じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【ちょっと思ったこと】
自治体は「不安」に陥るか 11月16日朝のNHKニュースで、三位一体改革による補助金削減に関して、 自治体の歳入不足を保障する地方交付税について、補助金の削減と同時に大幅に削減されると、自治体側が不安に陥ることになりかねないとして、必要な措置を求める意見が出されました。というような報道があった。 「三位一体」という表現が奇妙だという点については2003年6月10日の日記に書いたことがあるが、今回の「自治体側が不安に陥ることになりかねない」というのも、心理学的に見ればずいぶん奇妙な表現であると思う。 そもそも、人間個人でないはずの「自治体」が不安に陥るとはどういうことを言うのだろうか。不安に陥る恐れがあるなら、カウンセリングをすればいいというのか、謎である。 たぶん、「自治体側が不安に陥る」というのは、「予算確保が困難になることで、各種施策の円滑な実施を妨げ、その対応で大きな混乱が起こる恐れがある」という意味なんだろうが、そのように具体的に書いてしまうと差し障りがある。そこで、「混乱は起こらないはずだが、起こらないとの保証が不十分である」というような意味合いで「不安」という言葉を使っているのだろうが、仕事柄、「不安」という言葉の安易な使用には引っかかるところがある。 |
【思ったこと】 _41115(月)[心理]日本理論心理学会第50回大会(8)日本発の理論を考える(その3)先人の足跡 11月6日〜7日に開催された日本理論心理学会第50回大会。前回に引き続き、 ●シンポジウム「日本発の理論を考える」 の感想を述べさせていただく。 話題提供2番目は ●大山正氏:日本発の理論を考える-先人の足跡を訪ねて- であった。大山氏は東京大学名誉教授であり、各種学会の要職に就いてこられた。昨年夏に岡山で行われた日本行動分析学会年次大会では、行動分析学における日本人の国際貢献:これまでとこれからという企画シンポで話題提供をしてくださった。 今回は「少数ながら日本独自の理論展開を行った」先人として以下の5人の心理学者が紹介された。
横文字の論文を日本語に訳して紹介するだけでもスゴイと言われていた時代に、東洋思想の「自我」や「固有意識」「覚と識」「勘」などについて独自の理論を展開するにはかなりの困難があったものと思われる。また、東洋医学の成果が、西洋医学的な実験的、分析的な手法で検証されにくいのと同様、東洋的な発想に基づく理論を西洋的方法で体系化していくことにはかなりの無理があったようにも思える。それと今でもその傾向はあるが、「大学卒業→海外で著名研究者に師事→帰国後にその時の業績に基づいて就職」という形で指導的研究者が養成されていく限りにおいては、海外の恩師の業績を根本的に覆すような発想はなかなか生まれにくいしがらみがあるようにも思えた。 次回に続く。 |