じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] [今日の写真] 秋の訪れとともに、大学構内のハーブの彩りがよくなった。左はチェリーセージ、右はパイナップルセージ(別名サルビアエレガンス)。





10月9日(水)

【ちょっと思ったこと】

ノーベル賞の受賞年齢と重み付け

 10/8の小柴昌俊・東大名誉教授(76)のノーベル物理学賞受賞に続き9日、島津製作所研究員の田中耕一氏(43)のノーベル化学賞受賞が決まった。日本人の化学賞受賞は3年連続、また同じ年に日本人が2つの賞を獲得するのは初めてであるという。株安、拉致、工作船などの報道の中にあって、日本人を大いに元気づける明るいニュースであると言えよう。また、今回、43歳の田中氏が受賞されたことは、同年齢、特に民間の研究所で働く若手の研究者にとって大きな夢を与えるものとなるだろう。

 ところで、今回の化学賞の他の受賞者の年齢は、ジョン・B・フェン氏が85歳、クルト・ビュートリッヒ氏が64歳、また、物理学賞受賞の小柴氏が76歳、同時受賞のレイモンド・デービス氏が87歳、リカルド・ジャコーニ氏が71歳と[いずれも本年末時点の年齢]、田中耕一氏以外の方々は、東大・京大ならすでに停年あるいは遙かにそれを超えたお年となっている。

 ノーベル賞の選考の仕組みのことは全く分からないのだが、受賞年齢というのは、その人の人生にとっても、社会的な影響においても大きな違いが出てくるように思う。もちろん個体差はあるだろうし、先日この日記で取り上げた日野原重明先生のように90歳を超えてなお現役で活躍している方もおられるが、御高齢になればなるほど、受賞を励みにさらに創造的な研究活動を続けるということは難しくなっていくに違いない。その点、43歳の田中氏の場合は、これから先のご活躍に活かせるという点で大きな意義があると思う。

 もう1つ、今回、初めて気づいたのだが、物理学賞の場合も化学賞の場合も、それぞれ3名の受賞者のうち1名は賞金(物理学賞の場合で1000万スウェーデンクローネ、1億3000万円)の半分を獲得、残りの2名が4分の1ずつとなっていた。小柴氏も田中氏も、1/4の受賞ということであった。受賞したこと自体が名誉であることは間違いないのだが、こういう配分比率や1回の受賞人数による重み付けが評価されることは無いのだろうか。いまの時代、物理や化学の研究はプロジェクトチームが主体にならざるをえない。となると、研究グループの一員の日本人が受賞する機会も増えてくるだろうが、その増加数だけをもって、日本の科学教育の成果であると見なすわけにはいかない。大学教育改革論議の中ではしばしば、ノーベル賞受賞者数の国際比較がひきあいにだされるだけに注意が必要かと思う。





だ液でストレス測定

 10/10朝のNHK「おはよう日本」によれば、最近、だ液の成分でストレスを測定できる試験器具が開発された。だ液の中のクロモグラニンA(←情報ありがとうございました)とかいう成分の量によりストレスの度合いが分かるという。刻々と変わるストレス状態は、心理学でよく利用される質問紙では測りにくいし(←質問に回答すること自体がストレスになったりして)、脳波計や筋電図では装置に金がかかる上に日常場面におけるストレスを測定できない。この点、1回3000円で測れるという器具は今後大いに普及していくものと思う。番組では、医療現場だけでなく、ストレス解消効果を売り物にしているスポーツ施設、リラクセーション施設での利用が紹介されていたが、心理学の実験や、園芸療法、動物介在療法などの効果測定にも使えるかもしれない。もっとも、このだ液成分がどのくらいの時間スケールで変化するものなのかを知っておく必要があるが。




地方選挙における候補者名の書き間違い

 6日に行われた牛窓町議選挙で、最下位当選者が同数得票となりくじ引きで当選者を決めるという珍しい出来事があった。その後、くじ引きにより落選した候補が、当選した候補の疑問票の処理を不服として町選管に異議を申し立てたという。朝日新聞岡山版によれば、今回の選挙では、山本史郎氏、および山口光明氏、木下一郎氏の3候補の氏名を間違えたと見られる疑問票4票があった。選管は、このうち、「山本一郎」と書かれた2票と「山口史郎」と書かれた計3票を山本史郎氏の得票に、また「山本光明」と書かれた1票は山口光明氏の得票とした。なお、これ以外にも、野口勝、井上勇両候補を混同したと見られる「野口勇」1票があり、こちらは無効票として処理されたという。今回くじで当選した山本史郎氏に得票に含まれる疑問票が無効と判断されれば、そもそもくじは行われず、異議申し立て候補者が代わりに当選したことになる。

 選管のロジックは、4文字中3文字が一致しているかどうかということらしいが、これに対して、異議申し立て候補者は、野口勇票を無効にした基準と山本史郎氏に加えた疑問票の判定基準が一貫性を欠いていると主張しているようだ。確かに、4文字中3文字と3文字中2文字では、前者のほうが一致率は高いと言えるが、これでは、氏名の文字数の少ない候補は不利益を被る恐れがある。このほか、個々の漢字ではなく、姓の一致、名の一致で判定すべきだという意見もあるかと思う。

 このことでふと思ったが、もし、こうしたトラブルが今後もあるぐらいだったら、先に新見市で行われたような電子投票システムも悪くはない。但し、4年に一度しか行われないような選挙のために設備をそろえるのは金がかかりすぎる。県内自治体の選挙日をずらし、電子投票システム装置を共同で使えるようにすればコスト面でも節約になるかと思う。