じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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12月24日の朝はよく晴れ、月齢26.2の月(写真上、06時46分頃撮影)と、日の出(写真下、07時14分頃撮影)を眺めることができた。12月22日の冬至の日と23日は雲が多くて日の出の写真を撮ることができなかったので、写真下が、この冬で最も南寄りの方位からの日の出の写真ということになる。
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【思ったこと】 _81223(火)[心理]日本園芸療法学会第1回大会(9)中村桂子氏の基調講演(3) 昨日の続き。 中村氏の御講演は長年にわたる御研究、教育、啓蒙活動の集大成的な内容を含んでおり、今回のお話だけですべてを理解することは困難な部分があった。ここでは特に印象に残った点を中心に、感想を述べさせていただくことにどめたいと思う。 講演の前半のほうでは、生命誌研究館のTopページにもある、こちらの絵巻が投影され、人間は自然の一部であるという見方が強調された。生きものたちは、変わりながらつながっていくが、そのつながりには、進化の歴史、生態系、個体の一生という3通りがあるろいう。 余談だが、スキナーも、系統発生と個体発生については何度も言及しているが、生態系という発想はあまり無かったように思う。近年、心理学の中でも生態系を重視した新しい考え方が登場しているようであるが、心理学で、ニッチ(niche)とかアフォーダンス(affordance)などと言われている場合には、生物学的な意味での生態系には殆ど言及されず、実質的には、環境や文脈との関わり、つまり行動分析学で言うところの行動随伴性や強化・弱化とそれほど差違が無いように思える。 元の話題に戻るが、ご講演では、生命科学と生命誌の違いについていくつかの点が強調された。特に重要な点は、生命科学は遺伝子を対象として、「科学」の名の通り、分析、還元、数理という方法で無矛盾性を追究していくのに対して、生命史はゲノム(生命子)を対象とし、文節、統合、論理を重視している。この場合、矛盾は許容される。なお、このあたりの話題は、こちらの記事でも論じられている。 講演では引き続き、生命誌から生まれた「世界観」、大昔から現在に至る、自然、人、神、人工の重み付けについてのお話があった。若干気になったのは、それらが主として、西洋哲学の思想の変遷として語られていたことであった。前回も述べたが、自然と人との関わりの歴史はむしろ、仏教、中国の古代思想、そして日本古来の自然観で語られるべきであろうと思う(前回も述べたように、講演の後半では源氏物語や『虫めづる姫君』への言及があったが)。 次回に続く。 |