じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2月10日、夕食後の散歩時に見られた金星(写真上)と月齢15.2の月。余談だが、今回の満月は前日の2月9日23時49分であり、この時の月齢は約14.3となっている。また、今年の中秋の名月は10月3日。10月の満月は10月4日の15時10分で月齢は約15.5となっている。このことから分かるように、満月の月齢は常に15.0というわけではないし、旧暦の十五夜と満月になる日がずれることもある。ウィキペディアの当該項目によれば、望(満月)の瞬間の月齢は13.8から15.8の間で変動する。



02月11日(水)

【思ったこと】
_90211(水)[一般]続・地デジ移行のウソホント(4)BSデジタルを受信開始して30日経つと出現するという希有なメッセージ

 BSデジタル放送の受信を始めて30日が経つと、NHKのBSデジタル放送(デジタルハイビジョン、デジタルBS1、デジタルBS2)にチャンネルを合わせるたびに、テレビ画面の左下に「NHKではBS設置のご連絡をお願いしています」という目障りなメッセージが表れるという(御本家の説明サイト参照)。

 我が家ではBSアンテナをつけていないのでこのメッセージを「視聴」する機会は無いが、妻の実家では、BS受信料を払っていたにもかかわらず、この画面をなかなか消すことができなかった。原因は、「NHKではBS設置のご連絡をお願いしています」というのが単なるCM画面のようなものだと思われていたこと、また、義父母はもともと衛星放送を殆ど視聴しておらず、NHK側から送られるというメッセージ消去の信号(後述)を受信できていなかったことにあったようだ。高齢者だけで暮らす家庭では、同じようなケースがたくさんあるのではないかと思われる。




 さて、この「BS設置のご連絡をお願いしています」というメッセージであるが、そもそも、どういう仕組みで30日経って出現するのか、また、電話で連絡するだけでどうしてメッセージが消去できるのだろうか?

 ネットをザッと検索しても、この仕組みを解説したサイトは見つからない。そこで素人なりに推理してみたのが以下の内容である(あくまで私の推理であって、実際がこの通りであるかどうかは定かではない)。
  1. このメッセージは、地デジの字幕スーパー機能を利用したものらしい。ウィキペディアの当該項目には、“地上デジタル放送には字幕スーパー機能があり、映像信号とは別にニュース速報などの字幕スーパーの信号を放送にのせ、映像と合成して視聴者に見せることができる。この機能はB-CASカードのID番号によって表示の有無を制御できる。これを利用して、NHKがBSデジタル放送では既に実施されているテレビ画面の一部に未登録者へ住所登録を促すメッセージを割り込ませている”という記述があるのでこれは確かだろう。
  2. B-CASカードにはおそらく、字幕スーパーの表示をon、offに切り替えるスイッチのような機能が搭載されている。このスイッチはユーザーではなく、当該電波の発信者側によって一方的に操作される。
  3. BSデジタルの視聴を開始すると、B-CASカードに対しては、30日後に表示スイッチがonになるような「時限爆弾」の電波が送られる。もっとも、30日経過をどこでカウントしているのかは私には分からない。1日一度以上受信するたびにカウンターが1個ずつ増えていくというなら分かるが、日時を記録して、経過日数を計算するというのであれば、けっこう面倒な仕掛けが必要なはずだ。
  4. でもってとにかく、30日が経過すると、「時限爆弾」が破裂して、メッセージ表示スイッチがonになる。
  5. 視聴者がNHKに連絡をとると、担当者の操作により、B-CASカード番号のスイッチ(もしくはそのカードを挿入している機器のスイッチ)をoffにするような特別な信号が発信される。このことに関しては御本家のサイト
    NHKでは、その番号のB-CASカードに向けて、メッセージが表示されないようにする信号を繰り返し発信します。...BSデジタル放送を30分程度視聴して、信号が受信されれば、メッセージは表示されません。というような説明があるので、これも確かだと思う。

 当初、私は、何千万件もの登録の連絡がある中で、個々のB-CASカードの番号を衛星放送の電波に乗せて流すのは情報量が多すぎて不可能ではないかと思っていたが、よく考えてみれば、表示スイッチをon、offにするためというだけであるなら、そのコントロール信号は1ユーザーあたり何バイトかの情報量で済むはずだ。技術的には大した問題ではないと思う。

 但し、もし今述べたことが正解であるとすると、公共の電波の一部に、「あなたのカードのスイッチをoffにします」という私的な「通信メッセージ」が含まれていることになる。こういうことが法律的に許されているのかどうかは分からない。




 さて、もし私の推理が妥当であったとすると、すでにBS受信料を払っている個人が、何十台、何百台もの薄型テレビや録画機について上記のような登録を行い、メッセージを非表示にしたあとで、他人にそれを売り渡すというような悪事を働く恐れが出てくる。NHKの受信料は個人の場合1軒で1契約となっているので、何百台を登録しても多額の受信料を取られることは無いからである。

 そのあたりの対策ということになるのだろうか。御本家のサイトには、
  • ご連絡をいただいて、いったんメッセージが消えた場合であっても、例えばご連絡の住所を訪問しても該当の方に行き当たらない時などは、受信の確認ができませんので、メッセージが再度表示されることがあります。
  • NHKでは、担当者がお客様リストと照らし合わせながら1軒1軒を訪問して、テレビやBS受信機の有無を確認させていただいています。そうした活動により、ご連絡をいただけなくてもBS放送の受信を確認して、衛星受信料のお支払いをお願いすることになります。
といった説明がある。要するに、登録者が自分の家の中で登録した台数分の受信機・録画機ををゃんと使っているのか(他人に売り渡したりしていないかどうか)は、適宜、訪問により確認するというわけだ。

 ま、現実問題として、1軒の個人の家で何百台ものテレビを視聴するということはあり得ないので、金儲けを企もうとしてもすぐにバレることは目に見えている。

 このほか、例えば、隣の家や親戚の名前を偽って登録するということもありうるとは思う。隣の家の場合は、その家に一度でも登録の有無についての確認をすればすぐにバレる。親戚の場合は、あらかじめ口裏を合わせておけばバレることはないだろうが、遠方に住んでいるような場合は、連絡する際の電話番号の違いで検知できるだろう(このほか、携帯電話の発信地とか、地域別のデータ放送の受信の有無なども不正検知の手段として使えるはずだ)。

 とにかく、NHKの調査員がそれぞれの家の中まで入り込んで個別に受信機の有無とカード番号を確認すれば、一切不正は起こらないはずだが、そのような立ち入り権が法律上どこまで認められているのかどうかは分からない。それよりもむしろ問題になりそうなのは、NHKを装って高齢者宅に入り込み、窃盗や詐欺などの悪事を働く行為が起こらないのかということだ。いや、このことばかりでなく、地デジ完全移行の前後では、さまざまな詐欺が横行する恐れがあり非常に気がかりである。


 次回に続く。