じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真]

 人間・植物関係学会の会場となった東京農大・厚木キャンパスの隣には、「ぼうさいの丘公園」がある。大会2日目の朝、開始時刻より1時間ほど早く到着し、園内を回ってみた。
 写真は、園内の池から眺める大山(1251.7m)方面。岡山方面で「大山」というと、鳥取県の伯耆大山(ほうきだいせん)がすぐに思い浮かぶが、神奈川県の大山は「おおやま」と読む。高校生の頃に蛭ヶ岳(1672.7m)などを縦走したことがあったが、じつは、こちらの「おおやま」の頂上には登ったことがない。私個人の「未踏峰」ではあるが、東京・世田谷で生まれ育った私には、おおやまみちの道標などで馴染み深い山である。



6月5日(火)

【思ったこと】
_70605(火)[教育]第55回中国・四国地区大学教育研究会(7)高学年向け教養科目の可能性

 5月27日の朝は、それぞれの領域ごとの分科会が行われた。私が参加したのは、人文・社会科学分科会であり、

●人文・社会科学における教養教育と専門教育の有機的連携

というテーマになっていた。

 1番目は、K大のN氏による

●高学年向け教養科目の可能性

という話題提供であった。このK大学では、2004年の法人化にあたり、4年(6年)一貫した学士課程教育を実現させるため、専門教育と有機的に連携する教養教育カリキュラムの作成が中期計画に盛り込まれた。

 この大学では、全教員はいずれかの科目領域会議に属し、原則として全学共通科目(主題科目、教養ゼミナール、共通科目)を0.5コマ担当するという「全学出動体制」がとられている。基本的には私の大学と同じような体制になっているように見えたが、
  1. 科目領域会議がより細かく分かれている(私のところは14個別部会プラス4主題部会であるが、K大は26の系)
  2. 全学共通科目として
    • 主題科目:「将来の専門の如何を問わず、およそ人間として関心をもつべき人類、社会、文化、自然等に関する重要課題」 「学生の多様なニーズに応え、21世紀の諸問題に取り組む視点を提供」
    • 共通科目:「ある学問分野について、必ずしもその分野を専門としない学生を対象とした、その学問分野への入門となる授業
    • 教養ゼミナール:「高校生から大学生への転換教育の一環としての少人数教育」 「知的技法の習得」 「複数の学部生による知的交流」
    • 外国語科目
    • 健康・スポーツ科目
    • 高学年向け教養科目←2007年度から開設
    という区分になっている
などの点が、やや異なっているように見えた。

 2.に関しては、私の大学でも同じような趣旨で、「主題科目」と「個別科目(上記の“共通科目”)」の区分がなされているのだが、その内容上の違いや意義づけは、学生にとって分かりにくいものになっているように思えてならない。また私の大学では教養ゼミに相当する科目はなく、高学年向け教養科目開設についても組織的な取り組みは行われておらず、今回の報告は大いに参考になった。

 では実際にどのような高学年向け教養科目が行われているのか。今回紹介された科目としては
  • 高学年向け主題科目:エイジングに関わる「高齢化社会へのアプローチ」
  • キャリア・デザイン実践講座:「論理的発想力」「問題解決技法」「コミュニケーション能力」といったコア・スキルの育成。
  • 上級英語
  • 西洋古典語:古典ギリシア語とラテン語を隔年開講。
 なおこの大学は、キャンパスが県内のいくつかの地域に分散しており、受講のためのキャンパス間移動が課題の1つになっているという。これを解決する手段として遠隔授業も行われているというような話であったが詳細は不明。ま、この点においては、私のところの大学は、キャンパスが2つに分かれているだけで、比較的移動しやすいという大きなメリットがあるようだ。




 順序が前後するが、配付資料の中で、高学年向け教養科目の可能性として、少なくとも以下の3つのタイプのあることに言及された。
  1. 副専攻型:
  2. 積み上げ型
  3. 限定型
 いずれのタイプを導入するかは、それぞれの大学の学部構成、分野、ニーズ、地理的特性(分散キャンパスなど)によって変わってくる。K大学では、種々検討の結果、当面は3.のタイプで対応しているとのことであった。

  次回に続く。