じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§  2月24日の日記にも記したように、今年の2月はやたらと雨が多い。気象庁統計によれば、岡山の2月の降水量合計は2月26日までで99ミリに達しており、2月27日早朝の雨量1ミリ以上と加えるとどうやら100ミリを突破しそうだ。また、例年の2月はきわめて晴天率が高い東京では、2月23日以降、日照時間がゼロの日が4日連続という珍現象が起こっている。これではせっかく接近中のルーリン彗星も眺めることができない。

※写真は、長雨ですっかり湿ってしまったタンポポの綿毛。


02月26日(木)

【思ったこと】
_90226(木)[心理]『脳からストレスを消す技術』

 2月26日の夕刻に車を運転中にNHKラジオのスイッチを入れたら、ちょうどストレス対処法についての話題が取り上げられていた。運転中であったためごく一部しか拝聴できず、解説者のお名前も不明であったが、お話の内容の類似性からみて、どうやら、『脳からストレスを消す技術』の御著者の有田秀穂先生がご出演されている模様であった。

 脳生理学の専門家の方が提唱されるストレス対処法というと、まずは、ドーパミン、ノルアドレナリン、そしてセロトニンといった脳内物質の働きの解説から始まる。この先生の場合は特に、ストレス耐性をつくる「セロトニン生活」というのが中心であり、番組では、「感動して涙を流す」ことや「呼吸法(座禅)」の意義などが語られていた。

 セロトニン系の癒しについてはこのWeb日記でも何度か取り上げたことがある。私自身はこれまで、オペラント行動が適切に強化されることによってもたらされる生きがい、働きがい、やる気といった問題に関心を持ってきたが、これは脳生理学に翻訳すればドーパミンが関与する報酬系に関わる生きがいということになる。より長期的、全人的な形で諸行動がポジティブに相互強化されていくということ自体は非常に重要なことであると思っているが、人間、それだけでは落ち着き、安らぎの状態を確保することはできない。著者の提唱される方法が最も有効かどうかは私には分からないし、もう少し、個人個人に適した多様なスタイルがあってよいようにも思われるが、とにかく、「セロトニン生活」なるものが大切であるということは理解できる。




 ところで、以上とは全く別の話題になるが、少し前に、

暴走する脳科学

という本を目にしたことがある。ここでは決して、学問としての脳科学自体が暴走していると批判しているのではない。脳科学を一般向けに紹介するにあたっての安易な解釈の問題点、さらには、環境との関わりを過小評価して「脳イコール心」といった風潮が生まれることへの批判を含む内容となっているが、このことについてはまた別の機会に考えを述べさせていただきたいと思っている。

 ちなみに、この本の著者の河野哲也氏は、少し前に

「心」はからだの外にある―「エコロジカルな私」の哲学

という御著書も出されており、徹底的行動主義の考え方にも通じるところがあるという印象を受けている。そう言えば少し前、河野先生をお招きするという行動分析学関連のセミナーの案内をいただいたことがあったが、卒論・修論締切前の多忙期のため参加することが叶わなかった。どういう議論がなされたのだろうか。