じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 楽天版じぶん更新日記に記したように、10月12日の夕刻、旭川土手で、全く偶然に「太陽柱」を眺めることができた(右のサムネイルからもリンク)。10月13日にも旭川土手に行ってみたが、やはり「太陽柱」はそんなに何度も見られるものではなかったようだ。もっとも写真左のような美しい夕焼け空を目にすることができて満足満足。


10月13日(月)

【ちょっと思ったこと】

不老不死?のベニクラゲ

 日本心理学会72回大会のワークショップの感想の1つとして超高齢者研究を取り上げている最中であるが、10月14日朝のニュースではたまたま、不老不死の生物として知られるベニクラゲの映像が紹介されていた。

 ネットで検索すると などと書かれているが、ウィキペディアでは2008年10月14日現在、なぜか、まだ解説がなされていない。

 不老不死と言えば、小学校の頃、分裂して増殖するゾウリムシは不老不死ではないかと質問した記憶があるが、そもそも単細胞動物というのはどれもみな、定義上不老不死であって不思議はないということに後になって気がついた。いっぽう、有性生殖を行う生物では通常、1度あるいは何度か子どもを作るうちに、親のほうの個体は老化が進み、いずれ死滅してしまう。しかし、ベニクラゲの場合は死なずに再び幼生のポリプに戻って成長をしなおすということらしい。

 もっとも、「いんちき」心理学研究所の記事を読むと、不老不死といってもそんなに安穏としていられるわけではないらしい。多くのベニクラゲは魚のエサとなってその一生を終える。要するに、生物的には「不死」であっても外的との関係では「不滅」ではないということであろう。

 もともと、有限の生活空間にあって、「不死の機能」と「子孫を増やす機能」を両方備えた生物が出現したとしても、個体数を一定数に保つシステムが別に存在しなければ、長期間にわたって繁栄を続けることはできないのは原理的に明らかである。個体数が増え続ければ、最後は食糧難に陥るからである。人類がもし不死になったとしても、それは単に、病死や老衰といった死因が取り除かれたというだけのことである。その分、「餓死」、「事故死」。「殺人」、「自殺」といった死因が増えるだけにすぎない。

【思ったこと】
_81013(月)[心理]日本心理学会第72回大会(17)超高齢者研究の現在(9)老年的超越(1)

 連休のため少しあいだが開いてしまったが、表記の連載の続き。

 このワークショップでは終わりのほうでもう1つ、かなり詳しい話題提供があった。私のメモによれば、この指定討論は16時49分に始まり、17時16分に終わるというかなり盛りだくさんな内容であった。その中で興味深く伺った点を、まずキーワードとして列挙してみると、
  1. Eriksonの第9段階
  2. 老年的超越タイプ
  3. 日本型の老年的超越の概念と尺度
ということになろうかと思う。

 1.や2.に関しては、スウェーデンのTomstam(1989)が提唱した理論が紹介された。これは、80歳代前半までの生きがいモデルでもあるサクセスフルエイジングのオルタナティブな姿として超高齢者のQOLの向上にもつながるし、また、離脱理論の再構築にもなるという。

 Tomstam(1989)によれば、この「超越」では、「新しい自己の発見」、「自己中心性低下」、「利他主義傾向」、「内なるこどもの復活」、「自我の統合」などの自己の変化が生じる。また、社会との関係でも、「少なくても濃い人間関係」、「社会的役割からの離脱」、「社会的価値からの離脱」、「物質主義からの開放」、「知恵の獲得」、といった変化が見られるという。自己の変化を象徴する表現の1つとしては「利己的な大人から利他的な子どもへ」、社会との関係変化を象徴する表現の1つとしては「文明社会からの離脱」といった言葉が使われていた。

 以上に加えて、「宇宙的意識の獲得」も重要な柱となっている。大ざっぱにまとめると、死の恐怖が消滅し、時空間の意識が変化し、神秘性や非合理的思考を受容し、大いなる存在との一体感の獲得などの特徴がある。

 以上までの部分について、行動論的な解釈を加えてみると、自己や社会的関係の変化というのは、
  • 自分が発する(自発する)オペラント行動の低下
  • そのオペラント行動を強化する好子(強化子)の質の変化(利己的な結果から利他的な結果で強化されやすい?)
  • 直後の強化(あるいは環境の変化)の影響減少
  • 他者との接触の頻度や質的な変化
  • 個別的、断片的な「行動→強化」ではなく、長寿によってもたらされた全人生の文脈に位置づけられた強化
といったことになり、それが、総合的な意味でも「宇宙意識の獲得」という独自の行動様式を作り出しているというなことになるかと思う。

 次回に続く。