じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
4月8日〜9日の岡山は黄砂飛来により、雲が無いのにどんよりと曇ったような天気が続いた。写真は4月9日朝の日の出。太陽がかなり高く昇っているにもかかわらず、明るさを失っている。 |
【ちょっと思ったこと】
巨大穴 天坑 謎の地下世界に挑む NHKスペシャル「巨大穴 天坑 謎の地下世界に挑む」を視た。 夕食後の散歩から戻った後、すでに番組が始まっていたため場所が特定できなかったが、ネットで検索したところでは、広西チワン族自治区の楽業県に分布しているようだ。 日本国内の鍾乳洞はいろいろ訪れたことがあるけれど、ここは規模が違う。地下河川の総延長は700kmにも及ぶといっていたが(←長谷川の聞き取りのため不確か)、であるなら、まさに世界最大の鍾乳洞と言うことができるだろう。 地底の神秘と言えば、何と言っても、子どもの頃に読んだ地底探検(ジュール・ヴェルヌ)の小説が思い出される。あれはフィクションであったが、地底河川や地底湖のスケールの大きさは、まさにベルヌの世界を実感させるものであった。火曜日深夜(実質的に水曜日0時〜)に再放送があるということなので、きっちり録画予約を入れておくことにしよう。 |
【思ったこと】 _60408(日)[心理]脱アイデンティティ、モード性格、シゾフレ人間(8)行動の安定性 エジプト旅行前から執筆に取り組んでいた紀要論文であるが、10日の締切を前になんとか完成することができた。毎度のことだが、締切ギリギリになると急に筆が進む。加藤一二三・九段の1分将棋みたいだが、精神衛生上あまりよろしくない。 さて、今回の論文は、結局、「長期的な視点で過去を捉える」というタイトルに落ち着いた。行動分析学が対象とする「行動」は、主として「いま」に注目した行動である。もちろん、過去の出来事は、例えば、習得性好子、習得性嫌子、弁別刺激、条件刺激、...というような形で「いま」の行動に影響を及ぼすものとして考慮されているが、その影響は決して断片的、機械的なものとは言えない可能性がある。 人生は多かれ少なかれ、成功と失敗の繰り返しで進行するものである。行動原理から言えば、失敗した時にはその行動は弱化、成功した時には強化されるというのが一般的であるが、失敗が成功のきっかけとなる場合、失敗は必ずしも行動を弱化しない。失敗とその後の成功のヒストリーは、セットにされて肯定的に評価されていくのである。それは、成功と失敗の積み木から何かの形を作るような行動であり、新たなオペラント行動であるとも言える。うまく積み木が重ねられる人は、より肯定的な生き方を実現することができるだろう。 いま述べたことは、ナラティヴセラピーの手法にも関係しているが、そうは言っても、あらゆる不幸が、積み木の並び替えだけで幸福に転じるというほど生易しいものではない。 今回の論文では Vyse, S. (2004). Stability over time: Is behavior analysis a trait psychology? The Behavior Analyst, 27, 43-53. を何度か引用した。タイトルに「stability」という言葉が入っていることから分かるように、Vyseは、1個体の行動を単に長期的視点から捉えるというだけでなく、その安定性に注目することにメリットがあると説いている。 もっとも、Vyseが言うところの安定性は、どちらかと言えば「環境変化への頑健性(頑強性)」というような意味であって、行動自体が安定しているということとは異なっているように思う。 論理的には、環境変化への頑健性の有無と行動の安定性(不変性)には2×2の4通りのパターンが考えられる。
もう1つ、安定性という概念は、絶対的・本質的なものではない。どの側面の何を測るかによって、「安定」にも「不安定」にもなる。 「変化への頑健性」ということだけを指標にするならば、活発な活火山は気象変化から頑健であると言うこともできる。つまり、活火山自体はその火山独自のリズムで激しい噴火を起こしたり、休止状態になったりする。しかし、季節や降雨と無関係に噴火活動が起こるのであれば、「安定」であると言えないこともない。 規則性や周期性が長期間保持される状態は一般に「安定」と言われる。といっても、複雑な数式で初めて表現される場合も「規則的」であることに変わりはない。そういう規則性は、かなりあとになってから「発見」されるものであるから、規則性の有無をもって「安定」かどうかは事前には判断できない。 |