じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 椋鳥。農学部農場内のナンキンハゼに10数羽が群がっていた。警戒心が強く、近づくとみな離れた木に移ってしまう。わざと別の方向を向いて、デジカメだけを鳥の方に向けて撮ってみるが、枝に残っているのは3羽だけだった。ナンキンハゼには、この鳥のほか、ヒヨドリ、キジバト、カラスなどが寄ってくる。このほか、梅や椿の木の周辺では、カワラヒワ、メジロ(たぶん)、ジョウビタキなどを見かけるが動きが速すぎて撮影できない。

1月16日(土)

【思ったこと】
990116(土)[心理]赤信号みんなで渡れば怖くない心理

 昨日の日記で年賀状の抽選に関連して二項分布のことをちょっと取り上げた。じつは、私のゼミの卒論生の一人が、二項分布に関係の深い問題に取り組んでいる。

 それは、信号無視における同調行動の問題だ。車の往来が少ない横断歩道では、たまに、信号を無視して横断する人がいる。そのさい、周りの人につられて無視したり、逆に、周りの人が信号を守っているのを見て自分もそれに合わせようとする行動がどの程度生じるか、というのが第一のテーマであった。

 このようなケースでは、偶発的なシンクロと真の同調をどう見分けるのかが大きな問題となる。たとえば5人の横断者が5人とも信号を無視して渡ってしまったとする。このばあい、5人がお互いに同調して信号を無視したとは必ずしも言えない。もともと常習的に信号無視をする人がたまたま5人揃って、独立した行動として無視をした可能性もあるからだ。ではどうやったら同調の有無が検証できるのだろうか。

 このときに昨日言及した二項分布が多いに役立つ。仮に、5人それぞれが1/2の確率で信号を無視すると仮定する(※)。 5人がほかの人に影響されずに信号を無視すると考えると、5人中0人、5人中1人、...5人中5人というように信号を無視する確率は、0.031、0.157、0.312、0.312、0.157、0.031という二項分布になるはずである。ところがもし、横断歩道に5人が居合わせたケースを実際に観察して5人中0人と5人中5人の頻度が期待される以上に大きく、逆に5人中2人とか3人だけが無視するようなケースが少なかったとしたら、そこに何らかの同調が生じていると結論することができるわけだ。
※信号無視の確率は、その道路の状況によって決まる場合もあるし、個々人の倫理観によって1か0かに固定される場合もある。これはあくまで便宜的な値。

 もっとも、この結論だけではまだ十分でない場合がある。横断歩道を渡る人は常に個々人バラバラであるとは限らない。たとえば肩をくんで歩いているアベックは、信号を守るにしても無視するにしても一致した行動をとるのが必然だ。その場合の「一致した行動」と、横断歩道という状況に限定して他者の行動に影響される「同調行動」は区別されなければならない。

 同調行動は、ある種の条件つき確率の差として表現できるだろう。一個人の「信号無視行動」が、周りの人が信号を無視するという条件と無視しない(=信号遵守)という条件で同じ確率であるならば「同調無し」であり、一致する方向に大きさに違いが出てくれば同調ありということになる。もっとも横断歩道のようなところでは、組織的な集団の中での同調行動とは違って、誰が先導役で誰が同調者かは分かりにくい場合がある。むしろ、水鳥が何かの物音に驚いて一斉に飛び立つような行動に近いかもしれない。となると、先に条件があって変わる確率というよりも同時に作用しあう相互依存型の行動モデルのほうが説明しやすいようにも思えるのだが、さてそこまで卒論で取り組めるだろうか。

 このほか、より綿密な分析をするには実験的な介入がどうしても必要になってくる。現実にはサクラを使って行うわけだが、サクラが率先して信号無視するというような実験は倫理的にも問題が多い。ただ、サクラが信号を遵守するという行動ととった時に、居合わせた通行人がそれに同調するかどうかというような実験だったら何ら問題は無い。この学生もそのタイプの実験に取り組んでいたと思う。
 
【ちょっと思ったこと】
  • センター試験の英語では今年も、心理学っぽい研究を紹介する問題が出た(第4問)。昨年の問題については、昨年の1/181/19の2日にわたって
    英語の設問自体は、記述を正しく読みとっているかどうかを問うものであるから、英語力を調べる問題としてはそれなりの妥当性があると思う。ただ、心理学の立場から見ると、問題文でのデータの扱い方、あるいは根本的な実験計画のあり方には、疑問を感じざるを得ない。
    として、過激な批評を行っている。今年はあまりケチをつけるべき所がないが、あえて2つほど指摘させてもらえば、

    1. 問題文では「experiment」が行われたとされているが、このタイプの研究は「実験」とは言えない。実験とは、被験者に対して何らかの介入操作が行われていること、また、群間比較においては、無作為な割付(どのグループにどの被験者を割り当てるかがランダムに決められること)が行われることが必須。ここで紹介されている研究は、単なる調査研究にすぎない。
    2. 8歳の子どもにとって直感的に分かりやすいことが成人の旅行者にとっても同じように分かりやすいとは限らない。シンボルの弁別刺激としての機能は、手がかりとしてそれをどれだけ使用しているかに依存するからだ。

     昨年の1/23の日記で書いたように、センター試験の問題で私が解けそうなのは英語と、国語の現代文、地学・天文・気象、数学の確率およびアルゴリズム関係の問題だけに限られる。
【新しく知ったこと】
【生活記録】
  • 夕食後の夫婦の散歩で、センター試験会場に吊られている、先輩の励ましの垂れ幕(垂れチラシ?)を見物に行く。「昇竜(硝硫)は遠州洋(塩臭沃)に」なんて言うのは習った覚え無し(フッ素はどうするのかなあ)。「貸そうかなあ、まあ当てにするな酷すぎる借金」だったら今でも覚えているが。英語で、「アクセントは分からない時は2番目か4番目」というのは意外にそうかも。ストロマはストローの間(ま)にあると覚えるのか。しかし、センター試験て、そんなに暗記物ばかりは出なかったと思ったが...。

    その帰りがけ(20時35分〜20時40分頃)、天頂付近をオリオン〜牡牛〜土星方向に向かう火球を目撃。明るさはマイナス5〜7等星級。音は無かった。これほど明るいものを見たのは生まれて初めてだ。その後1分以内に、ほぼ同じ方向を飛ぶ航空機あり。パイロットも同じものを目撃したに違いない。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】