じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 朝日を浴びるアーティチョーク。この花壇では真夏〜秋に咲く花が育てられている。アーティチョークの後ろにある赤い花は、おそらくアニソドンティア・マルバストロイデスの赤花。また、左端には晩秋に花を咲かせる皇帝ダリアが日々成長している。



6月27日(土)

【思ったこと】
_90627(土)[心理]熱中と離脱のスパイラル(1)

 某所で、スポーツ活動に熱中したり、そこから離脱していくプロセスのことが話題になった。

 単純な強化原理を適用するならば、
  • なぜ熱中しているのか? →その行動が強化されているから
  • なぜ離脱するのか →その行動が弱化、もしくは消去されたから
ということになるが、実際の場面はそれほど単純ではない。

 5月6日の日記などで言及したように、行動の熱中や離脱を因果的に説明するためには
  • 行動の増減に関わる好子や嫌子を発見すること
  • 行動が強化(あるいは弱化)されている仕組みの全体像を把握すること
という2者の両方を明らかにしていく必要があると思う。

 このうち2.について熱中方向(ポジティブなスパイラル)の事例を考えてみると
  1. 上達・自走型 行動が強化されていくなかで、新たな好子が自然に出現し、強化プロセス自体が「自走」していくプロセス
    →例えば、ピアノを練習していくうちに、自力で美しいメロディが弾けるようになり、他者から強化されなくても、メロディの美しさだけでピアノを弾く行動が強化されていくプロセスのようなもの。ピアノに限らず、魚釣り、登山、ゲーム、カラオケ、天体観察など、多くの趣味はそのような自走強化システムを内在している。
  2. 関連諸行動による連携・相互強化 
    →私自身の行動で言えば、「山に登る」、「花の写真を撮る」、「ブログを書く」という、もともと独立していた3つのタイプの趣味が「山に登って花の写真を撮り、それをブログで公開する」というように連携するようになり、それぞれの行動が相互に強化を与えていくようなプロセス
  3. 手段・目的関係の明示と目標達成への確認がもたらす入れ子構造型の強化
    →行動自体はきわめて単純であっても、例えば、1000回登山とか、百名山達成といった目標があると、個々の行動がより強化されやすくなる。
 いっぽう離脱方向(ネガティブなスパイラル)の事例としては、
  1. 難易度増加による消去
    →上達に伴い、難易度の高いレベルの達成をめざすが、最後は能力の限界を超えることができず、全く強化されない状態に至って離脱していく。
  2. 関連諸行動による連携・相互強化の崩壊 
    →何らかの事情により、相互強化をしていたパーツの一部が「破損し」、崩壊していくプロセス。上記の例で言えば、怪我をすることで山登りができなくなり、結果的に「山に登って花の写真を撮り、それをブログで公開する」という連携がくずれて、花の写真も撮れず、ブログ執筆も弱化されてしまうというような推移。
  3. 目標達成、あるいは失敗がもたらす入れ子構造の崩壊
    →例えば百名山完登により「次の目標が見いだせなくなった」というような場合
 このほか、行動を始める初期の段階では、仲間との人間関係のちょっとした不具合が、遂行を困難にしていく場合もある。

 次回に続く。