じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真]  岡山では、12月8日の最高気温が8.8度、最低気温は1.0度、9日の最高気温が8.7度、最低気温は3.1度と、真冬並みの低温が続いている。そんななか、落ち葉の間で、ヒメジョオンのような白い花が、各所で咲いている。ヒメジョオンであろうとも思うが、こんな寒い時期に咲くもんだろうか。どなたかお教えいただければ幸いです。


12月9日(金)

【ちょっと思ったこと】

ドイツW杯抽選中継はどこが公共的なのか?

 朝5時半すぎ、いつものようにNHK「おはよう日本」のスイッチを入れたら、サッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会の1次リーグ組み合わせ抽選会の中継をやっていた。中継は6時のニュースの時間になっても続き、短時間のニュース終了後は再び、「対戦相手を徹底分析」などというのをやっていた。

 サッカーファンの方には申し訳ないが、サッカーに全く興味の無い私としては、なぜ、これが公共放送なのか、受信料をとってなんでこういう中継をしなければならないのかが全く理解できなかった。

 NHKを分割民営化すべきだということについては、2003年7月7日ほか、何度か意見を述べたことがある。ネットで検索すると、賛否両論がヒットする。ウィキペディアには詳しい解説があった。

 いちばん新しいニュースとしてはニュースや災害報道など公共性の高い番組と娯楽番組を分離して広告収入を一部で認める「一部民営化」案が浮上する可能性があるということだが、私も最初の段階は、この線でいいと思っている。紅白、大河ドラマ、スポーツ中継部分などは独立採算でCM収入に頼り、真に公共的な部分の取材・報道に関わる経費のみを受信料、もしくは、国営化(但し、時の政権が番組内容に干渉しないよう、透明性の高い第三者機関に予算執行の適正さを評価させるものとする)で維持するという方法もアリだろう。

【思ったこと】
_51209(金)[心理]心理学に期待されるのは相性判断と占いなのか

 少し前のことになるが、12月7日付けの朝日新聞に「プシコ創刊」という全面広告が掲載されていた。こちらにも宣伝されているように、なんでも、

●日本ではじめてのサイコロジー・ジャーナル

なのだそうだ。「サイコロジー・ジャーナル」を日本語に翻訳すれば「心理学雑誌」となる。おやっ? 心理学関係の雑誌だったら、『心理学研究』誌やら心理学評論やら、いろんな雑誌が出版されていたと思うが、サイコロジーは心理学ではなかったのか?などと思ってみたりするが、とにかく、何か新しいことを始めようとしているのだろう。

 創刊号の二大特集が「女と男のマッチングセオリー」と「占いは心理学だ!」というのは、なんだかなあという感じがするが、執筆者の中にはけっこうアカデミックな人もいる、値段も680円ならそんなに高くは無い。どれ一丁買ってみようか、と思っている。




 この種の雑誌、とにかく売れなければ成り立たない。マーケッティング調査を充分に行った上で、創刊号の二大特集が「相性判断」と「占い」に決まったということは、今の日本でそれだけ関心が高い話題になっているということだろうか。

 このことは、大学で心理学を研究している者としても真摯に受け止めなければならないだろう。社会的に「相性」や「占い」にニーズがあるならば、それらに貢献する仕事をするか、もしくはそれらを否定して代案を示すか、どちらかの対応をとらなければ、研究成果を社会に還元したことにはなるまい。もちろん、心理学の研究自体は、社会的弱者支援、防災、教育、環境問題など多分野でそれなりの成果をあげていると確信しているけれども、一般社会が最も求めているような「相性」や「占い」、あるいは「生きがい」については、納得のいく答えを出し切れていない。新聞広告でよく見かけるサンマーク出版が発行している「生き方・考え方」、「自己啓発」、「心理・サイエンス」、「教育・子育て」など見ても、心理学者が貢献しているとは思えない。心理学者が応えなければならない問題の大部分は、心理学者以外の手で、一般向けに発信されている。そして、その現実は、私が学生時代の頃とちっとも変わっていない...。




 時間が無くなったので、また別の機会に私の考えを述べようと思うが、個人的には「相性」などというのはどうでもいいと思っている。人間の行動特性なんてそんなに固定されたものではない。時と場所によっても変わるものだし、成長、老化によっても変化していく。何かのきっかけで恋愛し結婚したというのであれば、その時点では「相性」が良かったと思えばよい、その後は、相性が良いか悪いかなどとは迷わず、良好な関係をどう維持していくのかという、relationマネジメントの方策でも考えていったほうがいいだろう。

 もう1つ、「占いは心理学だ」であるとは断じて思わないが、ある種のカウンセリングは占いと大差無い。2004年9月24日の日記にも書いたように、要するに、将来の断片的な出来事、例えば、何かが起こる確率はどのくらいかということは科学的な方法である程度予測できるが、科学の力だけでは将来のシナリオを描くことは原理的に不可能。しかし我々はしばしば、自分のストーリーを語り、将来のシナリオを描き、そのことに確信を持ちたがるものである。その要求に応えようとしているのが「占い」であると考えるならば、そんなに悪いものではない。カルト宗教や、人の不幸につけこむ悪徳占い商法は別として。