに売れた本の印税分ぐらいは防災事業のために寄附するぐらいの反省を示してもよかろうと思うのだが...。 |
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→7/17更新 |
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