じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] かぼちゃグッズ(つま制作)。


10月30日(土)

【思ったこと】
_41030(土)[心理]高齢化社会における共生の知恵(1)

 10月30日の午後1時半から4時半頃まで、岡山大学創立50周年記念館で、日本社会心理学会・第48回公開シンポジュウム「高齢化社会における共生の知恵を探る〜加齢(エイジング)をめぐる社会心理学〜」が開催された。私自身は社会心理学会会員ではないが、高齢者福祉に関して私自身も関心を持っていること、岡大の心理学関係者が関与していること、などから非会員として参加させていただいた。

[今日の写真]  ところで会場となった多目的ホールは、収容人員 409名となっている。座席がたくさんあるため、100〜150人規模の催しを行うと、着席行動の習性を反映して前のほうの席がガラガラになり、何となく盛り上がっていないような印象を与えてしまう。しかし今回は、開場後しばらく中段にロープを張って「これより後ろの着席禁止」の措置をとっていた。入場者はやむを得ず、前のほうに詰めて座るようになる。講演者の近くに人がたくさん集まるので雰囲気も盛り上がる。当たり前と言えば当たり前だが、着席行動への配慮があった点はさすが社会心理学だと感心した。

 さて、シンポは、4人の話題提供者と2人の指定討論者から構成されていた。案内サイトとは若干異なる部分があったので、ここに再掲させていただく。
  • 司会:田中宏二氏(岡山大学教育学部)
  • 話題提供
    1. 映像の中に描かれた高齢者と若者の交流 −映画に見る理想像と現実−
      藤原武弘氏(関西学院大学社会学部)
    2. 世代から世代へと受け継がれる神楽の技−伝統的祭り・高千穂夜神楽にみる高齢者の役割−
      福島明子氏(作新学院大学人間文化学部)
    3. 行政が取り持つ高齢者との地縁 −ノーマライゼーション推進型地域統合ケアについて−
      原英二氏(岡山県保健福祉部長寿社会対策課)
    4. 高齢者とのおつきあいスキル −交流の中で見つけるソーシャル・スキル−
      田中共子氏(岡山大学文学部)
  • 指定討論
    1. 対人関係の視点から「世代間の対立」を読み解く
      諸井克英氏(同志社女子大学現代社会学部)
    2. 高齢者の社会参加の視点から「共生」を読み解く
      小林江里香氏 (東京都老人総合研究所)
 なお、上記の話題提供は、「個人的−組織集団的」な関わりの軸と、「人為的−自然発生的」な関わりの軸の2軸からなる二次元平面のそれぞれの象限に位置しているということであった。この分類軸で言えば、4つの話題提供は、上から順に「個人的・人為的」、「組織集団的・自然発生的」、「組織集団的・人為的」、「個人的・自然発生的」となるということであったが、話題提供内容は必ずしも連関しておらず、“「個人的−組織集団的」な関わりの軸と、「人為的−自然発生的」な関わりの軸の2軸を想定して、これらが交差する2次元上に各種の世代間交流の試みを位置づけて整理”などと大げさに構えなくてもよいのではという気がしないでもなかった。

 さて、1番目の“映像の中に描かれた高齢者と若者の交流」では、具体的事例として、「黄昏」、「バウンティフルへの旅」、「コクーン」、「田舎の日曜日」、「八月の鯨」が取り上げられていた。しかし、私はどの映画も一度も観たことがなく、一口で紹介されても何のことかよく分からなかった。このうち「コクーン」と「コクーン2」はかなり面白そうな映画だったので、DVDでも借りて観てみたいと思っている。

 2番目の高千穂夜神楽を取り上げた福島明子氏については、司会者から、「大学卒業後、海外放浪、ツアーコンダクター、フリーライターなどを経験」されたという紹介があり、「海外放浪」とはスゴイ表現だと思ったが、こちらの個人プロフィールにも同じことが書かれてあり、司会者のユーモアではないことが判明した。

 話の内容は、宮崎県高千穂の各村での神楽伝承の取り組み、時代変化に伴う「民主改革」、小中学校の児童・生徒たちの参加などについてであった。なお、指定討論の後で、女人禁制と関係についてフロアから質問があった。小学生までは男女とも参加しているが、中学生以上では依然として女人禁制が続いているということであった。大相撲優勝力士の表彰や、大峰山一帯の女人禁制などと合わせ、伝統とジェンダーとの関係で検討すべき点はいろいろあるようだ。

 次回に続く。