じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 旧・将校集会所の鬼瓦二片が、付設の庭園跡の一角にそっと置かれていた。後ろの灯籠は、「日支事変出征記念」というような文字が刻まれている。

昨日から当日朝の日記

12月17日(木)

【お助けモード】
 教室のパソコンにIomegaのZipディスクをつけたいのですが、IomegaのサイトからダウンロードできるNT用のドライバは、SCSIタイプしかありませんでした。ということは、パラレル用(プリンタと直列に繋いで使えるタイプ)のディスクはNTでは使えないということなのでしょうか。どなたかお互いを更新する掲示板などでお教えいただければ幸いです。
【思ったこと】
981217(木)[心理]競争は社会や個人の進歩をもたらすか(4)この世で最もやっかいな随伴性
 行動分析学の基本は、行動随伴性に基づいて諸々の行動現象を説明しさらに必要に応じて予測や改善を図ることにある。この随伴性のうち強化をもたらす(行動を増やしたり一定頻度でそれを維持したりする)ものには基本的に次の2種類がある。
  • 好子(コウシ)出現の随伴性:行動すれば、好むもの(=正の強化子)が出現する。行動しなければ出現しない。
  • 嫌子(ケンシ)消失の随伴性:行動すれば、いま自分をとりまく嫌なもの(=負の強化子)が消失する。行動しなければ消失しない。
 上で述べた「好むもの」、「嫌なもの」というのは本当はもっと厳密に定義されているのだが、脱線してしまいそうなので、とりあえず、常識的な意味での「好むもの」「嫌(いや)なもの」という意味で解釈してもらって構わない。

 これら2つはいずれもスキナー自身が提唱したものであるが、これ以外に2つのタイプの随伴性が強化をもたらす可能性のあることがマロットらによって定式化されてきた。それは
  1. 好子(コウシ)消失阻止の随伴性:行動しなければ、いま自分の目の前にある好むもの(=正の強化子)が勝手に消失してしまう。行動すれば現状が維持される。
  2. 嫌子(ケンシ)出現阻止の随伴性:行動しなければ、いずれ嫌なもの(=負の強化子)が勝手に出現する。行動すれば現状が維持される。

 このうち、1.は、たとえばソフトクリームを持ちながら歩く場合に、クリームが落ちないようにバランスをとる行動を思い浮かべてもらえばよい。定期的に給料を得て生活をしているサラリーマンの労働も、これに近い場合がある。
 いっぽう2.は、たとえば災害に備える行動がこれにあたる。防災活動をしたからといって現状は何も変わらない。ところが何も行動しなければ、いずれとんでもない災害に見舞われることがある。

 さて、これら2つの「阻止の随伴性」は、先に述べた「好子出現」および「嫌子消失」という基本随伴性以上に人間行動を強く統制することがある。

 たとえば、「攻撃したら我が国は得をします」などという「好子出現」の随伴性で、他の国に先制攻撃をしかける大統領は居ない。「得をします」は戦争開始の正当な理由ではないし、国民もそんなことで夫や息子の命を危険にさらすことに納得したりすることは無いだろう。ではどういう形で先制攻撃が行われるかと言えば、「いま攻撃しておかないと、いずれ相手の大量破壊兵器によって自国民に多数の犠牲者が出る」という論法。これは上記2.の「嫌子出現阻止の随伴性」を言語化して国民に納得させるものだ。先制攻撃に限らず、軍備増強はすべてこの随伴性がはたらいたものと言えよう(但し、軍需産業関係者にとってはあくまで「好子出現の随伴性」であるが)。

 昨日までとりあげてきた競争原理も同様。ここでは、「いまがんばらないと、倒産してしまう」という好子消失阻止の随伴性が強く働いている。

 最近の大学改革の流れの中で学内向けに行われる世論操作も同じだ。「このように改革すれば今より研究・教育体制が改善されます」というような「好子出現の随伴性」では、自分の研究のことしか考えない教官は関心を示さない。そこで、「このように改革しない限り、この大学は生き残れない」という「好子消失阻止の随伴性」で上からの改革を押し進めていこうとするわけだ。

 「好子出現の随伴性」は、行動をしなくても何も損しないという点で任意性を与えているのに対して、「阻止の随伴性」は、行動しなければ損をする、もしくは危害を被るという点で強い義務性を与えるものである。それだけに、ルール化された随伴性で行動しやすい人間では特に強力な随伴性になっていると言えよう。

 問題は、「○○しなければ××になる」というルールの「××になる」という部分だろう。これは現前の随伴性ではなく、あくまで将来のことを言っているので確実性に乏しい。だからと言って科学的根拠が重視されるわけではない。思いこみも偏見もすべて同等にルール化されていくことになる。阻止の随伴性は強力であると同時に、この世で最もやっかいな随伴性であると言うことができるだろう。
【新しく知ったこと】
【生活記録】
 ことしもあと2週間となった。12/18から12/28までの間で勤務を要する日数は6日間だけであるが、これに対して年休は29日分残っている。来年への繰り越しは20日までなので、年末まで全部年休をとることにした。前にも書いたように、年休をとったからといって仕事の量は何も変わりない。学内で事故に遭っても公務災害の適用を受けられないというデメリットもある。ま、何となくのんびりした気持ちになれるというのが唯一のメリットか。
【夕食後の夫婦の散歩】------88日(妻は83日)[娘は4日、息子は3日]。本日中止----
 体調が悪く熱が少しあったので本日は中止。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】