じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 講義棟南に咲くナツズイセン(夏水仙)。こんなところに誰が植えたんだろうと思って過去日記を調べたら、昨年の同月同日の日記にも同じようなことが書いてあった。ということは、同じ球根が全く同じ時期に2回目の花を咲かせたということになる。


8月9日(火)

【ちょっと思ったこと】

私が首相なら、小泉さんと同じことをしていたと思う

 郵政民営化法案が8日午後の参院本会議で否決され、これを受けて小泉首相は衆院解散を決断、9月11日に総選挙が行われることになった。

 今回の「否決→解散」に関しては、「解散の根拠に問題あり」、「あまりにも強権的で横暴」、「もっと時間をかけて変えていくべき」、「郵政民営化は1つの問題にすぎない」など各種の反対論が出ているようだが、私個人は、今回の一連の動きは、すべて小泉さんの描いたシナリオ通りに進んでいるように思っている。

 まず、郵政民営化は山積する政治課題の1つに過ぎないかどうかだが、目先の利便性だけにとらわれるなら、それほどの緊急・重要課題ではないと私も思う。しかし、中長期的な視野にたって、日本経済の将来を考える時には、日本が取るべき道は2つしかない。
  1. 米国中心のグローバルな基準のもとで、ある程度米国に依存しながら、持続的な発展の道を探る。
  2. いったん鎖国して、古き良き日本の伝統を守りながら、乏しい資源に見合った、環境に優しい、持続可能な慎ましい国づくりをめざす。
 私個人は2.のほうがいいかなあとも思っているが、とにかく、多くの国民が1.を望んでいる以上、それを前提とした構造改革を進めなければ日本の将来は有り得ない。

 IMFの報告書からも読み取れるように、郵政民営化は、日本の金融・財政の根幹に関わる改革であり、まさに構造改革の本丸である。国鉄や電電公社の分割民営化、あるいは国立大学の法人化も大きな改革ではあったが、郵政ではお金の規模が違う。当然利権も絡んでくる。だからこそ、守旧派勢力がなりふり構わず抵抗するのだ。

 こういう状況のもとで、構造改革を断行しようとするならば、まずは、守旧派勢力を国会から追い出すことだろう。といっても、自民党のような寄り合い所帯にあっては、党議拘束に違反したというだけで除名はできない。納得可能なのは、国会の投票の場で造反をさせておいて、それを理由に公認を取り消すというやり方だ。小泉さんも、本当のところは、衆院で否決してほしかったのではないかなあ。そのほうが解散の大義名分は一層スッキリしたと思う。

 構造改革のようなものを推進しようとすれば、古い制度のもとで「得をしていた」人たちは必ず抵抗する。時期尚早論も必ず起こってくる。少し前、広大で行われたFDの研修会の中の大井玄氏(東京大学名誉教授) の話題提供で伺った話であるが、ニュージーランドでは、1984年、労働党が政権をとるや、一気に行革が行われたそうだ。それは多くの場合、政府内部でも秘密裏に、ヒトラ−の「電撃戦(Blitzkrieg)」に比せられる速度で推し進められたという。ニュージーランドの改革が長い目で見て失敗に終わったのか、成功に至る一時的な後退に終わったのかは歴史的評価を待つしかないが、とにかく、こういう改革は、守旧派の抵抗を粉砕するために、ある程度強硬にかつ電撃的に断行されなければ成果を上げることができない性質のものだ。小泉さんの手法が強権的だとか、急ぎすぎだという反対論は、その点で説得力を持たない。また、「自己チュウ」だとか「こうなると変人以上だな。それ以上は言わないけど。小泉さんにいつまでもこだわっててもいかんなという気持ちにも、まぁ、なりかねないわな」というのも、本質を理解していない人の発言であるように思えてならない。

 さて、一連の出来事の中で最も曖昧に見えたのが民主党である。これまでのところ、民主党と、自民党内守旧派との違いが全く見えて来ない。これじゃあまるで、政権が欲しいための反対であると受け取られかねない。選挙ではどうたたかうのだろうか。

 いっぽう、共産党や社民党は、構造改革には本質的に反対の立場をとる政党であるから、郵政民営化に反対したことは当然であるとも言える。しかし、「改悪」に反対ばかりを唱えているのでは守旧派と同列。何が革新政党なんだか、さっぱり分からない。このさい、一番最初に掲げた2.の選択肢、つまり、

●いったん鎖国して、古き良き日本の伝統を守りながら、乏しい資源に見合った、環境に優しい、持続可能な慎ましい国づくりをめざす。

という長期政策を公約に掲げて選挙に臨まれたらいかがだろうか。



[※8/10追記] 

日記読み経由で、特定郵便局長会に関連したサイトを教えてもらったので、リンクさせていただく。