【ちょっと思ったこと】
「飛翔体」と「ミサイル」、「発射」と「打ち上げ」
北朝鮮は5日、国際社会の制止を振り切ってロケットを発射したが、このことに関しては「飛翔体」というような聞き慣れない言葉が登場した。要するに、正体が確認できない飛行物体ということなのだが、厳密にはどう定義されているのだろうか。
念のため、いくつかのニュース記事でどのような言い回しが使われているか引用してみる【検索順であり、記事の発表日時は順不同】。
- 「日米韓はロケット発射について、北朝鮮に弾道ミサイル発射の停止を求めた安保理決議に反すると主張。」【ロイター、4月6日17時34分】
- 「北朝鮮による飛翔(ひ・しょう)体発射問題で、発射当時、県内市町村に県の防災行政無線のファクスで速報が伝えられたことに対し、...」【アサヒコム、4月7日】
- 「衆議院は、7日の本会議で、北朝鮮による飛翔体の発射を非難する新たな国会決議案を採決することにしており、」【NHKオンライン、4月7日04時41分】
- 「A senior North Korean diplomat has rejected the criticism that his country's rocket launch is in breach of a UN Security Council resolution, saying that every nation has the right to the peaceful use of space.」【NHK英語、4月6日12時31分】。
- 「飛翔体発射事案...」【首相官邸、官房長官記者会見、4月5日01時33分】
- 「北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射を受け、自民党は6日、党本部で「北朝鮮ミサイル問題に関する合同部会」を開いた。」【MSN産経ニュース、4月6日20時25分】
- 「北朝鮮は5日、「人工衛星」を搭載していると主張する長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射した。」【日経ネット、4月6日07時02分】
- 「北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」の名目で発射した弾道ミサイルについて、防衛省が軌道を解析した結果、ミサイルには、レーダーの監視範囲を超える日本の東約2100キロまで、2段目のブースターが付いていたことが6日、明らかになった。」【読売新聞、4月7日3時04分】
- 「朝鮮が5日に長距離弾道ミサイルを発射した目的を「人工衛星」打ち上げとみるかどうか、各国の見解が定まっていない。」【毎日、4月7日0時23分】
- 「北朝鮮は5日午前、東北部の咸境北道舞水端里(ムスダンリ)から長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の改良型とみられる飛翔(ひしよう)体を発射した。」【MSN産経ニュース、4月5日12時20分】
- 「北朝鮮による飛翔体発射事案につきましては、判明している点としては、本日11時30分頃、北朝鮮から東の方向に飛翔体が1発発射され、11時37分頃、東北地方から太平洋に通過したものと推定をしております。」【防衛省・自衛隊、大臣臨時会見概要、4月5日13時25分〜】
一般論としては「ミサイル」よりは「飛翔体」のほうがより中立的という印象を受ける。但し、立場の異なる国と協議する際には「ミサイル発射に抗議する」という表現では「ミサイルではなく人工衛星だ」という反論に対して実証義務を負わされてしまう恐れがある。「飛翔体発射は弾道ミサイル活動の一環と見なされるので抗議する」という主張をすれば、それに反対する者は「弾道ミサイル開発とは無関係である」という証拠を示す必要があるので、(今回の飛翔体がミサイルであったかどうかという方向に話題をそらされることないので)議論がしやすくなるというメリットはあるかもしれない。
なお、もう1つのタイトルの「発射」と「打ち上げ」の関連であるが、ロケット自体は「発射」、人工衛星やスペースシャトルは当然「打ち上げ」と表現される。上に引用した英文の中の「launch」は、ランダムハウス英語辞典では「〈飛行機などを〉飛び立たせる;〈ミサイル・衛星などを〉発射する,打ち上げる」というように、「発射」と「打ち上げ」の両方の意味を含んでいるようだ。
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