じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ §§  ゴミ有料化開始日の朝と夜の様子(左の写真)。昨日に続き、ゴミ収集場所でのウォッチング。なお、写真中のAやCの記号は、それぞれ昨日の写真(右の写真)記号と同一の場所を表す。
  • C地点2月2日朝(左の写真の上):岡大・留学生会館前のゴミステーション。当日早朝5時半頃(右の写真の「C 当日早朝」参照)には、指定袋使用は半数程度であったが、その後、収集直前までには、殆どすべての袋が指定袋に入れられていた。寄宿生たちが自主的に詰め替えたのか、管理人や町内会の人たちが対処したのかは不明。
  • A地点2月2日朝(写真左下):昨日も述べたように、この場所は最も違反が目立つところであるが、町内会の方が詰め替えたのだろうか、殆どすべてが指定袋に入れられていた。
  • A地点2月2日夜(写真右中段):指定袋を使用していなかったために収集を拒否された袋が3袋残っていた。なおこれらは、2月3日朝にも放置されていた。
  • D地点2月2日夜(写真右下):同じく、指定袋を使用していなかったために収集を拒否された袋。指定袋とよく似た色であるが、「ドンキホーテ」の文字が入っている。




02月3日(火)

【思ったこと】
_90203(火)[心理]岡山市のゴミ有料化で何が変わるか(2)行動を変えれば意識も変わる

 昨日も述べたように、行動分析学の用語を使えば、ごみ袋有料化というのは要するに
  • 好子消失による弱化:指定ごみ袋をたくさん使うとそれだけお金が減る(=好子消失)ため、ゴミをたくさん出すという行動は弱化される。
  • 好子消失阻止による強化;従来、可燃ゴミの一部として捨てていた紙類などは、無料収集対象である資源ゴミとして分別して捨てるようになる(ゴミの分別をするという行動は、指定ごみ袋使用による好子消失(お金の消失)を阻止するので、強化される)。
という行動随伴性を設定して、環境配慮行動を強化(および、環境に負荷をかける行動は弱化)しようという施策であると考えられる。

 このことで興味深いのは、この施策が、行動を変えるということに徹底している点である。世間ではしばしば「環境配慮意識」が変わらなければ行動は変わらない、つまり、意識が原因で、行動はその結果であるという因果観に囚われている人が多いが、これでは何年経っても実効性のある対策をとることはできない。

 必要なことは、まず、行動を変えることである。行動が変わっていくなかで、その時の意識(「気持ち」や「態度」に関する言語報告など)も次第に変わっていくのである。

 今回の問題に限って言えば、ごみ袋をたくさん使うと損をするというだけの理由で、ゴミの減量や資源ゴミとの分別を進める人も多いかもしれない。その人たちは決して、環境配慮に目覚めたというわけではないが、ゴミ減量や分別を工夫していく中で結果として、環境を守る大切さを自覚していくということはあるかもしれない。これが、「行動することで意識が変わる」ということの本質である。

 意識から行動を変えようという立場の人は、まずは、何が何でも環境を守ることの大切さを訴え、人々を説き伏せることで行動を変えようとする。これが全く無意味だとは思わないが、実効性は乏しい。説得だけでは、行動を強化することは困難であるからだ。

 もっとも、だからといって、ホッキョクグマの歌を放送することが無意味だと言っているわけではない。ホッキョクグマの歌は、日々の環境配慮行動を直接強化することはできないが、好子や嫌子の機能を高めるための確立操作としては有効であるからだ。歌を聴いてホッキョクグマが可哀想だと思うというのは、要するに、
  • ホッキョクグマは好子(正の強化子)になっている。
  • ホッキョクグマが減るということは、好子消失になる。
  • よって、好子消失を阻止するような行動は強化される。
という形で、環境配慮行動が強化される可能性がある。歌や映像によるキャンペーンは、その確立操作として機能しているというわけだ。美しい自然環境を紹介する形のさまざまな環境配慮キャンペーンも同じような形で、意味があると言える。


 次回に続く。