じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【ちょっと思ったこと】
定額給付金は課税すればよい 2兆円規模の定額給付金のことが話題となっている。1人当たり1万2000円とし、18歳以下の子どもと65歳以上の高齢者に8000円を加算すること、全世帯を給付対象にしたうえで、所得制限の設定は市町村の裁量に委ねることなどがほぼ決まりつつあるようだ。 ところが13日になって、現行の税制では、この定額給付金は懸賞の賞金や生命保険の一時金などと同じように「一時所得」として扱われ、すでに一時所得の合計が50万円を超えている人が給付金を受け取ることで所得税の負担が増えたり、給付金を受け取ったため50万円を超えてしまい新たに税の負担が発生したりする場合が出てくることが判明したという。そこで新たに、給付金を非課税とすることなどが検討されることになったという。 この問題については、高額所得者に「辞退」を促すとか、自治体に丸投げするといったように、政府方針が一貫しておらず批判の声が出ているようだが、給付金の非課税措置が間に合うくらいならばこのさい、所得1800万円以上の場合に新たに1万2000円の「定額課税」を設定したほうが、これまでの議論の流れに沿った決定になるのではないかという気がする。要するに、高額所得者もいったんは1万2000円を受け取るが、同じ額を税金として差し引かれるので実質的には所得制限を課せられたことになるという措置である。 もっとも私は、「高額所得者であるから辞退すべきだ」というような主張はもともとおかしいと思う。むしろ、払えるお金があるのに税金や国民年金や奨学金返済を滞納している人たちが受け取ること自体のほうがおかしい。このさい、こうした滞納者たちに「給付」されるお金は直ちに没収し、それらの納付にあてるべきである。それが社会正義というものだ。 |
【思ったこと】 _81113(木)[心理]日本心理学会第72回大会(41)well-beingを目指す社会心理学の役割と課題(11)航空機事故遺族の“well-being”(2) 昨日に続いて 航空機事故遺族の“well-being” という話題提供についてのメモと感想。 航空機事故による突然の死別は、病気や自然死などによる死別とは区別され、一般に「暴力的死別」と呼ばれている。その特徴については2005年大会のメモにも記した通りであり、このことが遺族にとって多大な衝撃を与える。今回の話題提供では、そのことによってもたらされた精神的(不)健康度が4年後、8年後にどう変化したのかというデータが紹介された。測定にはGHQ-12が用いられ、また、事故遺族群と一般遺族群との比較が行われていた。グラフをざっと拝見した限りでは、事故遺族群のGHQ得点は一般遺族群よりも高く、また4年後→8年後でもあまり変化していないように見られた。但し、事故遺族群の得点は8年後のほうが若干減少、一般遺族群のほうは殆ど同じ(見た目には微増)となっている。 さて、今回のテーマは“well-being”との関係にある。一般に「トラウマ後の成長」というのは、何か事件(=「激震事象」)が起こった場合に極端に落ち込んだ“well-being”水準が、一定のプロセスを経て、元の水準(そのような事件が起こらなかった場合に持続すると想定される水準)を超えるレベルまで上昇するようなことをいう。こういう成長の可能性のある人としては、事故遺族のほか、職務上関わった人(災害支援者、ジャーナリスト、ボランティア)、カウンセラーなどが挙げられる。この成長モデルとして今回は、Calhoun & Tedeschi(2006)の研究が紹介された。 次回に続く。 |