じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 米子・境港方面への小旅行の際に訪れた美保関灯台。過去のアルバムを調べたところ、1993年8月5日に、ここの展望台で家族全員の写真を撮っており(写真上半分。個人情報保護のため、ボカしてある)、14年ぶりということになる。

 展望台には、隠岐の島の案内板がある。14年前と全く同じように見えるが、「島前」、「島後」にふりがながつけられており、また取り付け場所が異なるなどの違いがあった。但し、板のしみの位置は似ており、同じ看板がそのまま使われている可能性は残っている。

 9年前に来た時はもっと細い山道を登ったことと、灯台の中を見学したような記憶があるのだが定かではない。また9年前のアルバムでは、灯台直下の崖から波打ち際の岩場まで下りた時の写真が何枚か残っているのだが、今でも下りられるのかどうかは不明。

 楽天版(9/4付け)の写真の上部にも1998年撮影の比較写真を載せたところであるが、このように、10年前、15年前の写真と比較して昔を懐かしんだり、変化した部分を見つけたりするのは、中高年ならではの旅行の楽しみ方と言えよう。

※写真下部の看板(2007年撮影版)には、「西郷町まで67km」という説明書きがあるが、こちらの説明にあるように、西郷町は平成16年10月より「隠岐の島町」となっている。この看板も近々、取り替えられることだろう。


9月4日(火)

【思ったこと】
_70904(火)[電脳]ウィキペディアどこまで信用?

 9月4日付けの朝日新聞に

●ウィキペディアどこまで信用? 新聞が引用、問題に

という見出しの記事があった。6月29日付の静岡新聞朝刊1面コラム「大自在」を執筆した記者が、死去した宮沢喜一元首相に関するエピソードをインターネット百科事典「ウィキペディア」から無断で引用していたことに関するものであり、7月5日付同社朝刊紙面に「お詫び」が掲載されたということである。

 7月5日付けSankeiWebによれば、
...引用していたのは、宮沢元首相が1970年代の外交交渉の際に、話をはぐらかす旧ソ連側の出席者をどう喝して席に着かせたとされるエピソードなど。記者はこれらのエピソードが広く知られていると思い込み、出典を明示しないまま引用していたという。

 掲載当日に外部から「ウィキペディアの文章と酷似している」と指摘があり発覚。同社の土橋幸彦編集局長は「不適切な行為で、読者と関係者におわびします」としている。
ということであったようだが、今回の朝日新聞記事は、見出しの表現にもある通り、「出典を明記しなかったという、報道倫理に関わる問題」ではなく、「ウィキペディア記載内容の信用性」に重きを置いた内容になっている。ちなみに静岡新聞社自体も、現場の記者に対して、「取材の参考にするのは構わないが、記事を書く際の出典として使うべきではない」と伝えているという。朝日新聞記事では、このほか、
  • USAトゥデーの元論説主幹の項目で虚偽の経歴が書き込まれ削除に時間がかかった
  • ウィキペディアのブリタニカ百科事典の自然科学分野の項目を調べたら、前者は1項目につき平均4カ所の間違いがあり、後者は3カ所だった(ウィキペディア創始者のウェールズ氏)。
  • 一部の項目では誰でも編集はできるが、経験豊かな編集者が内容を認めてからでないと表示できない(同上)
  • 日本語版管理者によると書き込みの57%は登録していない匿名ユーザー。不適切な記事については、約50人の「管理人」と呼ばれるボランティアが削除にあたっている。
などが紹介されていた。




 私自身は、ウィキペディアの愛用者の一人であり、じっさい、Googleで「じぶん更新日記 ウィキペディア」の検索をかけると9月5日朝の時点で231件もヒットすることからみて、このWeb日記でも頻繁に参照、引用していることが分かる。

 そう言えば8月31日付けの時事通信配信ニュースに、

●「イミダス」「知恵蔵」休刊へ=ネット版は存続

という記事があった。同記事によれば、「イミダス」は1986年創刊。集英社によると、創刊号は113万8000部を売り上げたが、その後は減少を続け、今年度版は14万5000部に。また、朝日新聞社によると、89年創刊の「知恵蔵」は、当初は95万部を売り上げるなど好調だったが、今年度版は13万部まで落ち込んでいるという。

 私自身も『イミダス』や『知恵蔵』を購入していた時期があったが、Web日記を書くときなどに、わざわざ書棚から分厚い本を持ち出してきてページをめくろうなどとは思わないなあ。というか、私の場合、辞書や事典ばかりでなく、論文読みは電子ジャーナル利用、研究用書籍はすべて図書館備品として購入し、不要になったら図書館に返却、というようにして、書斎のペーパーレス化をはかっているところである。




 ウィキペディアの執筆者の一部が匿名者であるとか、時たま誤りや虚偽が発覚したからといって、そのことを持って信用性が低いという根拠にはならないと思う。多くの利用者の目に常時晒されていることで、事実関係の誤りは比較的速やかに訂正される。政治家や有名人の情報などでは、多種多様な見方を紹介しており、「あれ、こんなこともあったのか?」と驚くことも多い。もちろん、そこに書かれたことすべてを鵜呑みにすることは禁物だが、それって、新聞記事、百科事典、その他、権威があるとされている書物を読む場合でも同様ではないかなあ。要するに、閲覧対象それ自体の信用性自体など絶対評価できるわけが無い。求められるのは、読み手のクリティカルシンキングである。

 そう言えば、心理学の教科書、解説書などでも、けっこうミスや誤解があるものだ。
  1. Harris, B. (1979). Whatever happened to Little Albert? American Psychologist, 34, 151-160.
  2. Evans, R. B. (1991). Misportraying Pavlov's apparatus. American Journal of Psychology, 104, 135-141.
などは大いに参考になると思う。1.は、ワトソンの恐怖条件づけで有名な「アルバート坊や」について、いかにデタラメな情報が流布していったかということ、2.は、心理学の有名な教科書の中で紹介されている「パブロフの条件づけ装置」のイラストや写真が、実は、パブロフの装置ではなく、パブロフの弟子の装置であったことを指摘している。




 2001年12月14日の日記にも書いたことがあるが、テレビの雑学クイズ番組の正解などよりはウィキペディアの記載内容のほうがよっぽど信頼できる部分もある。例えば、「サーロインステーキ」は、クイズ番組では
ある王様の食事に間違えて、ロイン(腰の部分)を出してしまい、それを食べた王様があまりのうまさにサーの称号を与えて、 サーロインと呼ばれるようになった、
を正解とする場合があるが、ウィキペディアの当該項目ではこれを「全くの俗説である」としている。

 同じく、クイズ番組では、サンタクロースの服を赤くしたのはコカコーラが元祖であるというのを「正解」にしていることがあるが、ウィキペディアの当該項目では多種多様な起源に言及している。

 最後になるが、私のWeb日記に書いてあることは、概ね、独断、偏見、願望思考の蓄積物であり、あまり信用なさらないほうがよろしいかと思う。いちおう内容には責任を持つけれども、「内容に責任を持つ」と表明してできるのはせいぜい「不確かなことについての断定的記述は避けます」、「誤りがあれば責任を持って訂正します」という程度であって、「記載内容の信憑性を保証します」といことではゼンゼンない。そもそも「じぶん更新」というタイトルには、「誤っている自分を訂正していく」という意味が含まれているのだ。がはははh。