じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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洋梨の花と実。毎年10月上旬に、実のなった枝に白い花が咲いているところを見かける。最初は何かの異変かと思ったが、僅かながら秋にも花を咲かせるというのはどうやらもともと備えた性質のようだ。
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【思ったこと】 _61015(日)[心理]日本心理学会創立80周年記念講演(6)中国の心理学 講演の2番目は、張 侃氏(中国心理学会会長、中国科学院教授)による ●中国的心理与中国心理学会 という内容であった。 余談だが、日本には「中国銀行」、「中国新聞」、というように、中国地方に由来する固有名詞がたくさんあるが、心理学会に関しても「中四国心理学会」というのがあり、ネットで検索すると、第62回大会の御案内(11月25〜26日)というのが掲載されていた。私自身はかつて岡山大学が当番校になった時にお手伝いをしたことがあったが、入会しておらず、どういう活動が行われているのかは全く知らない。 さて、中国のほうの心理学であるが、張氏はまず、孔子や孟子の像を映し、中国では古くから人間の心の問題について知見が蓄積されていることを指摘された。しかし、科学としての心理学が初めて紹介されたのは19世紀の終わり頃のことであった。 興味深いのは、中国語では当初、「Psychology」のことを「心霊学」と訳していたことである。スライドによれば、1875年4月に日本で文部省発行の『心理学』という書籍が刊行されたのに対して、1889年に刊行された中国語の書籍のタイトルは『心霊学』となっていた。その後「心理学」という名称が広く使われるようになったのは日本の影響によるものらしい。ちなみに、日本では当初、「性理学」という呼称も使われていた。ウィキペディアには、日本最初の心理学者である元良勇次郎は、同志社英学校で「性理学」の授業を受けたと記されている。「心理学」という訳語を発明したのは、西周。 さて、今回の講演で興味深かったのは、中国における近代心理学の歴史を
現在の中国心理学会の部門は
私が聴き取った範囲では、中国心理学会は日本心理学とほぼ同規模。といっても日本の10倍の人口があるのだから、今後はもっと大きくなることだろう。そういえば昨年11月にも北京で国際行動分析学会北京大会が開催されたばかりであった。 講演の最後のところで、日本発の心理学の中で、中国の心理学に大いに貢献する領域として「森田療法」と「箱庭療法」が挙げられたが、うーむ、これはちょっとガッカリした。もっともそれ以外の心理学を学ぶのであれば、有能な研究者はたぶん米国に留学するにちがいない。けっきょく、日本の心理学の大部分は米国依存であるという表れと言うべきだろうか。 中国の心理学研究が今後どのような方向に進むか分からないが、当分は、日本と同様、米国発の心理学理論の「輸入」が中心となるのであろう。しかしいずれは、孔子や孟子、さらには朱子学や陽明学などを含めた東洋的発想に基づく心理学を発展させる力も生まれてくるであろう。高齢者福祉関連の研究ではしばしば「全人的」という言葉が使われるが、もともと人間の行動は全人的に研究されなければならず、そこでは、西洋医学よりは東洋医学の発想のほうが有効である場合が少なくないからである。 |