じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2009年版・岡山大学構内でお花見(68)ヒガンバナとキノコ。お彼岸を前にして開花準備が着々と進んでいる。 |
【思ったこと】 _90917(木)[政治]鳩山政権の印象と私からの要望 9月16日に招集された特別国会で民主党の鳩山由紀夫氏が第93代首相に選ばれ、民主、社民、国民新党3党による鳩山連立内閣が発足した。直近の各種世論調査では、新内閣の支持率はおおむね70%台となっており、小泉内閣に次ぐ歴代2位の高さとなっているという。 この新内閣には「未知との遭遇内閣」というニックネームがつけられていると聞いた。ネットで調べたところ、これは官邸での初会見で鳩山首相が「ある意味(今後は)未知との遭遇。経験のない世界に飛び込んでいく」と述べたことに由来しているらしい。 私自身の個人的な印象としては、まず、理系出身者が多いということ。鳩山首相ご自身は東京大学工学部を卒業しスタンフォード大学博士課程を修了の同大Ph.D.であるという。副総理の菅直人氏は、東京工業大学理学部応用物理学科卒業。このほか、川端達夫・文科相は京大工学部化学工学、同大学院修了で、東レに入社後は海水を淡水に変える研究に携わったとか。但し、岡田克也氏や福島瑞穂氏は東大法学部卒、亀井静香氏は東大経済学部卒、前原誠司氏は京大法学部卒というように文系の方もおられる。私立大出身者が多かった歴代の自民党内閣に比べると、今度の新内閣は国立大出身者が目立つようにも見える。 私自身が歳を取ってきたこともあるが、全体として、平均年齢はかなり若いという印象もある。全18名の名簿のうち、私より年下の方が6名含まれている。印象としては「私と同世代内閣」に近づいてきた。 次に新内閣への要望であるが、まず、先の政権公約を確実に実現させようという姿勢は大いに評価できる。「このことはマニフェストに書かれてある。我々はその支持を受けて当選したのだから、実行するのは当たり前だ」と言われてしまうと、野党となった自民党や公明党は反撃しにくいところだろう。 しかし、有権者はマニフェストのすべての項目に100%支持を表明したわけではなかろう。また、留意すべきであるのは、「このマニフェスト項目は国民の多数から支持された」というのは、そのことに関して多くの人が合意しているというだけの意味であって、マニフェスト項目自体が本当に正しいということの証拠ではない。特に、経済政策、防衛、外交、福祉、教育、などの諸問題においては、国民の圧倒的多数が「これがよい」と思ったからといって、そのことが最も正しい判断であるとは限らないことが多い。ちなみに、ここでいう「正しい」とは、ある問題を解決したり何かを実現するにあたって、何が最も確実で有効性の高い方策であるかということに関わる科学的判断のことである。であるからして、新しい施策を断行するという場合には常に、「これを実行したらこういう成果が期待される」ということを丁寧に説明し、また、それが本当に正しかった(最善であった)という証拠を示していく必要がある。世の中が何かの困難に直面したような場合、有権者は必ずしも「正しい」判断をするとは限らない。有権者が示せるのは「そのことについて合意しているかどうか」というだけの判断である。 八ツ場ダムや川辺川ダムなどの建設事業を中止することには私も大いに賛成である。だいぶ前に、「コンコルドの誤り「について 書いたことがあった。「将来の行動に対する意思決定は、過去の投資の大きさではなく、将来の見通しと現在のオプションによらねばならない」という視点を持つことはきわめて重要である。 なお、このことからの連想になるが、私は、この新内閣のもとで、諫早湾干拓事業についても抜本的な見直しを検討してもらいたいと思っている(2001年3月28日の日記や2008年10月2日の楽天版に関連記事あり)。この場合、最も重視しなければならないのは地球環境であり、環境保護に寄与する干潟の役割である。すでに工事が進んでいる部分もあるので完全な現状復帰はできないとは思うが、現有設備を活用する形で、干潟の重要性を世界にアピールできるような情報発信拠点を作っていただければありがたい。そういえば、かつて亀井静香・建設相(当時)は、「ムツゴロウも大事だが、人間が一番大事だ。」というような発言をされたことがある。新内閣の閣僚となられたこのさい、亀井氏には、干拓地で干からびたムツゴロウを前に、「ムツゴロウも人間もどっちも大事だ。ムツゴロウが生きられない地球では人間も生きていくことができない」という新たなご発言を期待したいと思う。 もう1つ、亀井氏のことで思い出したが、亀井氏は死刑制度廃止論者として知られており、さらに今回法務大臣となった千葉景子氏は、アムネスティ議員連盟(事務局長) や死刑廃止を推進する議員連盟に所属されているという。しかし、死刑制度に関する議論と、現行制度のもとでの死刑執行とは別の問題である。自民党政権時代にも個人の勝手な思想信条のもとで死刑執行への署名を実質拒否した法相が何名かおられたが、これははっきり言って職務怠慢である。法相である限りにおいては粛々と任務を遂行され、別の場所で死刑廃止論を唱えていただくよう希望する。 |