じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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農学部イチョウ並木の新緑

 黄葉の名所でもある農学部東西通りのイチョウ並木の新緑が見頃となった。黄葉の頃の写真は2008年11月21日(楽天版)や2008年12月6日の日記にあり。


4月24日(金)

【思ったこと】
_90424(金)[一般]裁判員制度について考える(6)迅速化の詭弁や守秘義務の問題/まとめ

 裁判員制度に関していろいろ意見を述べてきたが、今回でひとまず連載を終了し、あとは今後の展開や事態急変に応じて、続編を追加していきたいと思っている。

 これまで述べたこと以外で特に指摘しておきたいのは以下の2点である。

 まず、裁判員制度のメリットの一つとして、審理時間の短縮が挙げられる場合があるが、このことは説得力を持った理由には断じてならないと思う。確かに、殺人事件などの審理に膨大な年数がかかるのは問題であるが(先日判決が確定した毒物カレー事件は、事件発生から死刑確定まで約10年9カ月が経過したという)、そのこと自体は、裁判員制度と無関係に改善できるはずである。むしろ、裁判が迅速に行われているのかどうかを監視、検証するような機関を設置すればよい。

 もう1つの問題点は、裁判員に課せられた「守秘義務」から生じる問題である。ウィキペディアによれば、
裁判員は、評議の経過や、それぞれの裁判官・裁判員の意見やその多少の数(「評議の秘密」という。)その他「職務上知り得た秘密」を漏らしてはならない。この義務は、裁判終了後も生涯に渡って負う。裁判員が、評議の秘密や職務上知り得た秘密を漏らしたときは、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(法108条)。
ただし、公判中に話された傍聴人も知り得る事実については、話してもよいとされている。
と記されている。また法務省の当該サイトによれば、守秘義務が課せられる理由は
...ところで,例えば,裁判官や裁判員が評議で述べた具体的な意見が外で明らかにされるとしたらどうでしょうか。「どうしてそんな意見を言ったのか。」とか,「こんなひどい事件なのに,被告人に有利な意見を言うのは不適当だ」というような批判を後で受けることになってしまうかも知れません。そうすると,せっかく意見を思いついたのに,「こんな意見を言ったことが後で知られたら批判されるのではないか」と考えて意見を言うことをやめてしまう人が出るかも知れません。それでは,評議で自由に意見を言うことができなくなってしまいます。
 また,「評議の経過」についても,評議でどのようなテーマについて話し合いをしたかが後で分かってしまうと,なぜそのようなテーマを取り上げたのかということを後で批判されるかも知れません。「こういう点も考えてみた方がいいのではないか」と思ったのに,後で批判されることを心配して,せっかく思いついたテーマを持ち出すことをやめてしまったら,重要なテーマが評議で話し合われないことになってしまうかも知れません。ですから,「評議の経過」も,裁判官や裁判員の意見も,同じように,外に明らかにならないようにする必要があるのです。
という点にあるというがこれはおかしい。要するに「討議で述べた内容を漏らすと、第三者から批判を受けたり嫌がらせを受ける恐れがあり、結果的に自由な意見が述べられなくなるからヒミツにしなければならない」ということのようだが、であるならば、過剰な批判をしたり嫌がらせをする行為を罰するべきではないだろうか。上記のロジックは、

●政治的な問題について発言すると、ネット上で誹謗中傷されたり、右翼団体の街宣車が自宅前に押しかけてきて嫌がらせをしたり、あるいは左翼過激派のテロに遭う恐れがあるので、自分の考えを公の場で述べることは差し控えなければならない。

ということと同一である。言論の自由がその程度しか保障されていないというのであれば、まずは、言論の自由への妨害や圧力行為を排除するべきである(←「裁判員に頼み事をしたり、裁判員やその家族を脅した者には、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金が科せられることになっているというが)。

 各種報道によれば、裁判員制度に批判的な超党派の国会議員でつくる「裁判員制度を問い直す議員連盟」は4月22日、国会内で会合を開き、5月21日の制度開始を凍結するための法案を超党派の議員立法により連休明けにも今国会へ提出する方針を決めたという。この法案によって制度が凍結できるかどうかは微妙であるが、仮に、制度が開始されたとしても、いまのままの制度ではいずれ大問題がおこり、制度自体が破綻することは目に見えていると思う。

 なお私個人は、次回以降の国政選挙においては、裁判員制度に賛成する政党や候補には一切投票しないつもりである。