じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
パシフィコ横浜で見かけた残雪。2月2月9日夜には再び積雪あり。局所的には根雪化しているようだ。
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【思ったこと】 _80209(土)[教育]大学教育改革プログラム合同フォーラム(1)佐々木氏の基調講演(1) 平成19年度「大学教育改革プログラム合同フォーラム」に参加するため、横浜市のパシフィコ横浜にやってきた。このフォーラムに参加するのは、一昨年の11月12日以来、2回目であった。 第1日目午前は、清水潔・文科省高等教育局長の挨拶に続いて、佐々木毅・学習院大学教授(前・東京大学総長)による、 挑戦が求められる学士課程教育 という演題の基調講演が行われた。 東大総長(前職を含む)のご講演を直接拝聴するのは、有馬朗人氏(←前回のフォーラムの基調講演も有馬氏が登壇されていた)、小宮山宏氏についで御三人目ということになる。但し、小宮山氏の講演は、研究や環境問題に関する内容であったので、大学教育に限って言えば、有馬氏に続いてお二人目といったほうがよいかもしれない。 有馬氏の講演は過去3回ほど拝聴しているが、「日本の高等教育への公的支出はGDP当たり0.5%で世界最低」、「少子化や大学進学率の変化にともなう大学生の学力の質的変化、それに見合った学資課程教育の改革」というような内容が中心であったように記憶している。今回の佐々木氏のご講演では、同じ内容の繰り返しを避けるという御意図があったのだろうか、公的支出や少子化問題には全く触れられなかった。そうした国内事情よりはむしろ、グローバルな世界に生きることを前提とした人材養成、そのために必要なスキルや能力といった問題に重点が置かれていたという印象を受けた。この議論のベースとなるのは、佐々木氏が第2期中央教育審議会大学分科会長として取りまとめられた、我が国の高等教育の将来像の答申であった。もちろんその中では、高等教育を取り巻く内外の環境や、我が国高等教育のこれまでの歩みにも詳しく言及されている。 今回の講演(あるいはそのベースとなった上記審議会経過報告)の中で特に強調されたのは、明治以来の知識注入型の学士課程教育からの脱却ということであった。その中で出てきたのが「学士力」という概念である。もっとも、このことについては、夕刻のパネルディスカッションでもいくつか議論があった。まず、ある概念を提唱するからには、それをどうやって測るかという問題がつきまとう。測る方法がなければ、どういう方策が有効であったか、という検証ができないからである。また、各大学や、各専門領域の特色や多様性をどう組み込むのか、さらには、大学教育の質の保証というのは、あるグローバル水準の保証に重点を置くべきなのか、それとも、入学時から卒業時までの間に、学生の力をどれだけ伸ばすことができるのかという差分に重点を置くべきなのか、といった論点もある。 次回に続く。 |