じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真] 上京中に撮影した写真の連載3日目。永田町から千鳥ヶ淵公園、靖国神社経由で法政大学に向かう途中、外壁を真っ赤に塗った建物に目が留まった。建物の看板を見て、これが、景観論争で話題を呼んでいるイタリア文化会館であると知った(2006年4月24日の日記に関連記事あり)。

 写真にもあるように、見る角度によって鮮やかさ、目立ちやすさの度合いは多少変わってくるようだ。

 ところで、この建物を見ていて、色違いながら、岡山にも外壁を青く塗った建物があったことを思い出した。こんな感じ。御本家のサイトはこちら。岡山のビルに関して景観論争が起こっているという話は聞いたことがない。


7月9日(日)

【思ったこと】
_60709(日)[教育]高等教育セミナー(4)教員評価10年の実績

 FD関係のセミナーの2日目は、

●教員評価・人事制度の検証と活用 〜導入・改善状況/業績評価手法/処遇への反映〜

というメインテーマのもとに3つの話題提供が行われた。

 余談だが、今回参加したセミナーは、主催者は同一だが、1日目と2日目は完全に独立して実施された。主催者が同じなんだから、同じ場所で同じ時刻から始まるのだろう、と勝手に決め付けて、案内書を全く読まずに前日と同じ時刻に会場に到着したが、参加者らしき人影が全く見えない。こりゃ、とんでもないことになった。前日と同じだという保証は全くない。違う場所だったらどうしよう、と思って案内書に目を通したら、なっなんと、開始時刻が1日目より30分遅かったのである。けっきょく、会場には1番乗りで参加ということになったが、もし逆に30分早く始まっていたら大遅刻するところだった。今後はそのつど、確認を怠らないように心掛けよう。

 さて、3つの話題提供には、それぞれ次のような特色があった。
  • 1番目は、小規模の私立大における10年におよぶ実践報告。
  • 2番目は、中規模の国立大(国立大学法人)において、ぶっつけ本番で実施に漕ぎ着けた苦労話。
  • 3番目は、全国有数のマンモス大学における実践報告。
 この種の取り組みを実施する場合は、大学の特徴(教育中心大学か、研究主体か、...)はもちろんのこと、大学の規模や、決定や実施の仕組みが大きくモノを言うようだ。




 1番目に話題提供があったのは、専任教員数が全学で70名、教員数の多い学部でもせいぜい40名未満という小規模な私立大学における10年間の取り組みの報告であった。専任教員数だけで言えば、私のところの文学部とほぼ同一。全教員の顔と名前を覚えることができる人数と言えよう。

 この大学の教員評価制度は
  • 第一期:目標中心型(事後評価中心型)
  • 第二期:目標改良型(事前・事後評価中心型)
  • 第三期:組織貢献型
というように「進化」のプロセスを辿っている。小規模私学ということもあるのだろうが、この大学の場合には、教育中心大学としてのポジショニングも大学の方針もしっかりしている。決して個性をつぶすわけではないが、「しめつけより理解」をモットーに、各教員のベクトルを揃える目的で評価制度が設計・運用されている。




 この大学で行われている教員評価では、まず各教員が、学長の示すビジョンに呼応して目標設定を行う。そして学部長の面談を経て実行、さらに中間確認、自己評価、学部長との面談を経て、最終的には、S、A、B、C、Dというように5段階で評価されたのち
  • 組織貢献につながる成果→賞与評価(夏季賞与のみ。冬季は定額)
  • 組織貢献につながる行動→昇給評価
というように処遇に反映される。また、評価の低かった教員に対しては、学部長みずからの面談によるアドバイス、サポートもとられていると聞いた。




 この大学では、学生による授業評価アンケートは次のような特徴を持っている。
  • 迅速なフィードバック。次学期前に集計。
  • 結果は学生にWeb公開する。但し、数値公開と合わせて、その結果についての担当教員のコメントも併せて掲載。
  • 体育実技やゼミなどを除き、毎学期、すべての授業科目について実施。
  • マークシート質問紙型に加えて回答者記名式の自由記述アンケートも実施。
 自由記述アンケートを記名式で実施したのは、無記名式との比較実験の結果、記名式のほうがちゃんとした意見が出やすいという結論が得られたことによるそうだ。(但し、担当教員にフィードバックする際には回答者の名前を消して、CDに焼き込んだPDFファイルで渡す。大学院などの少人数授業では、職員が自由記述内容をタイプ入力する場合もあるとか)。

 なお、私が理解した範囲では、学生による授業評価アンケートの数値結果自体が、上記のS、A、B、C、Dの処遇評価に機械的に反映することは無い模様である。アンケート結果についての自己分析・評価や、学部長らの評価のプロセスの中で、資料の1つとして活用されているように思われた。

 また、質疑の時間に私自身から質問させていただいたところによれば、新任・転任教員、新しく開設された授業、特に授業評価の悪い(もしくはきわめて良い)授業などに対しては、学部長やFD委員によるピアレビューが行われているとのことであった。

 次回に続く。