じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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岡山大学構内のお花見(2)
 一般教育棟構内・芝生広場の昼と夜。2007年4月3日の日記にも記したように、2006年秋より大学構内では「芝コン」が禁止され、夜桜の下での宴会風景は見られなくなった。



4月4日(金)

【思ったこと】
_80404(金)[心理]「しなければならないことをする」と「したいことをする」(11)負の強化にもとづくポジティブな人生の実現(2)

 昨日に続き、マロットの

●Malott., R. (2005). Notes from an introspective behaviorist: Achieving the positive life through negative reinforcement. Journal of Organizational Behavior Management, 24, 75-112.

について。なお、昨日も述べたが、この論文では、同じ学術誌・同じ巻号に掲載されているWiegand and Geller(2005)の

Connecting positive psychology and organizational behavior management. Achieving motivation and the power of positive reinforcement. Journal of Organizational Behavior Management, 24, 3-25.

への反論が含まれている。マロットの論文ではWiegand and Gellerの論文は2004年として引用されていたが、私が取り寄せた複写文献には2005年の著作権表示があった。この部分は調査中である

 ちなみに、Wiegand and Geller(2005)には、昨年の日本心理学会71回大会の感想でも言及した、Noremの著作への言及があるが、これらに関しては後日取り上げることにしたい。




 さて、マロットの論文のほうに戻るが、マロットは別段、負の強化のみで行動を律しようとしているわけではない。単なる趣味的な行動で、気の向いた時だけ関わり、途中で投げ出しても、先延ばししても何ら支障の無いような行動の場合は、わざわざ嫌悪的統制を用いる必要は無い。しかし、その一方、論文が掲載されている学術誌のタイトルにもなっている、『組織行動マネジメント(organizational behavior management)』のように、組織の中で役割を担って行動する場合は、気の向いた時だけ取り組めばよいなどということにはならない。このほか、組織とは無関係の個人レベルの行動であっても、長年の努力の積み重ねによって大きな成果を得ようとする場合には、先延ばしを避けるための嫌悪的統制が必要であるというのがマロットの主張である。ちなみに、先延ばしがなぜ起こるのかに関しては、

杉山尚子・島宗理・佐藤方哉・マロット・マロット (1998).行動分析学入門. 産業図書.

の第23章「ルール支配行動の理論」でも力説されており、特に目新しいというわけではない。上掲書の315ページにも要約されているように、先延ばしは、
  • 1回の行動に随伴する結果が
  • 小さすぎたり(累積的にしか意味がない)、確率が低すぎると
  • 結果の遅れに関係なく
  • それをタクトにしたルールは従いにくい
という状況のもとで起こる。先延ばしを避けるには、締切(deadline)を設定し、それが守れなかった時に発生するであろう深刻な事態を回避するために努力を重ねるという、「嫌子出現阻止の随伴性」による強化《←実際には、深刻な事態発生に対する「不安」を軽減するという嫌子消失随伴性(逃避随伴性)として機能》が必要であるというのがマロットの基本的な考え方である。

 次回に続く。