じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



06月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§ §§ 夜のパラレルワールドと、水田に映る満月。
昨日の日記に、水田に映る「パラレルワールド」の写真を掲載した(右側に再掲)。左の写真上は同じアングルから撮った風景。但し写真右が上下反転させているのに対して、写真左上はホンモノの上下位置となっている。

 写真左下は、水田を北側から眺めたところ。この日の夜はちょうど満月(正確には翌朝6月8日03時12分)となっており、しかも夏至に近いため、空の低い位置にあり、水田に映っている月もかろうじて同じ画面内におさめることができた。月の赤緯が最南となるのは6月08日11時04分。


6月7日(日)

【思ったこと】
_80607(日)[心理]日常の不安・緊張への耐性を高める特定経験

 某所で、特定経験が日常の不安・緊張への耐性を高める上で有効かどうか、というようなことが話題になった。

 ここでいう特定経験というのは、1回限りの体験(自然災害、事故、失敗、死別など)ではなくて、数年程度にわたって、特定の行動に従事することをいう。具体的には、スポーツ・サークルでの活動、ボランティア活動、留学、受験勉強、浪人生活、フリーター生活、お遍路、修行、無人島生活、...などなどである。

 もちろん、これらすべてを含めるような一般的な議論はナンセンスであろう。耐性を高める経験もあれば、あまり役に立たない経験もある。さらに、「日常の不安・緊張」にも多種多様な状況があり、例えば、「大勢の人の前でスピーチをすることの緊張」に有効な経験もあれば、「絶対に失敗の許されない動作」を確実に行う上で有効な経験というのもあるだろう。それゆえ、一般論として問題を立てるのではなく、
  • どういう経験を対象とするのか(経験の内容が具体的で再現可能であり、かつ、1つのパッケージとして通用しうるものであること)
  • どういう場面において有効であるのか
を個別に検討していく必要があると思う。

 このような手順をふんだ上で、心理学でありがちな研究方法としては、「経験の有無」×「耐性の強さ」という2×2の比較が考えられる。しかし私は、これではまだ研究としては浅いと思っている。

 確かに、上述の「経験」のうちのある部分は、緊張・不安低減に有効であるような、ある種のレスポンデント条件づけを含んでおり、だれでも同じ経験さえすれば自動的にその効果を獲得できるというケースもあるだろう。しかし、さらに有効性を高めようとするためには、その経験をしている最中、そして、その経験を活かそうとする場面の両面において、さまざまな能動的な関与が求められるのではないかと思う。要するに、過去の特定経験を活かすにはそれなりの手立てとスキルが必要ではないかということである。さらに重要なことは、過去経験のある部分を含めるかどうかは、当人が作成するシナリオしだいで変わってくるということだ。同じように苦労や失敗体験があっても、「過去の経験を活かそう」というようにポジティブに活用する人と、「今日からは第二の人生が始まる」というような形でキレイさっぱり忘れてしまおうとする人では、不安・緊張への耐性を高める効果にも違いが出てくるはずである。

 少し話題が逸れるが、「後悔」ということについてもさまざまタイプがあるし(例えば、一回限りの出来事か、繰り返し起こった出来事か。当人が能動的に関与したか、自己関与なしに勝手に起こった出来事であるか。などなど)、さらにそれらの活用方法も多種多様である。じっさい、「後悔」をポジティブに活かすための本も出ている。これについてはまた別の機会に考えを述べたいと思う。