じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真] ミモザの花が咲き始めた。2002年には3月6日に見頃という記録がある。例年、春分の日には見頃になっているので、今年は開花が一間程度遅いようだ。


3月21日(火)

【思ったこと】
_60321(火)[一般]スポーツ競技の中での野球の特異性

 WBC(ワールドベースボールクラシック)の決勝戦が20日夜(日本時間3月21日昼に行われ、日本が10対6でキューバに勝ち、初代チャンピオンの座についた。当日昼は家族で外食していたが、戻った後、8〜9回を生中継で観ることができた。

 今回の国別対抗戦は、当初キューバの出場が危ぶまれたり、日本vs米国戦や、メキシコvs米国戦で不可解なジャッジがあったりして不満の声も聞かれたが、決勝戦ではそのようなトラブルもなく、最後まで白熱した試合展開となった。

 さて、ここで改めてWBC、あるいは野球自体について考えてみるといろいろと面白い点があることに気づく。




 まず、各種報道の見出しで
  • WBC 日本が初代世界一に(NHKオンライン 03/21 16:21)
  • 第1回WBC 王ジャパンが世界一の栄冠!(http://www.major.jp/wbc/
  • 日本 野球世界一(3月22日朝日新聞岡山版一面トップ見出し)
というように「世界一」と呼ばれている点について。これは、要するに、あらかじめ合意された手順に従ってチャンピオンを決めた、という「相互了解の妥当性」に基づくものであって、WBC参加者、関係者、観客一般の中だけで合意されている妥当性である。WBCという言葉で思い出したが、そう言えば、ボクシングの世界チャンピオンは、世界ボクシング評議会 (World Boxing Council, WBC)のほかに、WBAやIBFというのがあってそれぞれ別個に世界一を認定しているようだ。もちろん、野球の場合も、別の団体が別のやり方で別のチームを世界一に認定することはありうる。

 ではそもそも、どういう手順でチャンピオンを決定すれば、多くの人が納得できるのか。しかし、トーナメント戦、リーグ戦、(今回のような)ブロック別の勝ち上がり戦、のうちどの方法が用いられるかというのは、実際には、現実上の実施可能性、採算性、興行的効果などによって決まってくる。2007年シーズンからはセ・リーグでもプレイオフが導入されるというが、これなども、現行のペナントレースの優勝制度に不具合があるからというより、興行的な効果を狙ったと考えるべきだろう。




 次に興味深い点は、団体競技としての野球の特異性である。サッカーを初めとする多くの球技では、選手間の連携プレイで得点したり、失点を避けるようになっているのに対して、野球では、ピッチャー個人の投球、もしくはバッター個人の本塁打、決勝打に関心が集まる。もちろん野球でも
  • ダブルプレイ、本塁への返球、盗塁阻止
  • バント、犠牲フライ、ヒットエンドラン、盗塁
  • 捕手のリード
というように選手間の連係プレイも大切ではあるが、プロ野球のレベルとなると、それらのプレイは着実に遂行するのが当たり前、エラーを出した時に叩かれるという傾向が強い。逆に言えば、それだけ、選手個人の貢献の度合いが評価されやすいとも言える。しかも、投球→打球→走塁→捕球→返球といった一連の動作は個別的試行として行われる。このあたりの分かりやすさがファンの多さに繋がっているようにも思える。




 野球のいちばんの問題点は、重要な決定が審判員に委ねられているという点だろう。といっても、誰が見ても明らかな結果が判定で覆されることはない。ボールかストライクかの判定も、打者が球を打つか、空振りする限りにおいては、疑惑を招くことは少ない。今回の決勝戦も最後は、空振り三振であったので誰が見てもアウトと分かった。もし、疑惑判定審判員が主審になっていて、最後にボール球をストライクと判定して試合終了していたとしたら、物議を醸し出したかもしれない。疑惑判定審判員が主審にならず、また最後にバッターが空振りしてくれてよかったよかった。