じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真]  My風景Top100(大サイズ写真アルバム)の第4作は、25年前の御嶽噴火。1979年11月1日、中央アルプス山麓より撮影。1000×600ピクセル。90.9KB。こちらにあるように、御嶽山は、10月28日早朝剣ケ峰(主峰)の南西山腹で割れ目から水蒸気爆発した。但し、この時の被害は軽微であった。こちらこちらに別の写真あり。

 御嶽山周辺での深刻な災害は、むしろ、そのあとの1984年9月14日に起こった長野県西部地震。山頂付近から大規模な山崩れが発生し、山麓にあった濁川温泉(←濁河温泉とは別)に壊滅的被害を与えた。

なお、大サイズ写真は原則として翌日以降、こちらに移動します。


11月24日(水)

【ちょっと思ったこと】

「連れ去り相次ぎ」は報道の責任

 11月25日朝6時台のNHKニュースによれば、奈良市の小学1年生の女児がが誘拐・殺害される事件が起きた後、小学生の連れ去りや連れ去り未遂の事件が全国で6件起きているという(詳細はこちら。但し、ニュースのログは残らない見込み)。

 ニュースでは「事件が起きた後、連れ去り相次ぎ」と報じられているが、これは正確ではないと思う。子どもたちを守るための警戒を強めるべきことは確かだが、まず、事件前と比べて「連れ去り」が本当に増えているのかどうかは検証する必要がある。警戒心を高めるために、「相次ぎ」、「急増」、「多発」といった言葉が大げさに使われることがあるが、これは長い目で見ると適切ではない。安易に使えば使うほど軽い表現になってしまい、警戒心を慢性的にゆるめることになってしまう(4月18日の日記参照)。

 さて、本当に「相次ぎ」であった場合、その責任の一端は、事件をセンセーショナルに取り上げる報道にあることを忘れてはならない。確かに事件そのものは大変痛ましく、悲しい出来事である。しかし、現時点(11月25日朝)では犯人は捕まっておらず、遠く離れた我々としては、警察の捜査にお任せするほかは無いのである。詳細な犯行手口を報道したところで模倣犯を増やすだけのことだ。

 この事件が起きた直後、Web日記でも「マスコミのセンセーショナリズムと、それに影響されやすい世論」を問題視した論調があったが(例えば、JIROさんの11月20日の日記)、まさに今、「模倣犯を生む危険がある」と心配されていたことが現実になっているのではあるまいか。

【思ったこと】
_41124(水)[心理]日本理論心理学会第50回大会(12)日本発の理論を考える(その7)創造的研究の育成

 なかなか完結しないが細々と、日本理論心理学会第50回大会の話題。今回は、話題提供5番目の

●鈴木宏昭氏:創造的研究の育成のために-創造的認知研究の立場から

について感想を述べさせていただく。

 鈴木氏の話題提供は、それまでの4題とは異なり、創造性開発が中心であった。その中では、Tパズルの問題解決と創造性に関する御自身の研究成果も紹介されていた。それ自体はまことに興味深い内容であったが、残念ながら、そのことから日本で創造的研究を育成するという話には繋がりにくい。このあたりは、創造性研究の奥深さであるとも言えるし、基礎研究に基づいた創造性開発の難しさを示しているようにも思えた。

 鈴木氏はまた、創造的研究の重要な一歩として多様性の確保が必要であると強調された。ここで言う多様性には、研究者自身の専門性の幅の広さが含まれている。例えば、著名な発達心理学者であるピアジェは生物学や論理学にも精通していたし、2002年にノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンも心理学と経済学両分野において卓越した業績を挙げている。

 もっとも、今年の6月に行われた東大・大学院・情報学環の新生記念シンポ(こちらに参加感想あり)では、「スペシャリストかジェネラリストか」、「混ざっていても美味しいスープならいいじゃないか」といった議論もあった(こちら参照)。多様性ということと、ダブル専攻、さらにジェネラリスト養成ということに関しては、さらに議論が必要であろうと思う。

 このほか鈴木氏は、評価の重要性と教育環境改善についても論じておられた。博士号取得要件として公刊論文数本を課している大学院が多いが、その要件を満たそうとすると、どうしても特定の1分野だけに限定した近視眼的な研究に専念せざるをえなくなる。スペシャリストも必要であろうが、多様性を重視した別の取得要件を設定することも検討に値すると思った。

 ということで細々と感想を連載してきたが、いよいよあと1回で最終回となる見込み。