じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]
  夕日に照らされる鬱金畑。この奥にあるイモ畑では幼稚園児たちの芋掘りがさかん。また一昨日から稲の刈り取りも始まった。



10月14日(土)

【思ったこと】
_61014(土)[心理]日本心理学会創立80周年記念講演(5)心理学の社会貢献/心理学関連資格のこれから

 Overmier氏の講演の感想3回目。

 講演の後半では、APAの社会的貢献についてのお話があった。すなわち、「Promoting Psychological Knowledge fot the Advancement of Public Welfare」。具体的内容は
  • Aids
  • Aging
  • Children, Youth & Families
  • Vilolence
  • Work, Stress, & Health
となっていた。これらについての機関的な対応に加えて「Advancement of all Minorities」がある。「このあたり、米国の事情がよく反映されているように感じた。




 講演の最終結論としては
  • Serving the public welfare can be facilitated through process of
    • accreditation of training
    • certification of applied psychologists, and
    • licensing of psychologist
  • Keep all psychology in mind as your attended to one specialty (law of unintended consequendes)
  • Science of psychology and the practice of psychology reinforce each other and need each other.
という3点が挙げられた。ここまで拝聴して思ったのは、日本国内における心理学資格問題において
  1. なぜ統一基礎資格が必要なのか。心理学の教育課程各大学に対する認証評価がきっちり行われるようになれば、「○○大学心理学卒業」でも十分ではないのか。
  2. 「業務独占資格」を作るのであれば、独占される業務内容を明確にする必要がある。医療や特殊技術や法令・契約関連業務ならば業務内容は明確にしやすいが、心理職において独占されなければならない業務とは何であるのか。
  3. 学習者の達成目標という意味での各種の資格はすでにたくさん作られている。これは登録商標みたいなものであり、最終的にはそれぞれの資格取得者の活躍ぶりによって社会的評価や信頼度が高まる。
といった点である。

 統一基礎資格は「教育の質保証」、また、学歴の弊害を取り除く(=資格さえとれば、どの大学を卒業していても待遇や昇進で不利な扱いを受けない)という点ではメリットがある。その反面、統一カリキュラムに拘束されることによって、ユニークな教育が行いにくくなるというデメリットがある。専門技術の修得だけを目ざすならばマニュアル教育で事足りるが、心理学教育はそれでよいのかという別の問題がありそうだ。

 また、産業界からは資格取得の要請が強いと言われるが、これって、けっきょくは、オンリーワンの価値や能力ではなく、胸につけている勲章の数や種類で人を評価してしまうことにはつながらないだろうか。いっぽう、主体的・能動的な勉学に取り組むことが苦手で、かつオンリーワンに自信がない学生ほど、マニュアル型の努力で勲章(=資格)の数を増やすことに専念しようとする。そりゃ何もせずに目先の快感を追い求める人生に比べれば、種々の資格取得に向けて日々向上をめざすほうがいいには決まっているが、世の中、マニュアル的対応だけではやっていけない。資格が1つもなくても「私自身という存在とポートフォリオ」だけを携えて自分を売り込めるような人生をめざしたいものである。




 資格問題については10月下旬から11月上旬にかけても複数のシンポが予定されているので、できる限り参加したいと思っている。

 次回に続く。